猿の骨というバンドをやっている緒方恭は白楽の練習スタジオに居た。

東横線の白楽駅の六角橋商店街から踏切を渡った逆側のスタジオでかつてミッシェルガンエレファントが使っていたらしいスタジオで緒方は一人でギターをアンプに繋いで爪弾いてアンプのセッティングをしていた。

今日は猿の骨というバンドのリハーサルで3日後に行われるライブに向けて本編と同じ曲を通しで一度か二度合わせて演奏してみようと思っていた。

三日後に行われる予定の企画ライブは西横浜にあるライブハウスでフィリップシーモアホフマンという名前のハードコアパンクバンドが企画したものだった。
フィリップシーモアホフマン、猿の骨、フォーク歌手の妻元健一、ノイズアンビエント系ギタリストの徳竹一郎、等が出演するらしく猿の骨は一番最初に演奏する予定になっていた。

猿の骨は裏打ちのリズムを緒方がギターで出してベース、ドラムも割とレゲエ的な演奏をしつつリードギタリストの諸頭見亘がティムヘッカーみたいなノイズを被せたりしていく事で曲の小節を埋めていくという様な事をやっていて歌は緒方が作ってギターを弾きながら歌っていた。

なかなか他のメンバーが来ないのでスタジオの受付で譜面台を借りて来て当日演奏予定の曲の歌詞とコードが書いてある紙を載せた。

リハーサルが終わったので緒方は近くのカフェに行ってコーヒーを飲みながら一服していた。時刻は午後4時17分だった。

「4時20分に世界中の人間が全員同時にガンジャを吸ったらどうなるだろう?」と緒方は思った。

カフェにはレゲエのサウンドマンをやっている是山定雄が来ていたので緒方は件の考えを聞いてみた。

「いや・・・とりあえず、、、町中が煙で真っ白になる事だけは確かだよね。」

コーヒーを飲んだ後に歩いてすぐ近くのレコードショップに行きアーサーラッセルのアナログLPを購入して帰宅した。

対バンの人達は旧知の中で久しぶりに会う人達ばかりだった。安否確認の様なライブを終えて緒方は次の日は休日だったので丹沢に行くことにした。西丹沢の細い川沿いの山道をプロボックスで入っていく。

少し広くなっている所に車を止めて山に入って行く。登山道では無い傾斜のきつい所をしばらく歩いていくと平地に出た。緒方の畑だった。

トリミング作業をして花穂が出来ている物は刈り取って木に吊るしておいた。前に来て吊るして乾燥させていた物からバッズを切り取ってガラスの瓶に入れていった。

作業を終えて一服していると鹿が来たので鹿の方に向かって煙を吐き出した。
鹿が少し近寄って来た様な気がした。

そこそこの山の中なのでGoogle マップなどは使えないのだが何故かスポーティファイは繋がったので音楽をかけようと思いhorace andyのfound someone of my ownを爆音で流した。

緒方は46歳になっていて仕事はアマゾンの配達の仕事を請負でやっていた。猿の骨というバンドは緒方が大学時代に組んだバンドで当初好きだったfishboneみたいな事がやりたかったのだが体力が無くて全然fishboneみたいにならずに遅いレゲエバンドみたいになっていった。


日が落ちて来たので枯れ木を集めて来て焚火をした。
焚き火にウインナーを串刺して焼いて食べた。






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