【雑感】2020年J2リーグ 第15節 対京都サンガ~取り戻した先手必勝~

東京ヴェルディ 2-0 京都サンガ

 久しぶりの敗戦を喫した次の試合だけあって結果が求められる難しい状況ではあったが確りと勝利。昨年2戦ともに大敗していた京都相手に内容も勝り完封勝利を挙げた試合を振り返ってみたい。

スタメン

 前節北九州に敗れ、連勝が3で止まったヴェルディ。この日はCB近藤が今季初出場初スタメン、中盤には山本理仁と森田晃樹を起用して、前線の中央には開幕戦以来に大久保がスタメン復帰を果たす。システムはいつもどおり14141で臨む。
 対する京都は得点は挙げるもののここ4戦勝ちなしと元気がない。前節松本戦から2枚入れ替えて森脇と曽根田がスタメン起用。システムは前節同様に13421でスタートする。

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プレッシングをかける枚数は??

 ヴェルディ最終ラインのビルドアップに影響が出るだろうと京都の最前線の枚数が1枚か2枚なのか注目した立ち上がりであった。京都の答えは1枚であった。ヴェルディがボール保持時は1541でセットした守備をする構図になる。

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 ウタカ1枚しかプレスにこない、前節の北九州戦の後だとかなり緩いと感じてしまうほどであり、わざわざ後ろに枚数をかけて重心を置く必要もなり、SB奈良輪と福村は高い位置を取り、近藤・平・藤田譲瑠チマの3枚でビルドアップ形成する。ヴェルディは比較的自由にボールを持つことが出来る状況になり、最前線の小池と井上潮音は幅を取り京都最終ラインの背後を狙う動きがあった。特に右ワイドの小池を目掛けて平、ジョエルから対角線上のロングフィードを入れる攻撃が何度も目立つ前半だった。

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 最終ラインから自由にビルドアップするヴェルディに対して、京都は2DH福岡と庄司が縦スライドで1列上がりプレスをかけはじめる。ただ、後列の森脇と安藤が連動して1列上がるようなことが見られなかったため、今度はヴェルディのフロントボランチ理仁と晃樹がフリーになることが多くここから中央を崩そうとする場面が見られた。試合後のコメントでもスカウティング通りだったということもあり、狙いが上手く嵌まった動きであった。勿論、ここの場所が空くため中央の大久保が下りてきてボールを受けるという場面があった。

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 18分、2DHの背後でボールを受けた大久保が右へ流れてFKを獲得する。キッカーの福村がGKとの間へインスイングで正確なボールを入れると小池が左足で合わせてヴェルディが先制する。

 45分+3分、敵陣でボールを持ったジョエルが裏を取るように走り出した小池へ浮き球のパス。PA内へ切り込んだ小池は理仁へ折り返す。パスを受けた理仁は冷静なトラップから左足でカーブをかけるようにコントロールシュートをネットへ突き刺して追加点を挙げる。

 対する京都はサイドからの仕掛けで攻撃をする。これまでの試合ならヴェルディは前線を2枚にして守るが、この日は京都3バックに対してマンツーマン気味に3枚ぶつけるためスライドのズレや遅れを見逃さず大外へ展開することが多かった。中野とウタカが左へ流れ気味で右サイドで幅を取る飯田を福村と1対1にすることが多く、最終ラインからボールを貰うと単独での仕掛けからPA内へ進入する場面が試合立ち上がりから目立った。

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 また、ヴェルディは自陣へ押し込まれると大久保だけを残して4-5気味でリトリートすることが多かった。すると、パサーの庄司へのマークが甘くなり左サイドの荒木、曽根田と上手く連動してサイドを崩されはじめ、33分には荒木のサイドからの仕掛けに右シャドーの中野が流れてきて最後は曽根田がシュートを放つ場面があった。ゴールへ迫るも得点を奪えず、ヴェルディが2点リードで前半を折り返す。

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相手とお付き合いしないこと

 後半開始から京都は野田を投入して前線を2トップとして庄司1DHの13142へ変更して3点取りに行くということの表れであった。

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 しかし、百戦錬磨の大久保が立ちはだかる。左へ流れて起点を作り、後半開始早々から2度もチャンスを演出して試合を流れを渡さない。ヴェルディがボールを握る展開が多く、京都は中盤枚数を減らしたこともあり晃樹と理仁はさらにフリーになる。後半は森脇と安藤が1列上がるようにプレスをかけるが、ここで剥がすとヴェルディは一気にゴールへ迫る。

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 京都もウタカ、野田を目掛けて前半同様にサイドから攻撃の糸口を見つけようと仕掛けていく。ヴェルディのプレーにミスもあり徐々に京都がゴールへ迫まる。

 日は暮れたとは言え、猛暑だった日中の熱気に包まれたスタジアム。試合が進むにつれて両者の運動量は落ちてきてフレッシュなメンバーを投入する。ヴェルディは山下、佐藤優平、クレビーニョと機動力ある選手を入れて追加点を目指し攻撃を仕掛ける。京都も石櫃、谷内田、金久保と入れて、両チームともにゴール前でチャンスを迎えたもののお互いにゴールを割れず、前半のリードを守り切ったヴェルディが2-0で勝利した。

まとめ

 前節同様に先制点を挙げたヴェルディ。京都に決定機を作られるも守備陣の落ち着いた対応でゼロに抑えて自分たちのペースで試合を進めることが出来てリードを広げ、勝ち切った。ボールを持った時に相手の出方を見て、中央なのかサイドなのか上手く使い分けしながら攻撃を仕掛けることが出来た。前線で起用された大久保もシュートこそなかったものの相手CBとの駆け引き、先制点のFKに繋がるファールを貰うプレー、周囲の選手を活かすスペースの作り方と存在感ある動きを見せた。
 また、今季初出場だったCB近藤は試合勘が心配であったが屈強なストライカー・ウタカに対して危なげなく守備をこなし、流石ベテランというプレーを披露してくれたと思う。
 再びここから始まる5連戦、近藤や途中出場したクレビーニョと戦列復帰した頼もしい選手たちを加えて良い流れで乗り切ってもらいたい。