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読書譚11

【あまりにやさしい会計の本】

2012年9月 第1刷発行
著者:後 正武
発行所:ダイヤモンド社


【読書譚11 】

図書館へ行く機会が増えた昨年夏。そこで今年はせっかくなので新しいことに手を付けてみようと思いました。それは、1年を通じて読む本のテーマをいくつか決め関連する書籍を読んでみること。

私はどちらかといえば乱読派のため、手に取る本に一定の共通性はあるものの、時間軸はバラバラなことが多いので、じっくりと深めていくということが少し薄かったようにも思います。

もっとも、それはそれで興味の対象が広がるなど良い面もあるのだと理解していますが、せっかく図書館を活用するんだったら、いくつかの分野に絞って、とにかく触る・めくる・眺める・読む、のスタイルでいってみようと思い至っているところです。

▽相変わらずの視点

テーマの一つにしようと思っているのは会計や経済に関する本です。そこでまず手に取ってみたのが本書。やっぱり、まずはやさしくなければ続きませんから。

ところがタイトル通り内容は会計の本なのに、会計のことではなく言葉の大切さや答えを導くまでの筋道、つまりロジック(論理)のほうへ関心が向いてしまうあたり、やはり自分は数字を苦手にしているなぁ…と改めて自分の苦手分野であることを再認識しているところです…。

もっとも本書でも強調されている部分は下記の引用文にもあるとおりなので、この本を改めての入口として、他の本も読み進めていきたいと考えています。

会計を学ぶには、頭から公式を覚えようとする詰め込み方式ではなく、会計本来の道筋に沿って正しく理解し、実地に適用して確かめることが有効だということを皆さまもおわかりいただけたと思います。


▽はじめて触れた財務諸表の記憶

振返ってみると、損益計算書(Profit and Loss Statement : P/L)に初めて触れたのは、今から20年ほど前に所属していたベンチャー系(当時)訪問介護事業所の管理職になった時でした。

といっても当時は会計の知識などまるでなかったので、エリア会議で各事業所の月次P/Lを配布されても、売上がいくらで、人件費や家賃がいくらで、赤字がいくら…程度のことしか読めず(読むというより眺めていただけ)、P/Lをヒントに何を改善しなければならないのか、どんなアクションを起こせば良いのかといったことまでにはまったく思い至らなかった、そんな記憶しかありません。

その後介護事業から病院勤務へと転職したときには、少しはP/Lを興味を持って眺めるようにはなりましたが、この時もまだ貸借対照表(Balance Sheet)は上手く理解できない自分がいました。

▽視点と奥行き

売上から費用を引けば、どのくらいの利益が残るかは小学生でも計算できる。財務諸表を眺めて、数字がどのように推移しているかを見ることも同じこと。でも大切なことは、その数字が築き上げられてきたストーリーを丁寧に読み取ること。そうしたことができるようになれば良いなと、いい歳をしてなお思っています。

なぜそんな風に思うかと言えば、過去こうした数字を改善することができなかった自分がいるからに、ほかありません。

会計の知識があるからといって、商売が上手くなるものでもないでしょうが、収支の流れや投資・調達といったことを知っているのと知らないのとでは、なんの技もないまま体力と勢いだけで勝負するようなものであって、若く力があればそれでも通用するかもしれませんが、あいにく世間では中年と呼ばれる年代になっているいまの私がそうした方法を取るのは無謀でしかありません。

もっとも税理士や会計の専門家を目指すわけではないので、あくまで本業を支える知識として、スポーツに例えれば、技や体力の使い方の引き出しを増やすためという視点で、これからもこのテーマに向き合っていきたいと思っています。


▽おわりに

読んだ本を記録していこう、本を読んで感じたことや考えたことについて「書く」という行動をすることで自分の思考を整理していこうと思い書き始めたこの「読書譚」シリーズ。

書評のようなスタンスではないため基本的には本の内容に触れることがない時があることをご容赦ください(笑)。

2022.02.05 阿部 勇司

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