【雑感】2021年J2リーグ 第40節 対FC琉球~PKの練習をしっかりやりましょう~

東京ヴェルディ 1-1 FC琉球

 ほとんどの人に注目されていない試合だったから助かったけど、PKを2回も外してしまった。。。シュートも打っても打っても決まらず、そんな雰囲気でよく引き分けまで持って行ったなというのが感想。試合を振り返りながら、ヴェルディが琉球をどうやって崩そうとしていたか考えてみたい。

スタメン

 前節・金沢に4-0で大勝したヴェルディはメンバー変更なく同じ11名で臨む。ベンチには出場停止明けの山本理仁も入る。
 一方の琉球。こちらは前節・千葉に2-2で引き分け、この日はトップに赤嶺を起用。李栄直、富所は古巣との試合になる。

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前半

 昇格も降格も関係なくなったいわゆる消化試合になった。精神的な余裕に加えて、曇り空のひんやりとしたコンディションもあり、立ち上がりからとノビノビとプレーする両者。キックオフ後からボール保持するヴェルディに対して琉球は1442システムで構える。2トップ赤嶺と池田が2CB、2SH風間宏矢と清武が2SBにつきマンツーマンを採用。すると、中盤3枚のヴェルディと2DHだけの琉球の状況でピッチ中央でギャップが生まれる。これによってヴェルディはボールを握ることが出来て、加藤・梶川・森田晃樹を経由してシュートまで持って行こうとする。前節金沢戦で猛威を振るった両サイドの新井と山下には対面するSB金井と沼田がリトリートしてスペースを埋めていることで、2人にはなかなかスピードを活かせさせず、サイド攻撃を封じられ、中央の佐藤凌我しか選択肢が無くなり2CB岡崎と李に抑えられてシュートまで持って行くことに苦労する。試合を通して、凌我はこの2CBに封じられることになり、シーズン通してみても得点は稼いでいるもフィジカルで劣勢となる時にはまだまだ苦戦していることが多くみられている。

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 対する琉球はボール保持すると得意なサイド攻撃を仕掛けてくる。攻撃的な両SBに高い位置を取らせてSHが内へ絞る俗にいう『南九州アタック』システムを採用。GK、CB、DHでビルドアップを行なう。1442で中央を固めるヴェルディに対して数的優位を作る最終ラインから大きなサイドチェンジで大外に張る選手へボールを預けて、クロスからチャンス演出していく。

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 飲水タイム前後からボール非保持時に2トップを縦関係気味にして加藤を確りとマーク、剥がされても富所が縦スライド。マークが空く晃樹にはCB李が縦スライドで潰しに行き、かなり圧をかけてボール奪取に行く姿勢を見せる。

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 前がかりに喰いついてくる琉球に苦戦するヴェルディ。チャンスは速攻でのスペースを活かした時に生まれ始めた。左SB福村が長い距離を走り攻め上がりしていくと、31分、自陣からのカウンター時にPAまでオーバーラップ。晃樹、新井の立て続けにシュートを魅せるも身体を張る琉球守備陣にブロックされる。その後もボールを速く動かして琉球のプレッシングを回避していくと30分以降はヴェルディが押し込む展開になる。

 すると、38分、パスミスを拾った山下がドリブルでゴールへ向かっていくと追い越して晃樹へパス。PA内で琉球の選手と交錯してPKを獲得。先制点のチャンスであったが晃樹が放ったキックは甘く、田口に防がれてしまう。直後の攻撃時のCKから加藤のヘディングシュートも枠を捉えらず絶好の機会をモノに出来なかった。

 押し込みながら先制点を取れず勿体ない雰囲気が流れ始めた矢先に試合が動く。
 ボール保持した琉球、最終ライン岡崎からまたも対角へ大きなフィードを入れると深澤大輝と沼田が競り合うも両者ともに触れられずボールは大外の清武へ。フリーの清武はサイドを上がり、PA内へクロス。最後はフリーの風間宏矢が頭で合わせて琉球が先制。何度も見せていた攻撃の形から先制点を挙げた琉球が1点リードで折り返す。

後半

  開始直後は琉球が追加点を目指すように積極的にゴールへ迫っていくも奪うことが出来ずにヴェルディがボールを持ち始めると次第にリトリートを選ぶ。49分、琉球が前へボールを運ぼうとするも人数が間に合っておらずカットした加藤が持ち上がり前半早々に続き、ミドルシュートを放つもクロスバー直撃。精度の高いシュートだったが惜しくもネットを揺らせない。

 リトリートする琉球、ボール保持のヴェルディの構図が出来上がる。50分すぎに脚に違和感があったという若狭に変えて山本理仁を投入。加藤がCBへ下がる。中盤の理仁、梶川、晃樹が流動的にポジションを変えて行き相手のマークを絞らせず変化を加えていき前半同様にサイド攻撃から反撃に出る。PA内まで侵入するもゴール付近に李、岡崎ら人数をかけて守る琉球の身体を張った守備に防がれてシュートに至らない場面が目立つ。

 良い崩しであるがあと一歩が遠いヴェルディなのか、守備からリズムが生まれ始め守り切る琉球かどっちが主導権握っているかわかりにくい展開のなか再び試合が動く。
 73分、梶川のスルーパスに抜け出した山下が沼田との接触で倒されてまたしてもヴェルディがPKを獲得。PKを獲得した山下が自らキッカーを務める。ただ、山下のシュートをまたも田口に防がれて同点に追いつけず。。対峙したGK田口はお見事の一言であるが、ヴェルディはあまりPKの練習してなさそうな気がしてたまらない。

 セットプレーから何度もンドカにボールを集めるが、相手の寄せもあり、決定打にならず。ターゲットマンが少なすぎることで相手もマークが絞り易く、そういった点がセットプレーから得点が少ない今季を象徴しているかのようである。
 PK失敗直後には小池、その後には杉本竜士、石浦大雅、5月以来の出場となった奈良輪と選手を変えてシステムも1343へ変えて堀監督の得意なファイヤーフォーメーションにするも得点が奪えずこのままかと思われた試合終了間際だった。89分、右サイドで大雅が時間を作り、梶川へバックパス。梶川はこれまでと変化をつけるようにダイレクトで放り込むと2CBの間に入っていた小池が上手く競り勝ちヘディングシュートを決めて、ようやく同点に追いつく。その後はスコア動かず1-1の引き分けで試合は終わった。

まとめ

 攻撃の形、崩しは出来ていたものの立ちはだかったのは古巣対戦に闘志むき出しの李を中心とした琉球守備陣だった。PA内にあれだけ人数をかけられるとゴールマウスが見えず、得点は遠くなってしまう。これは今季前半からの課題であり、今オフの選手編成にもかかわることは間違いないだろう。最後の最後に2CBとの駆け引きに勝ち、得点を挙げた小池は流石の一言である。PKの場面はキッカーが決まってなかった時点で外しそうな予感が漂っていた(すまん)
  ここのところ戦い方では、敵陣まで押し込んで、フィニッシュへ持って行く場面や中盤の守備を締めたことで相手の攻撃機会を減らすことに成功していると考える。選手たちもコメントしているように、このサッカーをもっと早い時期から見れたらまた違った景色が見えていたのかもしれない。このメンバーで戦える残り2試合を楽しませて欲しいものだ。