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日本の企業ではなぜSNSが一般化しないのか?

コロナ禍において、
「コミュニケーションが取れなくなった」
「テレワークを進める上でどうすれば疎外感がなくなるのか?」
と話される方が一気に増えました。

そんな方々におすすめなのがSNSですが、日本では一筋縄には行かない事が多いです。今回はそんな話です。

企業向けSNSは選択肢が豊富

日本においても一般向けのSNSサービス、FacebookやTwitter、そしてLINEを使っている方々が沢山おられます。
LINEについては日本国内で9,000万人の方々が使っています。
人口が1億2500万人ですから、使えない子供や超高齢者を除けばほぼ全ての人が使っている。と言っても過言ではありません。

一方で企業向けSNSはどうでしょうか?
Microsoft TeamsやLINEWORKS、Facebook Workspace、Slackと多くの企業向けSNSが提供されています。
使い方も一般向けのものとそれほど変わらないものが多く印象です。

にも関わらず、実際に企業の現場で活発に活用されている印象は少ない状況です。
実際に導入されている企業の中でも「結局SNSではなくメールを使っている」「対面の方が早い」「SNSは使いにくい」という認識が多数派にも思えます。

環境は整っているものの使い所がまだまだ不明・・・
どうしてSNSはそれほど使われていないのでしょうか?
その背景には一般向けのSNSの使い方に原因があるかもしれません。

中国でスマホを購入した際の話

深圳の電気街 華強北小さな店舗が数えきれないほどある

3年前に中国の深圳を訪問した際、とあるショップでスマホを買いました。

日本では売られていない大型液晶を搭載したSIMフリー端末を極々一般的な店舗で買いました。
家電量販店などの大型店舗ではなく、よくある「小規模店舗」です。

中国ではスマホ購入時にサービスでガラスフィルムを貼ってくれたり、外国人が購入した場合はアプリストア(中国専用端末の場合、Google Playなどのアプリストアがインストールされていないことが多い)のインストールをしてくれたりします。
一通り作業が終わった時点で会計になるのですが、その際店員から「Wechatは使っているか?」と聞かれました。
「使っている。」と答えると「ID交換しましょう。何かトラブルがあったらそちらにメッセください。」と言われその場でID交換をします。

日本の方々からすると一度訪れただけのショップの店員個人に「LINE  ID交換しましょう」と言われたらどう反応しますか?
「この人はなぜ個人IDを交換するのか?」
「個人情報漏洩?」
と思ってしまう人が多いのではないでしょうか。

詐欺?
怪しい連絡がくる?

さまざまな憶測が発生するでしょう。

ちなみにこの際に交換した個人IDから宣伝などの「メッセージ」や「勧誘」などは一切来ませんでした。
ショップの公式IDでもない限り、本当にサポートとしての使い方しかされません。
つまり、初見の人ともSNSで繋がる事はごく普通のことなのです。


なぜ、日本と中国でこれほど違いがあるのでしょうか

中国のSNS「Wechat」の話

中国の標準的なSNSとして利用されているのがWechatです。

SNSだけではなく、ミニアプリで行政サービスの利用や飲食店のオーダー、キャッシュレスサービスとしてWechatPayまで利用することができます。
このWechatはすでに中国国内で12億人以上の人たちが使っています。中国の人口が14億人ですからスマホが使える人がほぼ使っている。と言っても過言では無いレベルです。

このWechatのSNSは使い勝手的には「LINE」と非常に似ています。

日本のLINEだと家族&友人とID交換を行い、それ以外の方とはよほどのことがなければID交換せず、交流することもありません。

一方中国でのWechatの使い方は「会社の社長がIDを開示して一般の方や従業員と会話をする。」「ショップの店員がお客様と会話する。」など、会話をする可能性があるすべての相手とオープンにID交換をすることが多いです。

日本の場合においてはコミュニティ内専用の会話ツールとなっている一方で、中国ではオープンコミュニティツールとなっているのです。

直接顔を合わせなくてもオンラインで会話が成り立つツールとして高頻度で利用されています。つまり先の店員さんも会話手段を作るためにIDを交換したにすぎないのです。

チャットツールを使って会話する姿は街中の至る所で見かける

SNSがクローズドコミュニケーションツールという認識

日本の場合、SNS自体がクローズドコミュニティで利用されるツールであるという「認識」があるのではないでしょうか?
また、LINEなどで慣れている方々からすると「親しい人以外とは距離を取りたい」「会社の同僚とはいえSNSではコミュニケーションをとりたくない」と言われる方々が非常に多くおられる印象です。

SNSの活用についてお話をしていても
「休みなどに連絡されたくない」
「メッセがきたらすぐに返さなければならないためメッセを受けたくない」
「どういう風に反応して良いかがわからない」
と仰る方々が多い印象です。

すでにSNSが導入されている企業においても現場では同じ認識をもたれSNSの利用が進まない。
なんてことも多く見受けられます。

SNSの使い方・認識を変える

さらには、長年企業の中で活用されている「メール」がSNS普及を妨げている現場も多くあります。
メールによるコミュニケーションルールをそのままSNSに適用してしまうケースです。

挨拶や言葉遣い、文書のような推敲をして送るように。幹部から順に言葉を投げかけるように。などのルールが暗黙的に課せられている現場もある様です。
すなわち「メール」の進化版が「SNS」と捉えられているケースです。

しかしながら、メールの発祥が手紙のデジタル版、とするとSNSは会話のデジタル版にあたります。

「会話」においては文書推敲は不要ですし、そもそもルールを決めている人も少ないでしょう。

当然「最低限の言葉遣い」は気をつける必要があるかもしれませんが、声掛けなども含め、事前に何かしら予備動作や根回しをした上で。ということは不要です。
また、SNSは会話から生まれたものですが、デジタル化されたことで便利になったことも多くあります。

手紙がデジタル化してメールになったことで、
「多くの方へ同時に発信できる」
「リアルタイムに届けられる」
「書類なども添付できる」
など多くの変化がありました。

SNSの場合も、会話に比べ、
「どんな場所、時間でも即会話できる」
「バラバラの場所にいる相手とも一緒に会話できる」
「写真や資料を共有、確認しながら、より深い会話ができる」
など多くの点で便利に変化しています。

一方でこの便利な変化をネガティブに捉える方々もいます。
「いつでも、呼びかけられる」
「役職などの立場を無視してしまうことになる」
「仕事とプライベートの境目がなくなってしまう」

・・・

会話がデジタル化したことで便利になった訳です。しかしその便利になった部分をネガに捉えてしまうと結果的に、「メールの方が良い」につながってしまいます。

今やSNSが世界中で当たり前になり、日本でもプライベートでは当たり前に使われている中、「現在の働き方に合わないからSNSは使えない。メールや対面に」としてしまうのは、世界の潮流と逆行する動きとなってしまいます。

むしろ、働き方改革の一環として
「思いついたらメッセ入れて、反応できる人は答える。応えなくても問題視しない」
「役職などの立場を気にせず会話ができるよう、風通しを良くする」
「仕事時間とプライベート時間のメリハリを受け取る側がしっかりと認識する」
など、行動や意識を変えることで、ビジネスを加速させ、テレワークなども推進し、新しい働き方を実現する手段につながるのではないでしょうか?

いつでも、どこでもコミュニケーションを取ることが普通に

働き方は社会環境の変化で常に変わる時代へ

スマホが登場して以来、世界のデジタル事情が急速に変化しています。いまやデジタルを無視してあらゆることを語ることが難しい時代になってきています。
またデジタルサービスも年々新しいものがでて来ていて、常に変化させることが求められる時代に来ています。
会社のルールが、インフラが、働き方が。ということを言っていられない時代になってきているのではないでしょうか?
働く側も、雇用する側も、お互いが現在の世界の潮流を認識し、新しいデジタルを取り込む時代に変化しています。

まずは、わかりやすい変革として「SNS活用」をしてみてはいかがでしょうか?

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