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鬼束ちひろ

「痛みは時間が解決してくれる」とかそういう箴言?に苛ついていた若い時に、『月光』の
 「時間は痛みを加速させてく」
というフレーズをきいて、この人は本当のことを知っているんだ、と漠然と思った。

そして数年前、体が限界になっていたときに『琥珀の雪』をきいて、この歌から見える景色というかこの歌の出どころというのが本当に「世界のへり」なのだと感じた。

労働後の荒廃した心とか、払拭できない屈辱感とか、
出られない下水管の中ような状況のとき、熾そうとする火その火種を必ず消されるとき、そういうときに私は鬼束ちひろの歌に出くわしていた。
最後の光、と感じる。幻でも。実体より遠くに私を吸い上げる。

あと『流星群』と『焼ける川』の歌詞の中の、(貴方と私の)距離、に思うところがある。