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お笑いのフリは問い?

2021年5月31日
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第8回
【講師】株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO 安斎勇樹

講師プロフィール

安斎勇樹
株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO/CULTIBASE編集長/東京大学大学院情報学環特任助教/人と組織の創造性を高める方法論について研究しています/新刊『問いのデザイン』3万部突破 https://cultibase.jp/


株式会社MIMIGURIの概要

安斎さんが代表取締役Co-CEOを務めるMIMIGURI社は2021年3月にMimicry Design社とDONGURI社が合併してできた会社で、前者は「マネジメント」と「デザイン」に、後者は「ファシリテーション」に強みがあるそうです。
安斎さん曰く「ベンチャーのデザイン会社」で、これからもっと飛躍させていきたいとのことです。

DONGURIとMimicry Designは、2020年3月に資本業務提携による横断経営を開始し、以降、同一のデザイン組織として発展を続けてきました。「組織の創造性を賦活する総合知を編み直す」ことを共通の理念として掲げ、ファシリテーション/アカデミック/組織コンサルティング/事業コンサルティング/クリエイティブからなる5つのドメインによる総合的なアプローチを確立。「経営コンサルティング」と「デザイン」を結合させることで、日本を代表する東証一部上場企業からメガベンチャーまで、多種多様な企業様の事業や組織に関わる支援を実践してきました。

仕事の動機

安斎さんは「世の中の人・チーム・組織の眠っている創造性を活かすため」に仕事をされているそうです。

私も美大に来る前は創造性とは縁遠かったですが、美大に通い始めてまだ2ヶ月ですが、毎日創造的な活動ができており、(苦しい場面も多いですが、、)非常に楽しんでいます。

また、学習したことをすぐに業務に使っていますが、今までになかったアイディアが思い浮かんだりします。世界が広がってきていることを日々実感しています。

世の中の人が全てこの感覚を掴むと非常に面白い世界になるんだろうな、と思いました。安斎さんには是非今の活動を突き進めていただきたいです。

問いの重要性

安斎さんは大学時代に「ワークショップ」の研究をされていたそうです。最初はどうチームをファシリテーションすればワークショップが成功するかを研究されていたそうですが、研究を進めるうちに一つの気付きがあったそうです。

それは「ワークショップの問い(お題)」でそのプログラムの成否がほとんど決まってしまう、ということです。データでも裏付けられているそう。その発見以降は「問い」の設計に注力されているそうです。

問いの設計のコツとして、一つ挙げられていたのが、
「矛盾する要素を問いに取り入れた方が良いアイディアが生まれる」というものです。

例として「危険なカフェ」を考える、というワークショップのお題を共有いただきました。
人はカフェに落ち着きを求めますが、矛盾している「危険」という要素が盛り込まれています。少し自分でも考えてみましたが、面白いアイディアが生まれてきそうなテーマです。

このテクニックは是非色々な場面で使っていきたいです。

資生堂のプロジェクト

MIMIGURIのプロジェクトの代表事例として資生堂のTRUST8をご紹介いただきました。

MIMIGURI社は資生堂が策定した行動指針「TRUST8(8つの行動指針)」を世界中の社員46,000人に浸透させるためにどうすればよいか、というテーマを与えられたそうです。

8つもの行動指針を世界中の社員に完璧に浸透させることは(普通にやれば)不可能、と考えた安斎さんは、「8つのうちの1つを削除できるとすると自分はどれを選ぶか」というお題を社員に出すことにしたそうです

この取り組みは大成功だったそうです。
たしかに、どれがいらないかを探す過程で8つ全てを真剣に考えます。
何より「自分だったら・・・」という点がポイントだと思います。
人は権威あるものを崩す時にモチベーションを感じるそうで、TRUST 8という経営層や企画部門が考えた「権威」を現場の人が崩す、、という仕掛けになっており、非常に練られた問いだと思いました。

お笑と問いの関連

安斎さんは日常生活でも問いのタネがないか常に探しているそうなのですが、IPPONグランプリの「フリ」も全て問いに見えてしまったそうです。そのnoteがめちゃくちゃバズってますのでご参考。

たしかにIPPONグランプリのフリを見てみると、先ほどの矛盾した問いがかなり出てきました。

大喜利のフリが問いだとすると、お笑いのボケが「アウトプット」になります。そう考えると、ほとんどの関西人が生まれてから「アウトプット」を求められてると言えるとも思います。

もしかしたら・・関西人は創造的な仕事に向いてるかもしれません!(?)
今後はお笑いのフリを「問い」として研究していきたいと思います。

まとめ・総括

今回の話で一番面白かったのは、「人は権威を崩す時にモチベーションを感じる」という話です。

たしかに自分自身もそのようなケースで非常にやりがいやモチベーションが高まっていたように思います。

このような人間を突き動かす根源的な欲求は他にも色々あると思うので、それを勉強したり研究してみたいです。

そして「問い」とは、そのような根源的な欲求を引き出すツールだと思いました。

仕事の中で根源的な欲求を引き出したい場面は数多くあります。
例えばマネージメントやアイディエーションなどですが、そのような場面で問いはかなり活用できるスキルと思います。

まずは安斎さんの書籍をしっかり読み込みたいと思います(お笑いも研究しなければ!)。





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