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変化抵抗とあなたへの抵抗の区別

「福祉現場で役立つ動機づけ面接入門」No23 維持トークと不協和

 厳密には難しいと思います。標題に”区別”と書いておいてなんですが…。どういうことかというと、本書では、支援者とクライエントとの人間関係の中で、不協和が引き起こされていくとして、クライエントの変化抵抗(本書では維持トーク)とは区別しています。

不協和の是正

 私なりに考えてみると、元来クライエントは葛藤(本書では両価性)を抱えてやってきます。それは、「変わりたいけど、変わりたくない」という類のこころ模様です。

 もちろん、そこでは葛藤を扱う支援が求められ、葛藤の中から変化の兆し(本書ではチェンジトーク)を引き出していく。故に、クライエントが変化のための支援者からの提案に抵抗することは、両価性に触れていることであり、チャンスでもあると考えられます。

 本書で挙げられている不協和とは、純粋に、支援者に対するクライアントの嫌悪であると考えられます。もし、それが純粋な嫌悪であれば、やはり変化抵抗とは区別すべきでしょう。その意味で不協和に気づいたら、本書に記されている通り、素直に謝罪したり、まずクライアントの主張を是認することは有効だと思います。それは、支援者の謙虚さを伝え、信頼関係を築く上で重要です。

認知的不協和(cognitive dissonance):人が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。 アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。

不協和に潜む変化抵抗

 しかし、一方で、不協和にもクライアントの変化抵抗が隠れているとも考えられるのです。これは本書にはないですが、我々の変化への抵抗は、時にすさまじく、とってもクリエイティブに表出する場合もあることを考えると、こう考えることもさもありなん、です。

 いわゆる、他人のせいにして逃げるというやつです。「あなたの態度が問題」とか、「その言いかたはどうかと思う」とか…。もちろん、支援者が我が身を振り返って謙虚に非を認め謝罪や是認をすることも必要です。しかし、そこに変化抵抗が潜んでいそうな場合は、さらっと謝罪をして、本書で紹介されているフォーカスをずらすなどの方法を使って、上手くその抵抗をすり抜ける必要があると思います。なぜならば、そのやりとりを繰り返している以上、その面談は先には進まないから…。

人のせい


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