【雑感】2022年J2リーグ 第27節 対徳島ヴォルティス~見せつけられた質的優位~

東京ヴェルディ 0-1 徳島ヴォルティス

 立ち上がり積極的にシュートを打って行くも徐々に徳島に押し込まれて、流れの悪い時間帯に失点を許す。反撃に出るもゴールをこじ開けられず黒星を喫した。

スタメン

 前節・甲府を今季初のスコアレスドローに終わったヴェルディ。中2日の今節は6名を入れ替えて臨む。システムは継続して1442。
 一方の徳島は前節・千葉戦をこちらもスコアレスドロー。中3日のこの日は2名入れ替えのみに留める。システムは1433へ変更して臨む。

前半

 ヴェルディのコロナ感染による延期分となった第27節。大幅にメンバー変更したヴェルディは全体的に守備的と思える構成であった。2トップに入ったのは本職DHの西谷亮。佐藤凌我と2トップを組み、守備時は凌我と縦関係になり片方がDH櫻井を消すようにケアし、もう一人がCB石尾、安部とGKスアレスへプレスをかける守り方を見せる。IH白井と児玉に対してはDH稲見と加藤弘堅がマークにつき数的同数で対応。徳島の中央3枚を封鎖するような守りをする。亮は右から入っていき左の方へプレスをかけることでパスコースを制限させ、徳島のビルドアップのミスを誘発して左SH杉本竜士や左DH加藤弘堅が敵陣でパスカットしショートカウンターを魅せる場面が何度かあった。プレスバック、即時奪回ではないが城福監督が云う「敵陣でプレーする時間」を長くするための組織的な守り方が表れた場面であった。

 敵陣でボールを奪ったヴェルディは手数かけない攻撃から亮がミドルシュートを放つもスアレスの前にゴールを奪うことが出来ない。

 徳島はボール非保持時にIHが前へ出てトップ一美と横並びで2トップ化して1442で構える。ヴェルディは後方からビルドアップすると徳島中盤4枚の横スペース空いたところでンドカからの縦パスを通す。凌我が下りてきたり、相手DFを背負いながらのポストプレーで起点を作り、敵陣に入って組み立てる。そこに後ろから追い抜いていく選手が絡み攻撃する。
 凌我は2年目になりポストプレー、反転して仕掛けるプレーが上達してきている。その一方でデビュー当初に見られた裏抜け・深さを取る動きがここ最近は減っておりプレーする位置もゴールから遠ざかっている印象がある。2トップのコンビプレーに磨きをかけて貰いたい。

 ンドカなどからボール運び、サイドへ展開するも前節までの課題同様に個で仕掛けることが少なく、ここで停滞感が生まれてしまった。

 一方の徳島は上述の通りにヴェルディに中央を塞がれてしまうが、後方からの大きな展開を有効に使い、WG西谷和希と杉森にボールを託す。サイドにボールが展開されても一旦、落ち着かせて連携で崩そうとするヴェルディに対して徳島は2WGの個の力で打開することが多く見られ、結果的にこれが勝負を分けた。サイドプレーヤーのキャラクターの違いであり仕方ない部分もあるが、ここに配置されるからには仕掛ける役割も期待したい。

 右からは西谷、左は杉森が何度も仕掛けてチャンスを作る。西谷は6月ぶりのスタメン起用だったが、序列低いのが不思議なくらい存在感を示す。左に入った杉森は対面する宮本を質的優位で完全に上回り、飲水タイム明けからは稲見と宮本のポジションチェンジを余儀なくされた。

 ボール保持した徳島は5レーン・ポジショナルプレーを綺麗にこなし、大外でWGがボール持つとIHやSBがその内側に立って斜めのパスコースを確保し上手くボールが回っていた。リカルドロドリゲス体制から継続されるサッカーがクラブに浸透し、身についているように感じられる。

 両サイドから繰り返し攻撃を仕掛ける徳島に何とか耐えるヴェルディであったが前半ATにサイド抉られて、最後は杉森の強烈なシュートを防ぎきれず、先制点を許す。与えた時間帯が良くなかった。

後半

 宮本、杉本、佐藤凌我に代えて馬場晴也、河村、染野と3枚替えをしたヴェルディ。右SHに入った河村の仕掛けや裏抜けからのクロスから次第にリズムを作っていく。左SB加藤蓮もゴール前まで上がり全体的に前がかりで反撃する。良い動きを見せる杉本がいつも途中交代になるのはコンディション面からなのかもしれないがとても悩ましい問題である。

 右SBに入った馬場が低い位置からクロスを上げると後方から加藤蓮が飛び込みヘディングシュートを打つもクロスバーに嫌われ、同点には持ち込めない。蓮は身体能力の高さを活かすフィニッシャーの役割をするもヒーローになることは出来なかった。

 石浦大雅、阪野と攻撃的なカードを切るヴェルディ。徳島も終盤にはカカを投入して5バック化して対抗。最後はGKマテウスもCKに攻撃参加してシュートを放つもゴールをこじ開けることは出来ず0-1で敗戦。ホーム連戦で2戦連続無得点に終わってしまった。

まとめ

 前節の嫌な予感が当たってしまった内容であった。選手のキャラクターの面もあるが、個で仕掛けられる選手が減ってしまったことでブロックをこじ開ける、時間を作ることが難しくなり攻撃の迫力が落ちてしまった。徳島との差は歴然としていた。
 守備優先からSHに河村を配置しているが、終了間際の反転ボレーを見てもやはりトップ起用で見たい選手である。ただ、その代わりを務められる選手がなかなか見つからない状況が悩ましいところだ。2トップになりPA内の人数は増えているので、サイドからの仕掛け、クロスの質向上は早急に改善しないといけないだろう。
 スタメンフル出場した西谷亮。前線起用され上手くプレスをかけ積極的にミドルシュートも放ち存在感を魅せた。質の高いプレーは今後も楽しみな18歳である。シーズン終盤の過密日程で出番にも期待できそうだ。
 次節は今季初黒星を喫した熊本。雪辱を果たしてもらいたい。