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可視化の第一歩 収益の要素を分解する(前編)

はじめに:

こんにちは。ホワイトボックス コンサルティング部の阿部です。病院は病院会計準則に則り日々の会計を記帳し、決算が終了すると国へ報告します。こうした一連の流れは、報告会計と呼ばれます。一方で、管理会計と呼ばれる会計があります。これには特に法的なルールはありません。自分たちが分かりやすいような形で収益や費用を把握し、傾向と対策を立てていくことが、管理会計の目的だと理解しています。

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収益の要素にはどんなものがあるか(外来編):

病院の売上げは、外来部門の収益と入院部門の収益に大別することができます。外来で複数の診療科があれば、診療科毎の収益を把握すると同時に、患者さんの数がどのくらいだったかといったこと、またこのうち、初診の患者さんの数、新しくIDを発行した患者さんの数、1人当たりが一月に何回受診したか、といったことなどまで、収益を構成している要素を分解していくことが有効です。

1人当たりの受診回数は、「延べ患者数÷実患者数」で概算を知ることができます。延べ患者数と実患者数の違いは、前者が累計の患者数、後者は実人数といえば分かりやすいでしょうか。

また、ここで少し気にしておきたいのが、新しくIDを発行した患者さんの数をキチンと把握する、ということです。初診というのは、一定の期間が経過すると、再び初診に該当することがあります。通常、普段病院にかからない私たちが、年に1回、風邪をひいて同じ医療機関を受診したとしても、大概は初診という診療報酬が算定されています。しかし、この場合の初診は実際には過去に受診したことがある人であり、新たにIDを発行した人とは違います。

ではなぜ、新たにIDを発行した人の数を把握する必要があるかといえば、患者さんを獲得していく力がどのくらいあるのか、を把握するためです。初診数40人に対し新規登録患者数5人と、初診数40人に対し、新規登録患者数20人では、将来的に獲得できる可能性がどちらが大きいかは、明白ではないでしょうか。

延べ患者数、実患者数、初診患者数、初診患者に占める新規登録の患者数、1人当たりの単価、などが外来の収益を構成する要素になります。


その他の視点:

上記は定量的な数値として時系列に記録し、グラフ化するなどして、前月や前年同月などと比較して傾向と対策を考えていくことが有効です。

こうした定量的な視点以外には、どんなものがあるでしょうか。自院を受診した経緯ということを把握していくことも重要でしょう。家族や友人からの口コミなのか、ネットをみてきたのか、といったことを把握することで、増患のためにどの領域に資源を注力していくかを考察していく必要があります。

また、将来の患者さんになるかもしれない、新規に来院した患者さん。こうした人たちの住所地を分析するのも一案です。当院を中心として、どのエリアからの患者さんが多いのか。仮に少ないエリアがあるとすれば、何が要因なのか。競合があるのか、それとも何か別な理由があるのか。こうしたことは、看板の立地や配布物の配布エリアを考えるときに有効になります。院外でセミナーをやるのであれば、少ないエリアに近い会場をあえて選択し、認知度をあげていくということも選択肢としてはありかもしれません。

前編まとめ:

こうしたデータを毎月蓄積していくことが大切です。1年目は比較するデータも少ないので、あまり面白くないかもしれません。でも、3年、4年、5年と経ってくると、比較するデータが目に見えて増え、グラフ化することで漠然としたイメージではなく、視覚に訴えることができてきます。

数値を肌感覚として覚えておくことは大切ですが、視覚情報としてみるとまた違った景色が見えてきますし、議論のベースとすることができます。議論をするときにこうしたデータがないと、空中戦といわれる口上だけの議論になりがちですが、データがあるとデータをベースとして地上戦的な議論をしていくことができます。

収益が増えた、減った。良かった、悪かった。だいたいこのくらいだから、次はこのくらいになると思う…といった議論で終わらせず、増減の要因に加え、将来の可能性はどうなのか、といったことを吟味していくためにも要素を分解し、可視化していくことが有効です。

付録:

私が弊社で作成を担当しているメルマガ「☆キラリと光る☆ 病院マネジメントのヒント」で似たようなテーマを取り上げたときの資料も参考までにご覧ください。


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