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はつゆめにっき。

昼寝をしたらフライングで夢を見た。

毎年のことだが1月1日になったばかりの夜というのはどうも早寝ができない。
1月1日の朝というのはどこか新しい気持ちで神聖な感じがする。パリッとした姿勢で初詣に行きたいななんて思う。たぶん、1日に眠っている間に誰かがリセットボタンを押しているような。少しもったいない感じもする。
私は実は年越しの熱気が好きだ。みんなお目出度い気持ちになっていて少しプカプカ浮いている。そいて大体2時頃にはみんな眠りについてだんだん熱が落ち着いてくる。私はそれが惜しくていつまでも眠れずにいる。
3時半をすぎると誰からも連絡が来なくなり私はそこでだいたい眠りにつく。寝るのが遅いから朝起きるの大抵遅い。今年は珍しく8時頃に起きた、これは稀なケースだ。

そんなわけで遅寝だったのに早起きをした私は猛烈に眠かった。15時頃、正月から昼寝だなんて贅沢だなあと思いながら眠りについた。ぐっすり深く眠っていて、多分夢を見ていたのは5分くらいじゃないかと思う。

私はどこかのコンビニエンスストアに入ったところだった。右奥のアイス売り場に直行して大きなボウルくらいのカップアイスを吟味する。ツイッターだか雑誌だかで読んだ今流行のレンズの手入れ方法を実践するためだった。
ふつう一眼レフのレンズは繊細に扱わなければならない。しかし新たに画期的な方法が開発されたというのだ。本体から外したレンズをむき出しのままボウルほどのアイスに大胆に突っ込む。そしてよく和える。チョコ味に生クリームが乗っている2層のアイスだとより効果的だという。
その衝撃映像を脳裏に思い浮かべながらアイスを吟味するわたし。うーん、見た動画だとこれが一番近いかなあ。正直種類がありすぎて選べない。栗の味のほうがクリーミーっぽくてよくレンズに馴染んで汚れが落ちるんじゃないかなあ。
悩んでいるうちに知らないおじさんが隣に立っている。うわ、この人ちょっと距離近いなと私は内心引いている。立派に拵えたひげをもったいぶった手付きで触りながら急に話しかけてくる、脂っこい笑顔で。
「レンズ用だね?それならこれがいい」
このおじさん、なんで私がレンズを洗うためのアイスを買いに来たって知ってるんだろう!こわい。そう思いながら私は愛想笑いをする。おじさんが選んだアイスは小さいカップのもので、一番ないなと私が思っていたものだった。他のボウルほどの大きさのアイスは透明の容器に入っていて中身までよく見えるのだが、おじさんのおすすめのアイスは紙カップに入っていて味もなんだか汚れを落とすのに向かいていなそうな味だった。
どうしよう。とりあえず自分が食べるために買おうかな。全然好きな味じゃないけど。
困っているとコンビニに新たに人が入ってきた。厳つい集団だなあと思ったけど、よくよく見ると会社の人だった。他部署だから関わりがなくて、オラついてる背の高い怖い先輩たちだった。普段だったら苦手なんだけど、今は知っている人が来たことが嬉しくて気付いてもらえるようアピールした。知らないおじさんに絡まれているところを助けてくれるかもしれない。
ソワソワしている私に先輩たちは気付いてくれてやっぱり少しオラついた態度でこちらに歩いてきてくれた。4人いたけどみんな背が高くて平均身長は180cmを超える。少し怖い。「藤原さん、お疲れさまです。皆さん新年早々おそろいで、どうしたんですか。」でも知らないおじさんよりは怖くない。
「おう田端、おつかれ。レンズを洗うためのアイスを見に来たんだけどさ、コンビニには置いてねえよな」私は本当は田端じゃないけどなにもいわないでおく。この人たちは名前覚えが本当に悪いんだ。
え?今なんて言った?この人たちもアイスを買いに来たって、おじさんに捕まっちゃうじゃないか。ふと横を見るとおじさんは嬉しそうに笑っている。嬉しさのあまり服装のグレードがアップしていて、燕尾服になっていた。帽子にステッキまで持っている。いよいよ逃げられそうにない。
藤原さんと林田さん、吉野さんと岡部さんの4人は私の後ろのアイスを見て「お、あるじゃん」と近付いてくる。来ないほうがいいよう。変なおじさんが小さい紙カップのアイスを薦めてくるよ 。
林田さんがおもむろにおじさんに話しかける。「じいさんもレンズの手入れのニュース見た?」一番背が高くて野獣みたいな見た目をしている。吉野さんは具合の悪そうな岡部さんの背中をさすりながらあとからついてくる。「じいさん、どれかおすすめある?」藤原さんもおじさんに話しかける。
この人たちには怖いものがないんだ!おじさんは4人の身長が意外とでかくて驚いたのか少し小さくなっている。この調子だと溶けて消えてくれそうだ。ようやく少し安心できた。
私は先輩たちがおじさんと話している隙にアイスを手に取りレジへと駆け出す。動画と一番似ているチョコと生クリームの2層のものを選んだ。
途中同期の誰かに田川さんと話しかけられたが急いでいたのでちゃんと顔を見れなかった。誰だったかは忘れてしまったけど多分会社の同期だった。私は本当は田川さんではないが、これでようやくレンズを綺麗にできるから、今は違う名前を呼ばれても気にならない。アイスを買える喜びに満ち溢れていた。

#夢日記    #2020年   #初夢

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