昨夜

昨夜、ちょうど部屋で「hibari」を聴いていた時、私のスマホに訃報が流れてきた。


思わず検索欄に「坂本龍一」の名前を入れてもう一度、ニュースを調べる

もしこれが間違いなら間違いであってほしかった。


あぁ、そうか。


彼はもう、何日も前に亡くなっていたのだ。

彼の美しいピアノが私の部屋を満たしている。

少し力が抜けたような気がして、私は背もたれにもたれかかった。


彼の音楽は素晴らしい。

キャッチーなメロディ、軽やかに見える曲調の中に暗喩された憂鬱、心を揺さぶる迫力。


私は、いつだったか。いつかの夏、彼の「美貌の青空」を聴いて、彼の曲に惚れ込んだ。

「美貌の青空」「hibari」「戦場のメリークリスマス」「the last emperor」

美しい曲達が思い返される。


彼の曲は私の人生の要所要所で奏でられている。


恋人が出来た時、母から猛烈な叱咤を受けた時、廃線跡のトンネルをくぐった時、小説を書いていた時、近所で知らない道を歩いた時、祖父が死んだ時。

私の人生には彼の音楽も欠かせない。


もうなんと言ったらいいのか、わからないのだが、私は貴方の音楽が好きだった。

一目、貴方の生の歌声やピアノをこの耳で聴いてみたかった。


貴方は、坂本龍一さんは、

私が、私達が誇れた日本人だった。


ご冥福をお祈りします。



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