ミソジニストからフェになった、10年

自己肯定感や自尊心の低い女子高生であった。かと言って、自分でどうこうしようとは思わず、男に性的に必要とされる手っ取り早い手段でそれを満たそうとしていた。自信の無さから、ターゲットとしていたのは、周りに女性がいない男の子や、モテない男の子、オタクの男の子、今どきの言葉で、失礼を承知で言えば、「チー牛」「弱者男性」であった。

私の周りの女の子に恵まれてない男の子たちは、私と同様に自己肯定感が低く、モテようという努力はせずに女叩きをしている子が数人いたように思い返される。「まんさん」などという蔑称を使って。私はずるい女だった。自らまんさんを名乗り、デートはサイゼリヤや鳥貴族で大満足♪を自称し、4℃で不満言う女なんて最悪だよね、と取り入っていた。モテない男の子に共感することで、彼らから承認欲求を得ていた。

同時に、フェミストを毛嫌いしていた。大変申し訳ない話をする。大学5年間お世話になったゼミの、尊敬する素敵な恩師がいる。その先生が、初回の授業で、私フェミニストなのよ~という趣旨の発言をしたとき、冗談だったのか今となってはわからないが(彼女はフェミニズム批評こそ書いているが)、わあ、美人なのになんでだろう、可哀想に、と思ってしまったのだ。当時、私の中でフェミスト=男に媚びれない、モテもしない、哀れな女性の末路という偏見があった。本当に失礼な話だ。

モテない男の子たちに取り入るために、女嫌いを加速させてた私は、大げさかもしれないが、ミソジニストだったのかもしれない。でも最近になって、モテもしない哀れな三十路女性になったからかもしれないが、自分を大切に、他の女性も、男性も大切にしようという気付きを得て、フェミニスト的観点を持てるようになってきた気がする、いや、本職のフェミニストの方に恐れ多いから、Twitterなんかでよく見る「フェ」くらいにしておこう。

フェになったからと言って、もう染み付いてしまった自己肯定感の低さはどうしようもならないのだけど、世界の見方は変わった気がする。こないだ、小田急線で、男性が、女子大生を「勝ち組ぽいから」という理由で、襲った事件があった。ふと思い出したのだが、詳細を思い出せず、電車 女 襲われる で検索したら、見事にポルノ動画ばかり検索結果に出てきた。ため息が出てしまった。以前の私なら、女なんて襲われて当然、どうせ挑発するような服でも着てたんだろうになどと思っていただろう。でも、何人も、男も女も、犯罪被害者を責めてはいけないのだ。セカンドレイプ、死体蹴り、してはいけない。フェミニズムから離れてしまったが、最近感じたことだ。

おしまい

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