ホントウの大人

本気でライブに行くことが無くなったなぁとふと思った。

チケットを取るために授業中トイレに行ってこもったり、放課後の掃除をサボってライブに行くためにバスでパーカーに着替えたり、バンドマンの出待ちを狙ってサインを貰ったり。
そんな日常が無くなったんだと思って、大人になったなと感じる。

大人になると熱が無くなる。
徐々に徐々にお風呂のお湯が冷めていくように。あの頃狂ったように聴いた曲が並んだセットリストは聴けない。
そうやって、学生時代の自分の気持ちだけその頃に残されてどんどん時間だけが過ぎていってしまった。

心だけが残されたまま、大人になってしまったから、きっと、新曲が聴けずにいるのだろう。
そして、あの頃の自分が望んでいる曲をやってくれないから熱が冷めて、ホントウの大人になってしまうんだろう。

ホントウの大人になってしまった。
あの頃つまんない何物でもない奴なんかになりたくなくて必死にもがいていたのに、いつの間にか取り残されてホントウになってしまった。

私は、ニセモノのナンチャッテ大人になりたかった。大人だけどいつまでもずっと好きな物が1番でありたかった。

でも、なれなかった。

あの頃の自分へ。
今のうちに行けるライブに全部いけ。
学校なんて何とでもなるから、全力で熱くなれ!

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