ドラマが好き
誕生日に発売されるサイバーパンク2077が楽しみでしょうがない。発表当初は「ハイハイ、いつものオープンワールドね」と斜に構えていたが、メイキングから垣間見える手の込みようと、世界観のダーティー具合に完全に魅入られてしまった。
先日、暫くぶりに大学の友人と酒を飲み交わした。皆してどうも将来の岐路に立たされている雰囲気で、心配になりつつも、一方で「生きている人」に久々に会えたような気分で、何故か嬉しかった。
アニメに対して頭も感度も良い連中なので、”とりあえずの尖りが評価されやすい業界内情”なんかに悪態を付きつつ、演出や色恋や人間の話をしているのが楽しくてしょうがなかった。
ふと、最近アニメを見ているかという話になって、皆閉口してしまったのに笑ってしまった。一人が、これじゃ駄目だと、「リゼロ」と「GOLDEN BOY さすらいのお勉強野郎」を見たという話を聞いて、更に笑ってしまった。流行りを抑えようとして「リゼロ」は分かるが、それにしても今時分じゃ遅すぎる気もするし、それとの食い合わせに「GOLDEN BOY さすらいのお勉強野郎」を選ぶのが意味不明すぎるしで。
―――「GOLDEN BOY さすらいのお勉強野郎」の説明はここでは省く。名作なので見ていない人は絶対に見たほうがいい。とにかく爽やかなお色気おバカのギャグアニメだ。キャラが”人間”という感じでどこかほんのりと優しいのも何とも良い。あの内容でOPがビカビカにカッコいいのも良い。チャリ発進というダサさも最早イカすほどの演出で。
「GOLDEN BOY さすらいのお勉強野郎」の話でひと盛り上がりした所で、TVドラマ、ネットドラマはよく見るようになったという話に切り替わり、そしていつの間にかゲームの話、特にEスポーツの話に移り変わってしまった。
本当にアニメの話ができなくなってしまっていることに寂しさもあるのだけれど、そうなってしまうのも痛いほど分かる。というのも自分も最後に見たのは「ギャルと恐竜」というビジュアルに凝ったショートアニメで、それも5話くらいで見なくなってしまったからだ。正月に実家で暇すぎて見た鬼滅の刃も、なるほど面白いなあと思いながら、ワンクール見切れなかった。
「今のアニメは見てられない」と思っている。そう口に出してしまうのはダサいから誰もそうは言わないが。一人が「結局キャラが”人間”になってないからね」なんて言った時、なるほどねと思いつつ「でも昔はもう少しくらい見れていたもんじゃないか」なんて考えた。いい年こいて地べたを這いずって生きていれば、”人間”を知る機会なんていくらでもある訳で、キャラが浮いているのが目立つようになっちゃったのか。”人間”らしくない生活を繰り返す中で、アニメの中に"人間"を求めちゃうようになっちゃったのか。もっと簡単に、俺ならアニメの中に”人間”を出せると思っているのか。どれでもいいけど、執着できるだけ、まだアニメに夢の余地を持てているんだなと、密かに嬉しくなったりした。
最近はEスポーツをやるという話で、APEXやfortniteやVALORANTの話をしているうちに、むしろプレイするより大会を見ている方がアガるよねという話に滅茶苦茶共感してしまった。
大会という枠組みがある事で、プレイの中の選択一つ一つに人間性と、情動、戦略的構築が、先鋭的に現れてくるからだと思う。ただのゲーム垂れ流しから、”人間”が立ち現れてくる瞬間が、確かに大会の中にはある。それがゲームの勝敗と掛合わさって、「ドラマ」が現れてくる。
これは、かつて皆がアニメの中に見ていた「ドラマ」と本質的には全く同じものなんだろうと思う。なぜなら、友人がかつてアニメを熱く語っていた時の目の輝きがそこにあったからだ。
酒場で夢を語れるほど未来に期待も持てないし、現実を腐しきるほど馬鹿でもない。それぞれアニメの何かしらに期待を寄せてこの業界に入ったのだろうけど、実際のアニメには目も当てられない。踏んだり蹴ったり、窮屈なこの業界でも、それでも、「ドラマ」に目を輝かせられるなら、まだまだ人間は腐っちゃいないなと、そう思えた。
面白かった人、ありがとう。面白くなかった人、ごめんなさい。