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2023年シーズン 東京ヴェルディの個人的な見所

 カタールW杯開催の影響で10月でシーズン終了し、3か月という異例の長さのオフを経て迎えた。選手の契約更改などの音沙汰が何も無いまま11月を終えて、どうなる事かと思いきや、12月になりようやくリリースが始まった。選手の出入りに一喜一憂しながらも新体制発表、キャンプへ突入し、いよいよ始まる新シーズン。2019年から執筆はじめて早5回目となった。それでは書いていこう。

編成の振り返り

 昨季は開幕から10戦無敗で好スタートを切るものの、J3からの昇格してきて熊本に負けてからは停滞が続き、2年連続の監督交代(堀→城福)となった。永井、堀サッカーで見せていたボールを大事に繋ぐパスサッカーからアスリート能力を存分に生かしたダイナミックなサッカーへと変わっていった。

 そんな戦術も上手く落とし込まれ、離脱者も戻ってきたシーズン最終盤には破竹の6連勝を飾り上位陣相手にも引けを取らない素晴らしいサッカーを繰り広げるも昇格POにはあと1歩届かずにシーズンを終える。

 弱肉強食の宿命でJ2という立場上、カテゴリーと資金の優位性に勝るJ1からの引き抜きオファーには勝てず、有望な選手たちがこのオフもクラブを離れることになった。

 3か年計画の3年目で勝負の年をなるが、昨季主軸としてセンターラインを支えたンドカ、馬場、佐藤凌我、染野(鹿島から期限付き移籍)を残せなかった事は痛手である。本来は彼らを中心に見据えたチーム作りをしていたことだろう。それ以外の選手たちの多くは期限付き移籍として下位カテゴリーへ武者修行に出しており、戦力として考えている選手は残して出場機会に恵まれ無さそうな選手は始めから他クラブへと人員整理を行なった印象がある。
 加入に目を向けると大卒の5名はいずれも大学サッカー界では目立った存在であり即戦力候補だ。そこに林、北島とJ1クラブで出場機会に恵まれない若手選手を獲得し、競争を促す。宮原、齋藤、千田と実績豊富な中堅どころの選手たちの獲得で年齢層のバランスを取る。ロッテルダムから加入したドイツ人FWエンゲルスには得点源として大きな期待がかかる。

詳細は以下をご参照にて。

 新加入選手を含めた現有戦力のスカッドは以下のとおり。ポジション別にみていきたい。システムは昨季の1442ベースにしている。

GK
 守護神マテウスは契約更新して4年目を迎える。全選手のなかでも在籍年数が上位に来るとは来日時には想像もしていなかったがいまではサポーターからの人気も高くすっかりチームの顔になっている。ここに長沢佐藤、そして大卒ルーキー飯田が2番手を争う構図になるだろう。大学日本選抜にも選出された飯田がマテウスから守護神の座を奪うことが出来るかは注目である。

DF
 ディフェンスリーダーのンドカが横浜FCへ移籍。もはやJ2ではやる事が無くなってしまったくらいに素晴らしいパフォーマンスを披露しており満を持しての挑戦になる。代わりに秋田からエアバトラーの千田を獲得。このフロントの動きは見事である。昨季ルーキーだった谷口は2年目になりさらなる飛躍、新しいリーダーとして期待がかかる。谷口がCB1番手でここに千田、復活の期待がかかる山越、鹿島から加入したが相棒争いになるだろう。中盤の綱島もCB経験あり、抜擢される可能性がある。
 SBは見事に復活を果たしたベテラン奈良輪、ルーキーながらレギュラーを掴んだ加藤蓮、そこに3年目の深澤と名古屋から加入した宮原が絡む。試合途中にSBの組み換えが多かったことを考えれば高水準の選手が4名揃ったことは監督としては嬉しいものだろう。頭数が多いわけでは無いので離脱だけは心配事項である。インドネシアのスター・アルハンはどれだけ試合に絡むことが出来るのか勝負の一年になる。

MF
 去就が注目された森田が無事に契約更新。中盤で一際違いを作れるファンタジスタの残留はチーム作りにおいても好材料だ。横浜FC生え抜きの齋藤がまさかの加入。森田とタイプが近いだけに共存かライバルか見物である。森田の相棒を担った馬場は札幌へ移籍。その代役としてはベテラン加藤弘堅やルーキーでアカデミー時代は森田と同期の綱島が候補になるだろう。西谷、稲見はポテンシャルは高いが離脱が多いだけに先ずは戦える身体作りからになるか。サイドでは右はバスケスバイロン小池、左は梶川杉本が契約更新。昨季からプレーしている選手たちが残ったことは大きなアドバンテージでありいかに得点に絡むかが上位進出のカギになる。ここに福岡から加入した北島が加わる。長谷部監督のもと鍛えられたハードワークと持ち前のテクニックには期待がかかる。桐蔭横浜大出身の、18歳橋本は持ち前のスピードを活かして切り札的な起用からスタートとなるだろう。

FW
 2年連続2桁得点の佐藤凌我が生まれ故郷・福岡へ個人昇格、終盤に活躍を魅せた染野が鹿島へ復帰と実績を残した選手が去った攻撃陣。2年目の河村は持ち前の運動量を活かした攻守での献身的なプレーに加えて得点という結果も求められるシーズンである。大怪我から復帰した阪野は実績豊富で昨季も短い時間ながらもしっかりと数字を残し今季は2桁得点の期待がかかる。決して裕福とは言えない資金事情の中で、ロッテルダムから獲得したマリオエンゲルスには新たなるエースとしての活躍が託される。どれだけ活躍してくれるかがJ1昇格のカギを握る。関西学院大卒の山田、東京国際大卒の佐川も学生リーグでは大活躍を魅せた逸材であり、いきなりの大活躍を魅せられてもおかしくない存在である。未知な選手が多い攻撃陣が他ポジションと比べると不安要素になるが、ロマン溢れる選手たちがどれくらい楽しませてくれるかワクワクするところでもある。

注目ポイント

 監督続投でベースとなる戦術は継続されるだろう。インタビューでも繰り返しコメントしているように「相手陣地でサッカーをする時間を長くする」ことが調子のバロメーターだ。いかに早く自陣から相手陣地へボールを運ぶか、ボール非保持時や失った時は前線からのプレスや即時奪回を相手陣地でどれくらい上手く嵌るのかということである。

 守備については前線からの守り、ブロックアウトと表現する自陣PA内に相手選手を入れずその前でシュートを打たせる=決定機を作らせないなど組織的な守り方で誰が出ても同じように機能することを目指していく。
 一方で攻撃は粘り強く勝ててこそいたがロースコアのゲームが多かった。選手の移籍、コロナや怪我による離脱で大きく戦力ダウンして苦しいこともあったが個の力で打開する部分では他クラブに比べると劣ってしまった印象がある。それゆえに今季の攻撃陣の未知な部分は博打にも近いものである。J1昇格をするクラブでは中盤の選手たちでも二桁得点を挙げることが多く、バスケスバイロン、森田、齋藤などには得点力で大きく期待を込めたい。

では、開幕を待ちましょう。