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バラエティディレクターの僕が千葉県房総地域にボランティアに行った話〜前日編〜

9月13日(金) 僕は千葉県南部にボランティアに行った。9月9日に関東地方に上陸した台風15号の影響で停電や断水などの災害に見舞われた地域だ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B4%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E7%AC%AC15%E5%8F%B7

思い立ったのは9月11日の水曜。ニュースで今まで報じられていなかった千葉県南部の悲惨な現状を目の当たりにした。僕は千葉県北西部の松戸市で育ち柏市の高校に通ったので、今回被害のあった南房総市や館山市に行ったことは(おそらく)無い。ただ、せっかくテレビの仕事をさせて頂いて、自分の作った番組を見てくれている人がその地域にもきっといる。そう思ったら居ても立ってもいられずツイッターで呟いてみた。

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冷やかしのリプも来たけれど、マジでやってみようと思った。まずは情報収集からだ。報道によると停電で携帯の充電が出来ず情報の発信が出来ず困っているとのこと。大型のロケ収録で照明さんがよく使っている電源車というのがある。

これを持っていけば色んな人が充電できて助かるんじゃ無いかと思いいつもお世話になっている照明さんに電話して手配の仕方を教えてもらった。

いつ行くかということも問題だった。今から準備してどんなに早くても、二日後の金曜。しっかり準備して仕事が比較的少ない土曜に行くということも考える。ただ、土曜ならば会社が休みの人がきっとたくさんボランティアに駆けつけてくれるはず。ならば出来るだけ早く助けに行けた方がいいのでは無いかと考え二日後の金曜に行くことに決めた。

会社の上司にも伝えないといけない。金曜には会社の主任研修が入っている。僕は収録の都合などで2年連続でこの研修をすっぽかしている。人事部からも「今年は来るように」という念押しメールが何日にも渡って来ていた。上司にボランティアに行くことを伝えると「おー、頑張れよ」「じゃあ人事部には言っておくわ」「気をつけてな」とあっさりと快諾してくれた。めっちゃ寛容じゃん!

「あ、わかってると思うけど制作費を使っちゃダメだからな」

そう。テレビの制作費は番組以外のことに使ってはいけないのだ。制作費は何から賄われているかというと、スポンサーからのお金である。スポンサーは番組を作ってもらうためにお金を払ってくれている。なので総合演出だろうとプロデューサーだろうと自由に使うことは許されない。よってこのボランティア活動は自分の制作している番組で放送しない限り自腹なのだ。

とはいえ、放送のためにボランティアをしたいんじゃ無いし、ここでテレビカメラを回すのはちょっと違う。そんなわけでこのボランティア活動を自腹でやることに腹を決めた。自腹腹決めだ。わかっている全然上手く無いけどどうしても言いたかっただけなので忘れてほしい。

「ですよね〜」

そう上司に返したものの、リアルな金額を計算し始めて白目をむいていた。とりあえず、めちゃイケ時代のデスクさん(※Pの経理のお仕事の手伝いをしたり 収録のお弁当の手伝いとか色々やってくれる方)の市川さんに相談した。この人は本当にスーパーウーマンで、色んなことを知っているし、仕事も早いしとにかく優しい。僕は圧倒的にこの人を信頼している。というかめちゃイケ時代から頼っている。

「ボランティア行くんですけど、ほら、めちゃイケの大きいロケでケータリングカー呼んだりしたじゃないっすか?カレーとか蕎麦とか作ってくれるやつ。あれ手配できないですかね?出来れば安いと助かります」

「じゃあいくつかお世話になってる所に声かけてみて見積もり出してもらいますね」

マジで頼りになる。頼りになりまくる。なんで40超えて結婚していないのか。と、いい意味で思う。本当にいい意味で。リスペクトも込めて。いい意味で。

9月12日(木)

朝からニュースを見る。未だに停電、断水が続いている。携帯電話が繋がらない地域もたくさんあるらしい。コンビニなどの商店では食料が底をつき、飲料も無い。各自治体や通信業各社が動いて携帯電話の充電は出来るようになり始めているようだった。というわけで電源車は必要なさそう。

食事はまだ食べられない人が多いということで、食事と飲料水などの物資を届けることに決まった。早速、昨日ケータリングカーの手配をお願いしたデスクの市川さんから連絡がある。

「やっぱり、直前すぎて車が全部出払ってるみたいで、カレーライス200食分なら用意できるみたい」

って事は、車も人手も必要って事ですよね・・・大変なことになった。でも動き出した船は止められない。ロケバスの会社に電話して車の手配。あとは人手だ。

「これってだいたい何人ぐらい必要だと思います?」「最低5〜6人は必要でしょうね」

スーパーウーマン市川氏はボランティアの資格もたくさん持っているらしく、そんなこともちゃんと答えを教えてくれる。

「てか、何人で行くつもりでした?」「いや、俺一人で行けるかなって・・・」「無理ですねー。」

やばい。泣きそうな顔したら、市川さんが「私も行きますよ」と快く言ってくれた。マジで優しい。なんで40超えて結・・・

僕が担当しているIPPONグランプリやダウンタウンなうのADにも「俺、明日ボランティア行くけど一緒に行く人〜」と軽い感じで声をかけたら3人も手を挙げてくれた。最近の若いADはフットワークも軽いし、心も清い。テレビ界も捨てたもんじゃ無い。

「てか、明日お前ら仕事しなくていいのか?」「日置さんが動いてなかったら仕事ないです」

俺が積極的に休めば君らも休みになるのね。てか、俺が動くことで君らの仕事が発生してるのね。なんかフクザツだね。ごめんね。

お世話になってるTK(タイムキーパー)さんや会社のCSR(意味はググってください 俺も正確にはよくわからない)をやってるバラエティスタッフの先輩も参加してくれることになり、7人とドライバーさん2人とハイエース2台で翌日、千葉県南部にボランティアに行くことが決まった。

(続く)

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