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講演時の伝え方

今回はエバンジェリストとして気をつけている「講演時の伝え方」について書いていきます。

物事を決められた時間で伝えるのは難しい

 みなさま、今から3分間で相手に自分の思いを伝えてください。と言われいきなり初対面の人に思いを伝えられますか?

 「まず無理」

 と言われる人が大半でしょう。大体の人が同じ反応をされると思います。エバンジェリストを4年以上やってきて年間170件ほど話をしている私でも、一瞬たじろぎます。

 人に話をして何かを伝えたい。と考えた際、この「無理」と思ってしまう部分をいかに無くするかが重要になります。

 なぜ「無理」となってしまうのでしょうか?

 それは「相手のことを知らないのに、どう話せば良いか分からない」ということが多いのではないでしょうか?

 何を考えている人?
 どういう業界の人?
 何に興味がある人?

 情報がない中で探りながら話すとしても3分という短い時間ではなかなか大変です。

 つまり「情報があれば話を行うこと」ができるわけです。

 私の場合、各講演会などでお話しさせて頂く際には、この相手の情報を「プロファイリング」します。
 よく頂く情報は「経営者や一般従業員」などの役職や「男女比」「所属組織・業界」などの情報です。ただ、この情報だけでは顔が見えてきません。

 顔が見えない。というのは、話す相手のことがわからない。と同義です。

 ですので、私の場合はこの情報を元に「仮想で人物を作り上げます。」

仮想人物に向けたストーリー作り

 「地域流通業の経営者で男性、年齢は55歳くらいで転職経験はなく、業界を深く知っている。日本の関連業界の話は一通り知っている」

 こんな感じの仮想人物を想定(プロファイル)します。一人だけでは無く複数人を想定することもあります。この時点でまだ資料は作っていません。

 ここからは依頼のあった講演テーマに従い、その人物を想定しながら参加される方々の目的や要望、認識などを想像しながらストーリーを組み上げます。
 この作業は別に講演だけでなく、普通のプレゼンテーションでも同じです。
 参加される方々は「聞きたい」から参加されているのです。聞きたくないことを聞くことは無いわけです。

 ただ、聞きたいことを話したとしても理解されなかったり聞いてもらえないことがあります。

 その場合、「目線がずれていること」がよくあります。

目線のズレをなくす

 この目線というのは「相手の目線」と「自分の目線」のことです。ただ、同じ認識を持っている。というだけの話ではなく、共通の言葉、共通の認識・世界観などのことです。
 特に専門的な業界の方は専門的な言葉を使いがちですが、必ずしも相手がその言葉を認識しているとは限りません。また、認識していたとしても、その認識がずれていることもあります。
 私の場合は、専門用語を使う必要がある場合は、その用語の補足説明や具体例を挙げますし、以外の場合はなるべく専門用語を使わない様にしています。

 目線を合わせるためには、相手の立場に立って話をすることが非常に重要です。
 なぜなら、少しでも違和感や認識のずれが生まれるとせっかく良いプレゼンや講演をしたとしても、その違和感やずれが講演中に残ってしまい理解を邪魔することがあるからです。

 このズレや違和感が少なければ相手はプレゼンや講演に没頭してくれます。

準備をしっかりとする

 話す相手のプロファイルを意識し資料を作る。準備にはしっかりと時間をかける必要があります。
 ただ、無駄に時間をかけるのではなく、相手のプロファイルから見えたポイントを押さえ、プレゼンの構成を組むことで短時間でも相手を掴むプレゼンが可能です。

 時間をかけずに、ありものの資料で相手も知らずにプレゼンテーションをしてしまうと、理解されなかったり、自分向けの話では無いと認識されたり、資料などのテイストが違っているとツギハギ感を感じられたり…

 せっかく頂いた時間を無駄にしてしまいますのでご注意ください。

 私の場合は、依頼を頂いた際に仮想相手を想像し、荒いレベルでの資料の流れを作ります。パワポの場合、1枚1センテンスの様な感じで流れを作ります。パワポにはセクション機能がありますので、章立てはそちらで行います。
 例え既存の資料があっても、この時点では入れ込みしません。資料ごとに粒度も違いますし、流れに沿わない場合、作り直しが必須です。白紙の資料より何かしら入っていた方が進捗感は増しますが、あとでレベルやテイストを揃えることが大変になります。
 「なんとなく流れができたからこれで良い」なんて妥協も生まれます。

 この妥協、聴講者の方は感じ取ることが多いですので、ご注意ください。

その流れをもとに、開催日までネタなどを探りながら肉付けをし、1〜2週間前までには資料を作り上げます。他の方から資料をいただくケースもありますが、エッセンスとして使い、フルスクラッチすることが多いです。

 しかし、この完成した資料をそのまま使い話すことは少なく、当日〜前日位にイベントの概要をもう一度見直し、資料を数ページ追加することも多いです。
 また、講演1時間前にお客様の集客傾向を聞いて数ページ即興で作ることもあります。

 常に相手のことを考えながら、考えていたプロファイルよりも解像度が上がった情報が手に入れば修正を行い、話し方も変える。
 プロの方の話術などが優れていると感じる背景には、このような「聞く相手にしっかり聞いてもらうための準備」をしっかりと行っているためです。

 「自分は話のプロでは無い」

 という方も多いと思いますが、人に伝える。というシーンはビジネスの随所に存在します。みなさまも物事を伝える際、仮想相手を作り、興味がありそうなことを深掘りしストーリーや話し方を変えてもらえれば、商談などのシーンでもうまくいく様になるのでは無いでしょうか。

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