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クイナをこよなく愛するマングース

時はバブルのまっただ中。都会では高級車や高級クラブ、ブランド品等が支配する中、本州の北の外れで密かに誕生した男

地球世紀19XX年人類史上ごくまれにいる男の物語である


前回のあらすじ

散歩中に亀と出会い一緒に帰りたいとせがむ彼。司令官はしぶしぶそれを承諾した。新しくできた相棒の亀とこれから一緒に生活をして行く事になった。


第9話 相棒! 後編

彼は今日も飽きる事なく相棒の側にいた。そして相棒にストレスを与え続けていた。けして悪気があってやっていたわけではない。ただ、純粋に相棒と遊びたかっただけである。

「そ~だ!名前つけてあげないと!」
彼はそう思って、相棒に名前をつけてあげることにした…
名前を考えしばらく悩んだ彼は
「ん~、なかなか決まらない… ま~亀でい~か」
と結局、名前?をつけて亀と呼ぶことに決めた。そして数日後……

水の入った洗面器の中にいた亀を見て、これだと狭くて可哀想だから広い所に変えてやろうと思い、彼は司令官に相談した。

「少し広めの水槽に入れてあげたいけど…」と彼は言った。

「水槽?ダメだ!またお前に破壊されてしまう危険性がある!同じ過ちは二度と繰り返してはならん!忘れたのか!わずか数ヵ月で儚く散っていった金魚達を…水槽の変わりはあるが、彼らの変わりないんだぞ!けして無駄死にだけはさせてはいけない!分かったな!」と司令官は熱く語った。
彼は、「分かった……」と言ってうつむき、亀の元へ戻っていった。

「司令官の言いたい事も分からない訳ではないけど、狭いの嫌だよな~。亀はど~思う?」と相棒の亀に語りかけた。

そして彼は考え、ついにひらめいたのである!

「そ~だ!使ってない大きい金だらいがあった!それなら洗面器より広いし亀もきっとノビノビできる!」そして彼は倉庫内をあさり金だらいを引っ張り出した。

しかし金だらいは思っていた以上に大きく、今度は置く場所に困ってしまった……

「ど~しよ~…ん~…とりあえず、外の裏口の近くに置いておくか。」と彼は言ってそこへ置く事にした。それが悲劇の始まりとは知らず……

相変わらず彼は毎日、亀の様子を見に行っていた。暇さえあれば会いに行っては無駄にエサとストレスを与えていた…何度も言うが悪気があった訳ではない。ただ純粋に亀との日々が楽しかっただけである。

そんなある日のこと、指令部から緊急招集があった。内容は西で発生した敵の巨大勢力が北上をしている事と、その敵勢力が北上する際、進路上にこの基地があると言う事だった。そのため早急に対策をせよとの命令が下された。

予測だと敵勢力の到達時刻は明日の午後!時間は1日しかない!食糧の確保に、基地の補強!やる事は沢山あり彼もまたそれらを手伝った。そして敵勢力を迎え撃つことになる…

翌朝、敵勢力が近づくにつれ空は曇り、風が強くなっていく!情報収集のため、モニターを監視していたベテランは

「思ったより敵の進行スピードが早いな。このまま無事に過ぎてくれればい~けど…」と言った。だんだん雨と風は強くなり、遂に敵の第1陣が彼らの基地を襲った!司令官は

「敵本隊が到着するまでまだ少し時間がある!それまでに不備がないか最終チェックをしろ!」すかさず全員で最終チェックをする……

そして敵の本隊が襲来!物凄い風と雨に築45年の基地は大きく揺れ動く!今にも剥がれそうな音をたてるトタン屋根!ベテランと司令官は黙ってモニターを監視しながら敵が通過すのを待っていた。そして朝を迎える……

夜が明け、風は落ち着き空は晴れ渡っていた。なんとか敵の襲来をやり過ごした彼らは被害状況を確認するために作業を開始した。彼は外へ出て建物に損傷がないか見て回った。その時彼は思い出した!相棒の亀を外に置きっぱなしにしていたことを。彼は急いで裏口へとまわり亀のもとへと駆け寄った……

そこで彼が見たものは、無残にもひっくり返った金だらいだった…

彼は一部の望みを願い金だらいに手をかけた。

「頼む居てくれ!亀!絶対にいる!絶対…」そして金だらいを持ち上げた……

しかし願いは通じなかった。彼は愕然とした…そこに居て欲しかった亀の姿はなかった…

彼は必死に辺りを捜索したが亀はみつからなかった。彼は悔しさと絶望の中、涙しその場に座りこんだ。しかし彼は悲しみを振り切りこう呟いた。「亀はきっと自分の帰るべき所へ帰ったに違いない。またどこかで会おうね!」
と涙を流し晴れ渡る空を見上げるのだった。


敵の襲来を無事にやり過ごした彼だった。しかし自分の不注意で相棒の亀と離ればなれになってしまう……彼は涙し、自分を悔いていた…しかしきっとどこかで元気に過ごしている!またどこかで会おうと思ったのであった。

次回 第10話 司令官の過ち! 前編

何事もなく平和な日々を送る彼にまたしても災難が起こる!司令官は隊員の士気向上のためにある秘策を考えた。その秘策により部隊が分断されてしまいそうな危機を迎える。その秘策とは何か!そして指揮官のおかした過ちとは!

“君は司令官のおかした過ちに耐えられる事ができるか!”


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この物語は実話を元に脚色を加えて制作しております。多少の誤解等あるかもしれませんがご了承下さい。



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