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【五行知林の校正ざっかんこざこざ④】〈ある会社に校正の正社員として入ったときの記録から――ある会社での校正の観察〉

ある会社に校正の正社員として入ったときの記録から。

ある会社での校正の観察

①組方原則がデザイナー寄りのルールになっている感想。
1)!の句点の意味を含むケースでも空きがベタで読みにくい
2)3ー4個 3~4個 (3、4個という表記がない)
3)一桁数字の扱いが半角ベタや全角ドリなど混在
4)異体字や拡張新字体が目立つ(漢字の字体に対する知識不足)
5)約物(パーレンやブラケットなど)が半角や全角物混在ケースあり(ほかにも『』の使い分けのルールがあいまいなど)

②ライティング=制作=編集=校正の分業の中で校正のポジションがあいまいである。
このままだと、どこでミスが出たかを突き止めることが難しく、ミスが起きても原因がわからないまま繰り返す可能性が大きい。

③校正基準や用語上の会社基準の蓄積がない。このままだと、クライアントの一方的な表記の基準、または各担当者の主観的すぎるフィーリング基準のままいきやすく、会社としての校正方針や基準が定まらないのではないか。

④校正のチェックおよび台割上の校正の管理が明確でないので、校正記録を書き込める進行管理表が必要ではないかと感じる。

⑤過剰な表記統一基準は煩雑になるし、細かすぎる表記統一は「権利関係」「事実」「固有名詞」などの確認が優先されにくくなり、マイナス面があるため――「常用漢字表」「記者ハンドブック」「校正必携」などのいわゆる「一般表記」「JISの組方原則」の基準に沿ったものに各自がなじんでいくことが――いずれ会社としての安定した言葉のスキルの獲得にも好影響を及ぼすのではないかと考える。

⑥辞典類が会社にない――言葉への高い意識・意欲がうまれにくい。

⑦ジャパンナレッジ等の校正された情報の有料検索サイトを利用できないか。

⑧校正依頼者がどのくらいの校正時間で仕上がるかがイメージできていないのではないか。

⑨オープンタイプフォントを理解できていない。

⑩最新のハンドブックなどがないのにどうやって表記基準を設定することができるのか。

【改善策例】
◎カンプの「修正して行送り等が変更された箇所」を黄色マーカーなどで囲む
◎カンプを出力した日付時間を各自記入する
◎仕上がり線を入れたものか線を引いたもので版面を確認しながら校正をする
◎組方原則や一般的な表記のルールになじんでほしい

これを読んで、「そんなことは当たり前だろう」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、現場はさまざまですし、上記の会社はデザイナーが主体の会社という性質もあり、
そういう個性を持っていたということです。

初めは、面食らいました。私の未熟な性格も災いし、感情的な軋轢も生まれましたし、たった一人の校正社員だったこともありで、
それまでの校正や日本語の常識が覆されそうでかなり悩ましい日々でした。

かなり、以前の記録ですが、何か参考になれば幸いです。

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