日本ではスマホ向けサービスは浸透しない。は幻想?
「日本はスマホ使える人が少ないから、デジタルサービスよりも紙による処理の方が良い。」
「デジタルデバイドを考えるとデジタルサービスを広げるべきではない。」
色々な声が聞こえてきますが、実態はどうなのでしょうか?
今回はこの辺りの話をします。
スマホは若者のためのツールなのか?
デジタルの話をすると切り離せない存在となっている「スマートフォン(通称スマホ)」ですが、皆様の印象はどうでしょうか?
「若者はともかく、高齢者などに向けたサービスは紙の方が良い。」
「スマホを使うのは若い世代だけ。中高年は使わない。」
こういう話を良く聞きますが本当でしょうか?
ちなみに、日本においてはインターネット利用のうち68.3%が「スマートフォン」で利用しているという状況です。
実はパソコンから利用する50.4%を大幅に超えています。
(総務省令和3年度情報通信白書より)
ちなみにシニア世代(60~69歳)のインターネット利用率は既に90.5%に達しています。また、同世代のスマホ利用率は既に80%を超えており、今やシニア世代でもスマートフォンでインターネット利用が当たり前になってきています。
スマートフォンが爆発的に普及した背景は「SNSの利用」があり、文字やスタンプによるメッセージでコミュニケーションを取ることがシニア世代でも「普通」になりつつあります。
お孫さんとのやりとり、同世代の集まりでの会話など、多くの方々が便利に使っています。
「デジタル」は特殊なもの、「スマホ」は若者のもの。
これらはもはや、昔の常識になりつつあるのです。
今がシニア世代でも、文字入力も含めたスマホの操作は出来るようになっています。
途上国などでも浸透する「スマホ」利用
日本において、シニアがもうすでにスマホでインターネット利用が当たり前。という話をしました。では世界的に見るとどうでしょうか?
たとえば、「アフリカ」
皆様がインフラが整っていない国。という認識を持たれていると思いますが、既に20歳以上のインターネット利用率は80%を超えており、その昔バラエティ番組で「原住民族」として紹介されていた「マサイ族」ですら、スマホ利用者になっています。
南アフリカやケニアでも5Gネットワークの構築が始まり、モバイル高速通信が利用できるところが広がっていく見込みです。(現状は3Gと4Gが入り乱れている状況です。)
この背景には安価なスマホの存在があり、3G対応なら3,000円程度で購入できるスマホなども販売されています。また、キャッシュレスサービスM-PESAで分割払いで買うこともできます。近年では年間1億台のスマホがアフリカで売れている様です。
日本においても近年、中国製のスマホが流通し始め、1〜2万円で購入できる様になったことが後押しになっています。
全世界で見ても同様の流れがみえており、途上国でも、今後スマホを利用することが「あたりまえ」になっていくことが予想されています。
今後ますますDXが注目される社会へ
スマホの普及とともに、利用者は「簡単に使えるデジタル」というモノを意識し始めました。
パソコンは持っていても年賀状とメール位。という方が多かった時代から、SNSによるコミュニケーションなどにより意外にデジタルツールが簡単なことに気づいて来ています。パソコンだと定期アップデート、セキュリティ対策、アプリやOSの設定など、少し専門的なところが多いですが、近年のスマホはアイコンをタップするだけでほぼ終了。年賀状を印刷するために、アプリパッケージを購入しライセンスコードを入れセットアップをして、データを入力、印刷処理を行う。などなど、デジタルって面倒だし途中でエラーが出ると対処できない。と嘆かれる方も多かった印象ですが、今やスマホで柄選択して連絡先の住所から選んでクラウドやコンビニで印刷。あとは待つだけ。なんてことになっている訳です。
この変化はデジタルツールが成熟したとともに、使い方もシステム的なものからUX重視に変化してきた結果です。
つまり、難しいシステム面のあれやこれやはうまく隠蔽し、使う側がやりたいことを直感でできる様な仕組みに変わっている。まさに、DXが起きているのです。
今後もこの流れは続くでしょう。やりたいことに対し直感でできる仕組みが各所に溢れかえることになるでしょう。特に海外ではこのような動きは顕著だと思います。
GAFAMが提供しているサービスもまさにこの動きに合っています。
複雑化する部分は仕組み側がうまく隠蔽し使い勝手の良いところだけを提供する。
Googleのサービスなど見ていてもそういうことがうまくできていると感じます。
Google Map, Drive, Mail, 検索・・・様々なサービスを提供していますが裏ではしかり繋がっていて、どのサービスからも利用者の情報から得られた物を連携し、便利に、簡単に使えるようにしています。
当然簡単、便利な世界が手の中のスマホで実現できるようになっているため、通信料などの下がった現状の日本においては、スマホを使わない。という選択肢は無くなってきています。
便利を知った人達の「この先」
一度便利な世界を知ると中々元には戻りません。
炊飯器をやめて土鍋でご飯を毎日炊く、冷蔵庫ではなく、川の流水や氷で食材を冷やす、掃除機ではなく、ホウキとちりとりで毎日掃除する、全て手洗いで洗濯する、車や電車は使わず長距離を徒歩で移動する・・・
みんな便利を知ってしまっていますから元に戻す。ということが難しいでしょうし、実際、ほとんどの人が便利なものを使っています。
これらの便利なもの、の中に今回スマホが追加されました。
友達や家族との情報共有、動画やサイトを使った調べ物、旅先や食事での写真の共有、色々なことをスマホでこなしている人は増えています。これらの人達に、スマホ以前の行動に戻して。と話ても戻らないでしょうし、ましてや、スマホ以前のIT機器の仕組みを使って。と言っても使わないでしょう。
日本の多くの方々はスマホで新しい便利を知ってしまいました。
今後はその「便利」を実現するサービスや仕組みでなければ、利用してもらえない可能性が高いです。
当然行政サービスや税務処理の様に「行わなければならない義務」については、対応するでしょうが、「便利ではない」ということを認識した世代にとっては「なぜこんな仕組みを使う必要があるのか」という疑問を抱くことにも繋がります。
世の中が着実に便利に、DXを進めていく中で、今後はスマホサービスは普通になり、サービスレベルもスマホで簡単にできることが当たり前。と考える人達が着実に増えるでしょう。
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