真夜中の非通知

ここ2週間くらい、数日おきに真夜中に携帯に着信がある。電話、しかも非通知。今までかかってきた数回、恐らく同一人物からのものと考えていいだろう。深夜1時過ぎに電話をかけてくる人……知り合いにはまったく心当たりがない。酔った勢いで1度くらいならありえなくもないが、数回に渡って、しかも非通知だ。そう、非通知なのが一番わからない。何度もかけてくるのに、こちらがかけ直す道は断ってくる。とにかく、気味が悪いので無視するしかない。

…と、いうようなことを、一番最近の着信の直後にたまらずツイッターに書き込んだ。すると、間髪入れずにリプライが。「まさかフォロワーの中に電話の主が…!?」と思って読んでみると、その予感は速攻で受け流され、代わりに思いもよらないおまけが付いてきた。

「FF外から失礼します。それは家電ですか?携帯ですか?」

あ、「FF外から失礼します」ってはじめて言われた…。ツイートをたどってみると、この見知らぬ方もどうやら夜中に家の電話に非通知の着信を受けたばかりだったらしい。それで不安に駆られ、自分と同じ現象に遭ってる人を探してしまったといったところだろう。思えば、直前の自分のツイートには「電話がかかってきた」としか書いてなかったから、携帯なのか家の電話なのかはわからなかったわけだ。「携帯です」「夜遅くにすいません」で、やり取りはあっさり幕を閉じた。

で、んなことはどうでもいい。なにせ、ついに「FF外から失礼します」童貞を喪失したのだ。なんか他人のやり取りの中でちょいちょい見かけては「こんな礼儀作法が生まれつつあるのか…」と戦慄してた例のアレ。文脈から察するところ、恐らくは「直接フォローしてないのに急に失礼します」的なことと思われる。でも、「F」は「フォロー」の頭文字として、2つ目の「F」はなんだろう。「フェラチオ」しか浮かばない。「フォローもしてなきゃチンポもしゃぶってないのに失礼します」…意味は通るな(実際は「フォロー/フォロワー」の頭文字らしい)。

SNS上では基本、道端で他人に話しかける時と同じ作法をベースに振る舞うのが無難だと思う。たまたますれ違った人達が自分と真逆の意見を話しているのが聞こえても「お前らバカだな!」はまずい(けど、SNSにはこのタイプはたくさんいる)。そういう意味では、「FF外から失礼します」は「つかぬことをうかがいますが」の部類に入る妥当っちゃ妥当な作法なんだろう。ただ、道端に比べればツイッターでの発言は他人に触れる可能性がかなり高いのは当然だし、別に「突然すいません」とかでいいんじゃないか。非礼を詫びるならなるべく誰にでも通じる方法を選ぶのが筋なんじゃないかと思う。「FF外から失礼します」って言われても、こっちは「『FF外から失礼します』外」の人間なわけで。

…っていうか、そもそも「FF外から失礼し」た見知らぬあなたは、結局なんでいきなり質問してきたのか一切説明してなくね?おれが勝手にわざわざそっちのツイートたどったからわかったけど、あなたが説明するべきは「FF外から失礼し」ているっていう見りゃわかることじゃなくて、「FF外から失礼し」た事情じゃね?じゃないと、こっちにとっちゃあなたも非通知みたいなもんだから。…あれ、なんか変な方向にアクセルが。まあ、とにかくあれだ、こういうめんどくさいことが起こるから、もう夜中に非通知で電話してくんな。

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