【雑感】2022年J2リーグ 第36節 対ブラウブリッツ秋田~闘う気持ちは見れたのか~

東京ヴェルディ 0-2 ブラウブリッツ秋田

 公式戦未勝利の重苦しい雰囲気に心身のリフレッシュ出来ないまま停滞した90分だった。相手の土俵で上手くやられてしまったが攻守でのアイデア、大胆さなどにも欠けた試合を振り返りたい。

スタメン

 前節・群馬と1-1で引き分けたヴェルディは5名を入れ替えて臨む。阪野は移籍後初スタメン。
 一方の秋田は前節・徳島と0-0引き分けも2戦無失点に抑えている状況。3名を入れ替えて臨む。

前半

 フィジカル活かした積極果敢な守備、狭いエリアでの縦に速いサッカー、セットプレーの力を活かす秋田と敵陣で攻守においてサッカーをしたいヴェルディという戦前の予想通りの展開がピッチ上では繰り広げられた。

 これまでの対戦でヴェルディは秋田に負けたことが無く大量得点することが多い。公式戦未勝利状態が続いていたが相性の良さがきっと何とかしてくれると淡い期待を抱いた一戦。ヴェルディは最終ラインに本職CBを4枚並べた。山越はSB起用も多いがここのところ本職CB起用を見ているとやはりCBの選手だなと思うプレーぶりだ。この4枚を並べたのはなりふり構わず放り込んでくる屈強な秋田の選手たちへ対抗すること、セットプレーでの守備対応であったのだろう。試合が始まると秋田は後方からどんどんロングボールを蹴り入れて前線に当てて陣地を稼ぐおなじみの戦術を見せ、これにンドカ、平に加えて両SB山越と谷口も応酬する。この起用は上手く嵌ったように思えた。また、秋田はボール保持するとワンサイドへ極端に選手が密集するサッカーをして主に右サイド(ヴェルディの左サイド)からのクロス攻撃が目立った。ここもよく防ぎゼロに抑えて行く。

 秋田の攻撃は実にシンプルなものであり、機会は少なくヴェルディがボールを握る時間が圧倒的に長かった。立ち上がり、前節で見られたようにSBCB間を突くように染野が深い位置まで侵入してクロスを上げる場面が見られた。ここは仕込んでいる攻撃パターンなのかもしれない。両SH河村と杉本竜士がサイドから仕掛けてカットイン、縦の仕掛けからクロスを上げるも秋田のDFラインに跳ね返される。秋田はサイド守備を捨てるかのようにPA幅に4枚並べて守ることも見られたくらいにとにかく跳ね返しを徹底していた。

 これまでの対戦で印象に残っているヴェルディの得点は速い攻撃から背後を取るようなものであったが、それを意識してかこの日の秋田は1442で構えて2トップはプレスに来るも中盤4枚は連動すること少なく、最終ラインはリトリートすることが中心で背後をケアしていたのだろう。ヴェルディのスタメンは河村、竜士とスピードある選手を配置していたものの、染野が下りてきてボールに触れたり最前線で阪野がポストプレーをこなそうとするなどシンプルに裏抜けをしようというような素振りが少なく、秋田の術中にハマってしまった印象だった。

 ビルドアップでも平を最後方に1枚残して、ンドカと加藤弘堅がその脇に立つ形を見せて変化をつけたりと工夫をして押し進めるもクロスの精度が欠き、決定機らしい決定機が生まれない。守備的なSB山越と谷口は本職では無いからか攻撃で駆け上がるタイミング悪く、前方の選手を追い抜くことが見られずにSHをサポート出来てなく秋田守備陣形を崩せずこの起用は正解だったのか疑問であった。

 ボール保持するも崩せないヴェルディに対して、明確なゲームモデルを遂行する秋田。手数をかけずにフィニッシュまで持ち運び、スローインやCKはじっくりと時間をかけて行ない、シュート数やパス本数とは真逆で秋田ペースであっただろう。

 前半40分すぎ、ヴェルディはFKを獲得。デザインされたプレーを魅せてシュートまで持ち込むもゴールラインを割っていないとの判定でノーゴール。一方で秋田も前半ATに右サイドからCKを獲得。このCKを才藤が押し込み、秋田が得意なセットプレーから先制に成功する。ヴェルディはまたも前半終了間際に先制点を献上して試合運びの弱さを露呈する。最終ラインを4CBにした奇策も失敗に終わる。

後半

 ハーフタイム明けにヴェルディは阪野、山越に代えて佐藤凌我と加藤蓮を投入。初スタメンになった阪野は目立った活躍が出来ず周りも彼を上手く活かすことが出来ず消化不良になった。SB起用の山越は守備では跳ね返しをするものの攻撃面ではクロスに精度を欠き、迫力を生み出せなかった。

 左に入ることが主の加藤蓮は右SBに起用され、河村とサイドでコンビ形成。縦に仕掛けることで得点を取ろうと模索するも中を封じられてなかなかうまく行かない。河村は縦にカットインに裏抜けにと持ち前のスプリントを活かすもサイドに置くにはちょっと違うかなと思ってしまう。やはり、ゴールに近いところに置いて泥臭く身体張ったプレーが見たいと思ってしまうばかりである。トップ起用された佐藤凌我は下がってポストプレーするよりもシンプルに裏抜けをして秋田守備陣の目線を変えようとする。

 チャンスを作りながらもゴール前を固める相手を崩せないでいると杉本竜士が小暮から悪質なタックルを喰らい負傷交代を余儀なくされ、馬場を投入して森田晃樹を左SHへ回す。そのあともラフプレーが続く秋田に危険と判断したのか森田に代えて小池を投入。小池も裏抜けを試みて、ようやく対秋田のお馴染みの戦い方が見られるようになる。この展開に秋田もたまらず5バックにしてサイド幅を埋めてリードを守るようになる。1点を追いかけてもシュートまで持って行けない状況が続いていると試合終盤に秋田の右サイドからのクロスを平がクリアミスからオウンゴールを献上して差は2点に。追いかけムードに水を差す痛恨の追加点を与えてしまい、終戦。

 梶川を入れて必死にボールを動かし、ンドカを最前線に上げてパワープレーを試みるも攻撃のアイデアに欠け相手を崩すにも至らずこのまま0-2でタイムアップ。深刻な状況が続く。

まとめ

 またも前半終了間際に先制点を与え、攻めあぐねてそのまま終了。何度も同じ見た光景が繰り返される。選手も監督スタッフも何も学んでいなく寂しいものである。この日のスタメンは秋田の特殊なサッカーを意識した11名に見えた。結果としては相手をリスペクトしすぎて失敗に終わった。スピード、大胆さに欠けて相手のペースに嵌ってしまう苦しいサッカーになった。稲見やここのところ存在感を見せている山口、変化をつけれる石浦はベンチにも不在。まったく勝てていないなかで序列を下げてしまったのだろうか。
 勝点を伸ばせない状況で降格圏の足音が近づくばかり。他力本願で逃げ切ることを願うばかりである。試合後の城福のインタビューも他人事のように言っているように思え、マネジメントが上手く行っていないのかと心配になる。残り試合を一枚岩になって締めくくれるか残留に向けてと切り替えて戦うしかない。