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トルコの株価指数と通貨価値を日本と比較してみる

この記事ではトルコの株価指数と通貨価値について考察し、今日の日本の状況と比較していこうと思います。比較するデータは新型コロナ流行直前の2020年1月1日から記事作成日2024年3月3日です。

まずはトルコの現状をまとめます。

2020年から現在に至るまで、トルコ経済は一連の試練を経験しています。パンデミックの影響、政治的な不確実性、そして最近の経済政策は、トルコリラの価値と株価に顕著な影響を与えてきました。これらの動きは、トルコ経済の複雑さと、それが一般市民の生活に与える影響の深さを映し出しています。

トルコの株価指数BIST指数とドルトルコリラのチャートを見てみましょう。

BIST 100(トルコの株価指数)2020/1/1~2024/3/2週足終値ベース
Yahoo financeより筆者作成
ドルトルコリラ2020/1/1~2024/3/2週足終値ベース
Yahoo financeより筆者作成

これらのチャート見ての考察

株価上昇の背景
トルコ株式市場は、顕著な上昇を見せています。この株価の上昇は、国内外からの資金流入や経済政策(金融緩和)による影響が大きいと見られています。

通貨価値の下落
一方で、トルコリラは大きく価値を失っており、USD/TRYの為替レートは歴史的な水準まで上昇しています。これは、国内のインフレ率の上昇、投資家の信頼の喪失、経済政策に対する懸念が反映されている結果です。通貨の急激な下落は、輸入コストの増加と国民の実質購買力の低下をもたらし、日常生活に直接的な打撃を与えています。

日本とトルコの比較

まず最初に、今日本で起きている「円安」と「株高」については以下の記事に書いてありますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

金融政策の共通点と相違点

共通点について
金融緩和している(トルコは直近まで利上げしていましたが、2021年に世界各国がインフレ対応で利上げしていた時に、利下げを行うという独自の金融政策を取りました。日本は未だに利上げに至っていません。)
両国とも過去に積極的な金融緩和政策を採用しています。
※市場への影響として、金融緩和は通常、株価の上昇を促しその国の通貨価値に圧力をかける傾向があります。

相違点について
・政策の目的
日本の金融緩和は主にデフレを克服し、持続可能な経済成長を達成するためのものでした。一方、トルコの金融緩和は、経済成長を促進し高インフレに対応し、通貨や物価の安定を犠牲にしてでも経済成長を追求するというエルドアン政権の政治的要因で行われました。
・インフレとデフレ
日本はデフレが主な懸念であるのに対し、トルコは高インフレ率に直面しています。
・政策決定の独立性
日本の中央銀行は、その政策決定において高い独立性を保っていますが、トルコでは政府と中央銀行の関係がより複雑であり、政治的圧力が金融政策に影響を与えることがあります。

通貨価値と株価指数の関連性

日本
円安株高
長期的な金融緩和により、円は他の主要通貨に対して弱い傾向がありますが、これは輸出企業に利益をもたらすことが多いです。
日経平均株価などの株価指数は一般的に、金融緩和期間中に上昇しやすいです。

トルコ
リラ安株高
トルコの通貨リラは、インフレ時の異例の金融緩和政策など政治的な不確実性により、価値が大きく減少しています。
BIST 100指数は、リラの価値が落ちる中で、一部のトルコ国民がインフレから資産を保護するために株式市場へ流れていることを反映し、上昇しています。

経済状況と投資家の反応

金融政策と経済状況の変化は、国内外の投資家の行動に大きな影響を及ぼします。日本とトルコではそれぞれの経済状況に応じた投資家の反応が見られますが、共通しているのは金融緩和政策が株式市場に一定のプラスの影響を与える可能性があり、通貨安を招きやすいという点です。ただし、これらの国々の経済状況には顕著な違いがあり、その違いが市場の動向や通貨の価値に異なる影響を与えています。

まとめ

日本とトルコの経済状況は異なりますが、両国の市場動向からは投資の重要性についての教訓を引き出すことができます。円安と株高の中で日本国民は投資により資産を増やすチャンスを持っています。一方、トルコでは通貨価値の低下と高インフレが株式投資を通じた資産保護の手段として国民に選ばれています。これらの事例から、安定した収益を得るためには、収入源の多様化と投資を積極的に検討することが賢明だという結論が導かれます。市場にはリスクが常に存在しますが、適切な知識と戦略に基づく投資は、個人の財政的安定性と将来の経済的自由を支援する重要な手段となり得ます。日本がトルコのような超通貨安、超高インフレ、超株高になることはメインシナリオではないですが、保有資産を少しでも株式にしておくことは非常に重要だと考えられます。自分以外の人が参入してくる前に株式を持っておけば、その資金の流入に恩恵を被ることも十分に考えられます。


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