無題

【ネタバレあり】映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』感想【大盛りすぎて食べきれない】

こんばんは。これです。

「カメラを止めるな!」を観に行った翌日、私はすることもなく暇だったので2日連続で映画を観にいっていました。今回観たのは映画「銀魂2 掟は破るためにこそある」です。

私はもともと銀魂が好きでして、40巻ぐらいまでは熱心に読んでいたんですが、シリアス展開についていけず、最近はもっぱらパラ読みです。今回映画を観るにあたって、将軍キャバクラ回と真選組動乱篇をコミックスで読み返してから映画館に向かいました。前作ももう一回見ようとしたけど借りられてました。そして、私の住んでいる長野ではテレ東は映りません。なので前作は映画館で一回見てそれまでとなっています。その辺を踏まえながら感想を読んでいただけると幸いです。

それでは始まります。いつものように拙い文章ですが何卒よろしくお願いいたします。




~あらすじ~

時は幕末ーー地球人と宇宙人・天人がともに暮らす江戸・かぶき町。仕事がなく金欠の<万事屋(なんでも屋)>メンバー=銀時、新八、神楽は、キャバクラに床屋とバイトを始めるが行く先々で将軍・徳川茂茂に出くわしてしまい、打ち首覚悟で接待する羽目に――。その頃、真選組始まって以来の大事件が勃発。局長・近藤勲の暗殺計画が企てられ、副長・土方は第2の人格=ヘタレオタク”トッシー”に体を乗っ取られ真選組を追われてしまう。犬猿の仲の銀時に頭を下げて助けを求める土方だが、裏では、銀時の因縁の相手・高杉率いる鬼兵隊が将軍・徳川茂茂の命を狙い、幕府の転覆を企んでいた。果たして銀時は、江戸の町を守れるのか――!
(映画「銀魂2 掟は破るためにこそある」公式HPより引用)


※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。




今回の「銀魂2」には大きな魅力が2つあります。それは「ギャグ」と「アクション」です。

今回の「銀魂2」は、アニメを見ている人にはおなじみのBGオンリーという背景が映るのみの画面で3人がトークするというシーンから始まりました。前作が日本アカデミー賞にかすりもしなかったことを嘆き、話題の映画タイトルをいじりまくります。万事屋の3人の掛け合いには2作目ながらどこか安心感のようなものが生まれてきました。

ストーリーとしては「銀魂2」は人気エピソードの真選組動乱編をベースに、これまた人気エピソードである将軍をキャバクラで接待する話と床屋で将軍の髷を結う話が組み込まれています。原作のキャバクラ回では九兵衛だったり、キャサリンだったりが出てたと思うんですけど、今回この2人は出ませんでしたね。やっぱりソープ嬢っていうのはR指定のない「銀魂2」には出せなかったんでしょうか。代わりに桂が女装して登場。桂ラップを披露したのちすぐに退場となっていましたが。

キャバクラの話自体は原作をなぞっています。ただでさえ面白い原作を速めのテンポで消化していく。それによって次から次へと笑いが起こり、見ている人は「銀魂」ワールドに引き込まれていきました。とくに「将軍かよォォォ」3連発はめちゃくちゃウケていましたね。

その後も将軍の髷を結う話では将軍の変顔でしっかり笑いを取り、中盤から終盤にかけてもエヴァやトトロのパロディなどで私たちの腹筋を積極的に崩壊させてきていました。パロディネタは銀魂の大きな武器の一つなので、それがウケてるのがなぜか嬉しくなりました。

思えば前回の実写版「銀魂」は笑いどころが少ない作品でした。序盤のカブト刈りでひとしきり笑いを取ったのも束の間、すぐさま紅桜篇に移行し、そこからはシリアスに傾倒。一番劇場が盛り上がっていたのが、原作にはないシャア専用モビルスーツのシーンという有様でした。その反省を生かして今回の「銀魂2」ではギャグを多めにしたと思われます。今の銀魂の原作はもう5年くらいずっとシリアスやってますけど、銀魂ってやっぱり基本はコメディ寄りの作風じゃないですか。「銀魂2」はそんな銀魂の原点に立ち返った映画だと思います。

「銀魂2」では、シリアスなシーンにおいても何の説明もなく空を飛ぶエリザベスや、将ちゃんの温泉リポートなど容赦なくギャグが挿入されて行きます。そのギャグ単体は面白かったんですけど、これがまた別の問題を生んでしまっていたように個人的には感じられました。その辺の話はまた後で。

このように「銀魂2」は前作よりも笑いの絶対量が増えていて、それがお客さんの心を掴んでいたということです。事実、私の両隣の人はめっちゃ笑ってましたし。




次に「アクション」です。前作「銀魂」では、最後の宇宙船上での岡田似蔵とのバトルシーンでは、画面の端でただ見ている鉄子とその兄が映っていたことにより臨場感や躍動感というものが半減し、私たちの燃え上がる気持ちを萎えさせてしまい、一番の盛り上がるシーンのはずがそこまで盛り上がらないという残念な結果に終わってしまいました。

その点、今回の「銀魂2」では、その問題点が解消されています。例えば銀さんと万斉のバトルシーン。バトルが始まる前は将ちゃんの影武者と松平のとっつぁんがいましたが、バトルが始まる前に二人はキャバクラに行くといって映画から退場します。残されたのは銀時と万斉の2人のみで、そこにギャラリーはいません。ここでは前作の鉄子たちの失敗が教訓として生かされていると感じずにはいられませんでした。

また、前作の「銀魂」ではバトルシーンが銀さん対似蔵が2回、銀さん対高杉が1回と、細かいのを合わせればもう少しありますが、大きくはこの3つしかありませんでした。しかし、「銀魂2」は違います。序盤中盤にバトルシーンはありませんが、その分終盤に大放出。沖田&神楽対真選組隊士たち、土方対伊東、万斉対お庭番衆的な人たち、そして万斉対銀さんと大きなものだけでも4つもあります。「銀魂2」は「銀魂」よりもアクションの絶対量が増えていました。そして、そのアクションシーンそれぞれの見せ方も工夫されていたんです。

例えば、沖田&神楽対真選組隊士たちでは、こちらが酔ってしまうほどカメラが流動的に動き、二人のアクションのスピード感やコンビネーションを際立てます。土方対伊東と万斉対お庭番衆的な人たちはセットで扱われていて、目まぐるしく画面が切り替わることで観ている人たちを飽きさせません。(万斉が弦を出すところ、スパイダーマンかよって思った。たぶんみんな思っているはず)

そして、銀時対万斉のバトルシーンは大きく2つに分かれていて、前半パートでは刀と木刀の斬り合いだけでなく、銀時に素手で殴らせることで彼のフリーダムな戦闘スタイルを印象付けていましたし、なんと言っても素晴らしかったのが後半。後半二人のバトルではスローモーションが多用されます。これは二人の戦いがほんの紙一重であるものを表しており、あえて緩急の「緩」を使うことで臨場感というものが大いに増していました。

このように「銀魂2」はどのアクションも素晴らしく、これだけで劇場に足を運ぶ価値があると思います。前作とは大違いですね。





さて、前作は紅桜篇をベースにしていたのに対し、「銀魂2」では、真選組動乱編がベースとなっています。真選組は男だけの組織で、真選組動乱編は味方も男ばかり、敵も男ばかりという話です。なので画面に映るのも男性キャラが多くなります。恐らくこれは女性ファンを意識してのものじゃないかなって思うんですけどどうでしょう。

いずれにせよ、「銀魂2」では男キャラが目立ちに目立っていました(それが少年漫画のあるべき姿と言われればそれまでですが)。小栗旬さん演じる銀さんは今回もキメるときはキメていて、菅田将暉さん演じる新八は前作よりもツッコミに磨きがかかっていて、中村勘九郎さん演じる近藤は度量が大きくさが、柳楽優弥さん演じる土方はヘタレオタクと鬼の副長というギャップが、吉沢亮さん演じる沖田はバッタバッタと斬り伏せる姿が、みんなとてもかっこよかったですし、これは男女問わず満足できるものだと思われます。その中でも私が特にいいなと思ったのが、「銀魂2」から新たに登場した、伊東鴨太郎と河上万斉です。

三浦春馬さん演じる伊東鴨太郎は想像以上にハマっていて。あんなにメガネが似合うとは思っていなかった。クールな中に認められたいという自己顕示欲が透けて見えるのがよかったです。あとは隠し切れない弱さとかも女の人はキュンと来るんじゃないかなと感じました。

窪田正孝さん演じる河上万斉もこれまたハマっていました。原作以上に出番が多くて、無双するシーンはすごくカッコよかったです。隣に座っていた女の人も映画が終わった後、「超万斉押しだったんですけど」とご満悦の様子でした。





さて、ここからはちょっと引っかかった点を挙げていきます。それは「テンポ悪くない?」ということです。

「銀魂2」では、銀魂でも屈指の人気エピソード・真選組動乱篇をがっつり原作通りやります。映画を観てから改めて原作を読んでみるとカットされた部分の少なさに気づきます。それに将軍キャバクラ回と将軍床屋回を合体させ、さらには原作にないギャグやアクションも入るわでもういっぱいいっぱいです。そもそも上映時間の135分は映画としては長めの部類で集中力が続かない人が出ても不思議ではない時間です。そんななかにあれもこれもと詰め込み過ぎて少し窮屈になっている印象を受けました。135分という時間で上手くまとめてはいますが、少し過多気味かなあと。

それと「銀魂2」ではシーンの転換が多いんですよ。色んなところで諸々動いているからそれを同時に追わなきゃいけないということでシーンの転換が多くなるのは分かるんですけど、それがあまりにも多くて。話があっちこっちに飛んでいって落ち着かない感じはしました。あるところの状況がいまいちつかめないうちに別のところにカメラがいってしまう。その目まぐるしさにたぶんついていけない人もいたかと思います。盛り上がるところで切るんですよ。特に終盤。内紛を起こした伊東を近藤や土方が助けるんですけど、そこで2回くらい銀さんのところにカメラが切り替わるんですよね。せっかくそれぞれ盛り上がるところなのに、その盛り上がりが分散されてしまっていました。あとここまで2時間ぐらい経っているので、単純に集中力の限界が来ていたのもあります。いずれにせよもったいない。

それとさっきの話の続きになるんですけど、銀魂2では終盤に向かうシリアスなシーンでもギャグを挟んだりするんですよ。アライグマバスとか将ちゃんの温泉リポートとかギャグ自体は面白かったんですけど、ただシリアスが加速していくところで、ブレーキを踏んでしまっていた。テンポが悪くなってしまっていたんです。

原作を読んでいる方はお分かりいただけるかと思うんですけど、銀魂ってシリアス長編の最初はギャグから入るんですけど、徐々にギャグがなくなっていって、最終的にはシリアスのみになるんですよね。シリアス長編の中盤終盤にギャグというのは少なく、ブレーキを踏まないのでシリアスはどんどん加速していき、読者を話に引き込むという効果を生んでいました。

それが今回シリアスの中盤終盤でギャグが入る。これはせっかく話に没入しかかっているお客さんを一回突き放すことになってしまい非常にもったいないことです。それが135分という長さも相まって冗長に感じる要因になっていたので、そこは原作を踏襲してほしかったというのは正直あります。

最後に。今回実写化第2弾にあたって、原作からいろいろな改変がありました。土方が将軍の護衛中に攘夷志士に鉢合わせたりだとか、万斉が江戸へ将軍の首を取りに行ったりだとか。そのほとんどを私は受け入れていたんですが、ただ一つ残念だったのが、土方がヘタレた原因が妖刀じゃなくてチップだったということです。なんでかっていうと妖刀の方がロマンがあるじゃないですか。その呪いはしょうもないものなんですけど、それでも妖しさはあって、原作を読んだときはそれにドキドキしたりもしたんですけど、チップだとそのドキドキ感の欠片もないんですよね。そこは妖刀で通してほしかったっていうのが個人的な思いではあります。回想入れるとかいくらでもやりようはあったでしょうに。そこは少し悲しかったです。





以上で感想は終了になります。「銀魂2」はギャグにアクションにシリアスと要素てんこ盛りの映画だったんですけど、正直てんこ盛りすぎて胸焼けを起こすようなそんな映画でした。135分という上映時間はやっぱり長いですし、もっと削ぎ落として短くまとめてほしかったというのが私の個人的な考えです。ただ面白いことには間違いないので是非とも劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。


お読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?