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2018 ペルー渡航記 -好奇心のど真ん中-

 時は流れ卒業論文シーズン。今年もUNYVの選考に漏れ、開発コンサルタントと公的機関をメインに就活をしたものの自分の経験値が思うように評価されず苦しんだ。だから論文では集大成として、これまでの挑戦で何が身について、それをどこの誰に生かしたいのか?に向き合いたい。そんな中、教育・コミュニティ・報道のすべての経験が生かせるドンピシャのお仕事、「ペルー国ICT英語教育普及プロジェクト」の評価・モニタリングのポストでした。先住民居住地域や山間部での教育の質の確保が難しいとされる中、パソコンを使った教育の普及がどこまで成果を出せるのか。そして上位目標として観光や経済活動にどれだけ可能性を見出せるか。実際にプロジェクトの現場に飛び込んでみました。

 このプロジェクトは5か年計画で進められていて、現地入りしたときはその4年目。JEC (Jornada Escolar Completa、日本でいうSGH的なもの)に加盟している高校を対象に政府主導の英語教育の改革がスタートしている。モニタリングの結果に応じて改革の修正や中止・継続の判断を行い、これまで他教科の先生が兼任で務めていることも多かった英語教授を専任化し、大学での英語教育者育成プログラムの修了者のみが務めることを義務付けた。(現役の教師で英語教師を希望した先生にはテスト・実習が実施された。) またカリキュラムを国が管理し、教材やプロジェクターなどの設備も順次国が手配していっている。これまで週2時間だった英語の授業を週5時間へと増やし、通常の授業のほかに映像コンテンツを使った授業を取り入れている。各国の国際協力活動やNGOなどの団体から派遣される英語話者のボランティアの学校受け入れもその数をどんどん増やしている。現在はコレヒオ(6-5制における後半5年の高等教育)のみの政策だが、結果次第では初等教育後半にも導入を検討しているという。

 よりプロジェクトの現場の声を聴くためにProject Abroadの助けも借りて、拠点にしていたクスコからバスを乗り継いで40分ほどの山間の街Sayllaのコレヒオにある当該プログラム実施校で臨時英語講師をさせてもらいました。日本人の自分がスペイン語を使って、普段はケチュア語も操る生徒たちに英語を教えるというなかなかカオスな状況でしたが、1年生から5年生まで本当に楽しく授業させてもらいました。英語以外にも体育の授業やバレー・サッカーの部活動もサポートさせていただき、まるで教育実習のよう。朝から夕方までラテンの陽気な子供たちに囲まれて心臓が飛び跳ねる楽しい日々を過ごしました。運よく参加できたケチュアのお祭りでは、生徒たちの伝統踊りやパレードを見ることができて、伝統文化を受け継いでいく姿勢や込められた思いに感銘を受けました。

 プロジェクトに関してお世話になった同僚の先生や生徒に聞き取り調査を行った結果もここに簡単に記しておきます。メリットとして先生があげてくれたのが、単元ごとの生徒の点数に応じて同じクラスにいながらそれぞれのレベルに応じた授業が受けられる点、先生のレベルや地域に関係なく同じクオリティーの授業が受けられる点。集団授業であり先生の力量によるものが大きかったこれまでの英語教育に比べて、個人の興味やレベルに違いがある中でこのような対応ができることは画期的だなと個人的にも思いました。また生徒からも、導入前と比べて授業数が増えてしんどくなったが、授業自体はほかの科目と違って能動的に学習できているので楽しいし集中しやすいとの意見が多く出ていました。一方で授業の柔軟さの欠落、仕事量の増加、メンテナンスの知識の欠如などが継続に向けて改善の余地ありと感じました。

 論文に生かせるたくさんの生情報を得ることができてとても有意義な時間になりましたが、それプラス、ペルーの暮らしがとても楽しかった!歴史好きな自分にとって、古都クスコの街で暮らしマチュピチュやその他インカ文明の関連遺跡を毎週末見て回れる環境は贅沢の極み。スペイン語を習い始めたときからのモチベーションだったので、夢がかないました。ホストファミリーはもちろん、顔見知りになった町の人やバスで出会う人に温かく受け入れられてとても暮らしやすかったです。特に滞在終盤に経験した町全体のハロウィンは最高だった。去るのが名残惜しいことこの上なしですが、せっかく遠い遠い南米に来たので、お隣ボリビアにも足を運んでみました。続きは続編で詳しく書いていきます!

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