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青春の祝砲 -ドラマプレミア23「95」最終回によせて

6月10日の最終話『ツヨクイキヨウ』の放送をもって、ドラマ『95』が幕を閉じました。
ドラマが終わってもなお溢れ出てくる思いに言葉が追いつかず、ぐちゃぐちゃのままの気持ちと『95』への愛をここにぶつけることしかできません。
それほど、毎話魂を揺さぶられる作品でした。
このドラマに出会えてQちゃんたちと一緒に青春を駆け抜けられたことが、とても幸せでした。



『  95(キュウゴー)  』
1995年の渋谷。大人の世界に翻弄され、傷つけられてきたセイラや翔、仲間たち。地下鉄サリン事件を目の当たりにしてもなお変わらない世間に憤り焦燥感を覚えるQ。やがてQは翔のチームに入り、大人や社会に抗うために暴力と金の世界に足を踏み入れる。強くなることと引き換えに進む道はいつの間にか「まとも」「いい子」からは遠く外れていったー。


尖ることと荒れることを勘違いし、終わりを予感しながら、もがき続けるQちゃんたちの青春は泥臭くてどうしようもなく眩しかった。

渋谷を大人には渡さない。
命がけの渋谷の大晦日の花火大会。それでも世界は変わらなかった。
結局は大人の「力」が花火事件をきれいに幕引きして、チームは解散し、Qちゃんたちは普通の高校生の日常に帰っていった。

だけど命を賭けた花火はセイラの心の支えになり、花火とともにQちゃんが放った拳銃は汚れた大人を永遠に95年に閉じ込め、そしてQちゃんたちを95年から開放し新しい年に送り込む号砲になった。
世界は変わらなかったけど、青春は終わり、人生が始まった瞬間。
時代というどうしようもない空気に支配された「世界の終わり」を信じていた高校生たちが、自分の人生を歩き出す祝砲を、自分たちの手で打ったこと。
こんな痛切な希望があるなんて。
祝砲のあとに残された青春の破片は、大人への道になった。
そしていつかQたちがいたことも、時代の風景の断片に。

大切な命を守るためセイラは一人で渋谷を離れ、Qたちはやがて受験を経てそれぞれの人生を選択し、守られる側から守る側に代わり、大人になっていく。
だけど人と出会い人を好きになり友情が芽生え仲間になり、別れを経験して強くなって、あの頃の思い出は一生切り離せない「人生」になったのだなと思った。


*
大人になると、大抵の過去は許せるようになるらしい。
「95」はドラマの域を超えて、大げさだけど、わたしにとって救いのような存在になっていました。
大胆にはみ出すこともできず、誰かを傷つけることには鈍感なのに傷つくことには臆病で、どうしようもなく平凡な10代を過ごしたわたしに、このドラマは自分にはなかった青春を追体験させてくれました。
それと同時に、何一つサマにならなかった自分の青春も、自分なりに頑張っていたこと、勘違いをしていたこと、全部懸命だったことに気づき、いとしく、懐かしく思えるようになりました。
いま大人になった自分が、あの頃の自分を許せるようになりました。
みっともなかった青春を、肯定し、愛していける気がします。

*
ドラマの中で95年のことを振り返る秋久さんは、あの頃の自分=Qちゃんのたった一人の理解者のようでした。
Qちゃんの後悔や苦い記憶を、大人になった秋久さんが引き取ってくれているような気がして。「後悔しかない」と言いながら、秋久さんはあの頃のひとつひとつを許していたように見えました。
だけど許すことと同じくらい、あの頃の、95年のQちゃんたちが大人になった秋久さんを鼓舞し、救う瞬間もたくさんあったのだろうな。そんなふうに思えてなりません。


「ツヨクイキヨウ」
初回から走りまくっていたQちゃんが今もう一度みんなをつなぐために動きはじめる姿を見て、
Qちゃんは、苦みを抱きながらも立派な大人になったのだと気づきました。かっこいい大人になっていました。

もがき、走り、魂ごとぶつかっていた日々を見せてくれてありがとう。
一生懸命だった姿が愛しくてたまりません。

Qちゃん、セイラ、翔、傷ついた人達、傷つけてしまった人達、みんなみんな、よく頑張ったね。

人生って切ないことも山程あるけど、ぜんぶ地続きの希望だね!
教えてくれてありがとう。


*
最後に

『95』の放送前、「キンプリの中で自分の存在意義を探し続けていた海人くんが、このドラマの主人公のQを演じるのは必然だ」と感じていました。

ドラマの放送前も放送中も、King & Princeを取り巻く状況は変わり続けていきました。
King & Princeとしての海人くんが、自分がここにいることの答えをいつか見つけられますようにという気持ちで応援してきたけれど、本当は、いまの彼はいくつもの答えをもう見つけ、様々な種を撒いているのだと思います。
その中には傷もあれば、うまく繋げなかった思いもあるかもしれません。でも、その傷の破片から生まれる輝きも、全部いとしいです
Qちゃんたちのように、傷ついたその破片が新たな道になることもあるのだろうと思います。

『95』駆け抜けた全10回、本当にお疲れ様でした。
宝物のような作品がまた増えました。



▼『95』放送前にウキウキしていた頃に書いたノート

青春の乱反射 ―ドラマ「95」がはじまるよ|あひるさん (note.com)


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