【雑感】2024年J1リーグ 第15節 対町田ゼルビア~等身大の僕らの姿~

東京ヴェルディ 0-5 町田ゼルビア


スタメン

 前節・G大阪とスコアレスドローに終わったヴェルディ。左SHに見木を入れて1名だけ前節と入れ替えて臨む。翁長にとっては昨季まで所属していた古巣対戦となる。
 一方の町田は前節・C大阪に2-1で勝利し、初昇格ながらJ1を席巻している。中3日のこの日も同じ11名のスタメンで臨む。

前半

 J1で実現した”東京クラシック”、昨季リーグ戦では1分1敗とヴェルディは勝つことができなった町田相手に立ち上がり早々、右サイドに起点を作り相手と競る前にボールを入れて行くと速いプレーを魅せる。ただ立ち上がりのわずかだけでそこからは町田ペースで終始試合が進むことになる。

 ヴェルディボール保持時に町田の前線2トップ+2SHでプレス。晃樹と悠斗のところには2DHがつき6枚で圧をかける。プレスの強度も高くヴェルディはマテウスを含めていくが横方向のパスを強いられて繋ぐのもフィードもままならない。晃樹へのパスコースも消されて満足にボールに触れない。これまでの試合でもプレス強度高い相手にも執拗に後ろから繋ごうとして失敗する今季のヴェルディはこの試合も失敗する。早いところ見極めて試合中に別プランに切り替える勇気を持たなければ苦しい道が待っていそうだ。

 セカンドボール回収に優れていたのは町田だった。一目散に回収するとマイボールを確保。前線にスペースがあればそこをめがけてボールを入れる。無ければ一旦戻して落ち着かせてスペースを探してはロングボール、ダイレクトプレーでヴェルディの陣形を乱しゴールへ迫る。J2時代の昨季よりもさらにトランジションの鋭さに磨きかかっている。

 マテウスのゴールキックのミスから左サイドで持ちあがりグラウンダーのクロス。右サイドで獲得したFKにはリスタートを早くはじめて、グラウンダーのクロス。CKをショートで繋いでグラウンダーのクロスと3本続けてサイドを深く抉り速いボールを蹴り込んで来た。

 11分、町田は仙頭が縦パスを入れると右サイドから藤尾が折り返す。戻りながらの守備になるヴェルディ最終ラインは対応しきれず宮原のクリアがオウンゴールになり町田が先制する。

 町田ゴールキック時に裏を気にするヴェルディの最終ライン。町田の前線があえて張ることで今度は中盤にすっぽりとスペース空けててゴールキックを繋いで3列目とSBが上がりテンポアップしてる。繋ぎやダイレクトのプレー判断が町田の方が上手であり跳ね返されたらボールをお構いなしにシュート。こぼれたらサイドへ展開し二次攻撃と分厚い攻めを繰り広げてジャブを打ち続ける。

 お見事と言わざるを得ない町田の徹底したトランジションの速さとクロスの質、セットプレーのデザインはあることながらヴェルディがボール保持や攻撃に苦しむのは自らの配置や選手起用にもあった。SH山田楓喜と見木の仕掛けや裏抜けの無さ、無いならないでボール保持時に中へ絞ってパスを貰ったりスペースを作ったりと齋藤のような仕事が少なくサイドに張りっぱなしでは攻撃に何もリズム生まれない。晃樹がボールに触れられず中盤の選手たちの距離感遠くては染野と木村にアバウトなボールをひたすら当て続けるガチャ頼みとなる。

  ヴェルディはボール非保持時も球際に弱く、もっと激しく行かなければいけないしスタメン選手たちがフルスロットルでパワー出し切っていたようには見えなかった。なにもできずに町田ペースで進むと右サイドからの町田のスローイン。鈴木は一旦、柴戸へ戻しフリーになってから再びパスを貰う。鋭いクロスを入れると藤尾のヘディングシュートが決まり2点目が入る。ロングスローに警戒して自陣ゴール前に大半の選手が戻ることで町田は後ろに構える選手たちがフリーになる。デザインされたセットプレーから追加点を挙げる。

 予想通りの展開から2点ビハインドで前半を折り返す。

後半

 ヴェルディはハーフタイムに左SB翁長と右SH楓喜を下げて齋藤と山見を投入する。試合後の監督会見では、前半立ち上がりのFKでのキッカーを巡るミスがあったようでそのふたりごと交代には懲罰的な意味合いも受け取れるものだ。
 代わりに入った齋藤は右SHで山見は左SHへ、見木がDHになり悠斗が右SBで左SB宮原の配置になる。翁長のサイドを崩されてまくっていたから交代したのだろうが最後までこの配置の意図がよく分からなかった。

 右に張る齋藤は中へ入るようにしてボールを受けたり、カットインしてドリブルと流れを変えようと懸命なプレーを魅せるも中央に入った見木にミスが立て続けに出る。
 失ったところからクロス上げられて宮原が相手との接触をVARでファウル取られてPK献上。これを藤尾に決められて0-3。オウンゴールにPK献上と宮原は精彩を欠いた。スーパーな活躍をしていた昨季と比べるとキャンプから出遅れた今季はパフォーマンスもいまいちなように見える。

 ヴェルディは見木に代えて松橋優安を投入して右SHに入れて齋藤をDHにする。木村がボールもらって反転しドリブルで持ち上がりシュート。染野がポケット取るプレーが2回続いてようやく攻め込む。3点取られてからではかなり遅い反撃となる。宮原に代えて深澤大輝をそのまま左SBにして何とか1点をという願いも虚しく、ロングスローからのクリアを柴戸に豪快なボレーシュート沈みこまれて0-4となる。

 最後の仕上げは交代出場のエリキ。強烈なシュートをマテウスがキャッチできずに弾くとエリキに詰められて0-5。大敗を喫してリーグ戦無敗も11でストップした。

まとめ

 内容も結果も今季ワーストだった。大量失点で負けるにしても”東京クラシック”を銘打った相手に負けるのは恥ずかしくて情けなくて悔しい。攻撃陣は強引にでも仕掛けやシュートがなく前半は相手に脅威を与えることができなかった。守備陣は町田の裏を取る動きや高さ、スピードを意識しすぎて受け身に回りサンドバック状態で試合の入りで完全に負けて流れを相手に渡した。
 2連勝後、稲見をスタメンから外した3試合では大量失点ばかりで中盤のボール奪取力が落ちたのは明らかである。後半開始から宮原を左SB、悠斗を右SBとよくわからない配置もあり疑問だらけの試合となった。
 完勝した町田はクロスやロングスローと徹底された飛び道具を持ち、主語になると圧倒的な強さを誇る。
 ピッチに突き付けられた現実。昇格同期の町田との差。僕らも頑張っているがライバルたちももっと頑張っている。メンバー配置や構成、選手層の底上げと中盤戦から夏場にかけての現実的な課題に向き合いながら根気強くルヴァン杯・広島戦、次節リーグ戦昨季王者・神戸に挑む。