【雑感】2024年J1リーグ 第7節 対柏レイソル~勝ち切りたい~

東京ヴェルディ 1-1 柏レイソル


スタメン

 前節・湘南を2-1で下し、今季初勝利、J1で16年ぶりの勝利を挙げたヴェルディ。メンバー変わらずの11名で臨む。
 一方の柏は前節・C大阪に1-1の引き分け。この日はDHに熊坂を起用し前節から1名入れ替える。

前半

 立ち上がり後方からのロングボールで敵陣に入るヴェルディ。染野、木村、山田楓喜と上背ある3名がターゲットとなる。前節初勝利の勢いそのままに柏ゴールへ迫っていく。前線からのプレスもアグレッシブでGK松本にプレッシングした染野がパスカットすると木村へボールが渡る。少し慎重になりすぎたことで松本がなんとか戻りシュートは防がれる。

 チャンスを作り良い入りが出来たヴェルディが試合を動かす。GKマテウスから右の楓喜へ展開すると巧みなトラップでジエゴと入れ替わるとそのまま前進。長い距離をドリブルし、PA内に入ると柏のDFを上手くブロックしながら利き足ではない右足でニアへぶちこみヴェルディが先制する。山田楓喜は期限付き移籍もとで出場不可だった京都戦以外のホーム3戦すべて得点を挙げてU23代表戦士の力を存分に発揮している。パリ五輪予選にも弾みがつく活躍ぶりである。

 先制したヴェルディはボールを握り丁寧な攻撃をここからは志向していく。1442が基本であるが最終ラインでボール保持すると2トップの一角の染野が下りてきて14123となり1442で守る柏に対して中盤で数的優位を形成して真ん中でしっかりとボールを繋ぐ意思が見えた。これは前節湘南戦でも染野と木村が縦関係になることがありこれまでの2枚が最前線で張るパターンに加わる新たなオプションにトライしているのだろう。

 前線の木村はフィジカルに優れ身体の入れ方も上手くポストプレーやそこからの前進とここまで戦ったどの相手にも苦にせずプレー出来ており成長著しい存在である。染野は下がってゲームメイクするのは良いがシュート機会が遠のき、勿体無いようにも思えた。やはり彼は最前線に居てもらい木村をサイドに回してなど共存方法を考えて行く必要はありそうだ。

 先制点を許した柏。こちらはボール保持時に右SB関根が上がり右SH島村が中へ絞りマテウスサヴィオと2シャドー形成と可変する場面が見られた。最終ラインからのロングボールでCB林と谷口栄斗を走らせてスペースを開けさせてここにシャドーや山田、2DH白井や熊坂が侵入してフィニッシュという狙いがあった。

 サイドから崩してゴールへ迫るものの球際でヴェルディが身体を張り、柏は前半はシュート2本で終わってしまった。

後半

 1点ビハインドの柏はハーフタイムに熊坂と島村に代えて土屋と小屋松を投入。サヴィオを左SHへ回して山田が右SH。小屋松をトップに入れる。

 反撃に出るべく、先ずはロングボールで深い位置を取り陣地を押し進める後半の入りを見せる柏。ヴェルディはボール奪取からカウンターで攻撃をしていくと右サイドからカットインした山田楓喜がシュート。55分には見木が持ち運び、稲見を経由して左へ流れて行く木村へラストパス。木村は右足に持ち替えてシュートも時間を作ってしまったことで松本に防がれる。ここは左足でプレースピード殺さずに打って欲しかった。シュートチャンスはあったもののやや丁寧になってしまい追加点とは行かなかった。

 細谷と小屋松が裏を取ることで深い位置へ侵入する柏、稲見と細谷の交錯であわやPKという場面があったり、左サイドへ回ったサヴィオが前を向いてボールに触れることで次第に攻撃に迫力が出てきた。暑さもあり足が止まり始めたヴェルディは見木と山田楓喜の両SHに代わり山見と松橋優安を投入。フレッシュな2人の推進力で盛り返しを狙ったと思われるも相手にボールを握られることが多くて持ち味があまり発揮できなかった。
 以前にも記載はしたが優安は右からの景色がしっくり来ず、また山見もしかり守備力に優れている訳ではないのでリードしている展開でこの起用は驚いた。齋藤や翁長を入れて逃げ切りを図るものと思っていた。

 山見は個人技で仕掛けることもあったがここ2試合の活躍もあり関根と+1枚でしっかりとケアしなかなか見せ場が作れない。

 主導権を握る柏は70分に山田に代えて木下を投入。小屋松が左SHへ回り、サヴィオが右SHになる。すると、細谷とのワンツーでマッチアップする深澤大輝を振り切ったサヴィオが右サイドの深い位置から折り返すと中で木下が合わせて同点に追いつく。采配が見事に的中した。

 深澤大輝と木村に代えて綱島悠斗と齋藤を投入。稲見を左SBへ下ろして中盤3枚で染野の1トップとした。試合が進むにつれてお互いに間延びしてオープンな展開に。左からの山見の単騎突破に託すヴェルディ。後半ATにチャンスを作るも決めきれず、三度のヴェルディ劇場とは行かず、先制するも逃げ切り失敗し引き分けでの決着となった。

まとめ

 先制した以上は勝ち切りたかったのは本音であるが、相手もあってのことであり仕方ない面もある。暑さと連戦の疲れもあり徐々にパワーダウンしてしまいそこを突かれての失点であった。この試合では交代選手があまり機能せず柏の采配がズバリ的中となった。
 攻撃面では新たなシステムにもトライしているように見えて試合を重ねる事にアップデートに取り組む姿勢は感じ取れた。チャンスクリエイトまで出来て、あとはフィニッシュだろうが利き足に持ち替えてというところが勿体なかった気もした。
 毎試合得点を積み重ねていることは正直、良いサプライズである。その反面、失点も止まらないことは受け止めなければいけない課題だ。球際の激しさ、靴1足分の寄せと相手のプレー強度も上がり難しい部分もあるが昨季よりも積極性が少ないようにも見えてしまう。
 なんとか勝点を積み上げてるヴェルディ。次節は必勝の東京ダービー、これまでの想いをすべてぶつけよう。