【雑感】2022年J2リーグ 第20節 対横浜FC~手堅いサッカーへの転換か?~

東京ヴェルディ 1-1 横浜FC

膠着状態のゲームを動かしたのはCKからの主将・平のヘディングシュートだった。歓喜も束の間、次のプレーですぐさま同点に追いつかれる。前節に続き、先制しながらもリードを守れず手痛い引き分け。

スタメン

 前節・大宮と1-1で引き分けたヴェルディ。水曜日には天皇杯・秋田戦があり中3日での試合になった。天皇杯でスタメンだった奈良輪と井出が今季リーグ戦初スタメンになった。馬場と山本はU23日本代表、アルハンはマレーシア代表、マテウスはブラジル代表に招集され欠場。
 一方の横浜FCは前節・山口に1-0勝利。こちらは天皇杯は無く中6日での試合になった。武田が出場停止のため左サイドには亀川が入る。古巣対戦になった和田と山下はいずれもベンチスタートになった。

前半

 J1自動昇格を目指し、開幕から上位につける横浜FC。一方で開幕ダッシュには成功したが失速で中位にまで落ちてきたヴェルディ。お互いにボール保持と非保持でシステムを変える可変式を採用しているがこの試合では良さを消すような展開になった。

 ヴェルディがボール保持をすると横浜FCは亀川が左SB化して1442で守る。CBをンドカと平のコンビになってからそこまで高く持ち上がることをしなく、この日SBに入った奈良輪もバランスを取り(むしろ抑え気味)やや後ろに重心を置きながら組み立てて行く。横浜FCはサウロミネイロと小川の2トップがプレスをかけて行くもミネイロは小川に比べてのプレス強度が低く、DH手塚も前へ喰いついてくるため真ん中を通そうとする場面が何度か見られた。これによって出来たスペースを活かそうと縦パスを貰いに端戸が下りてきてポストプレーして起点になることが目立った。

 中央からの崩しで敵陣へ侵入するヴェルディであったがシュートまで持って行くことはなかなかできなかった。真ん中を通されるため横浜FCは端戸に対して岩武やガブリエルが身体を寄せて球際激しく行くことで潰す場面が出てきた。中央を塞がれるヴェルディはビルドアップからサイドへ展開して外から攻撃を仕掛けて行く。ただ、SB深澤大輝とワイドの小池が縦列で重なることが散見しパスを貰う時に相手に背を向けてしまうことがありクロスを上げるまでには至らないことが多かった。

 前半のチャンスらしいチャンスは端戸の落としからの井出のミドルシュートくらいであった。ここは、せめて枠に飛ばしたかった場面であり、ここを決めるか決められないかはJ1に行く選手の分かれ道と言っても大げさではないだろう。端戸が下りてきたときに小池、竜士らがスペースに走りこむ動きが見たかったが全体的に押し上げすぎてしまい自らスペースを消してしまっていたようにも思えた。

 対する横浜FCの攻撃。そのときに亀川が高い位置を取り後ろが3バックになる。右CB中村も時折、攻撃参加することもあった。最前線のミネイロを目掛けてロングボールを入れてこぼれ球をシャドーになる小川と長谷川が拾ってフィニッシュに持ち込む狙いがあった。ヴェルディは端戸と井出の2トップ化で守り、これまでのような前線からプレスかける場面は少なく、重心を後ろにしてやや守備的な意識で戦っていたように感じた。ミネイロにはンドカが主につくが相方の平と2名で上手く連携しながら封じた。長谷川が右SB深澤大輝をピン留めするようにハーフスペースに位置取りすることで大外の亀川がフリーで上がってくることが何度か見られあわやと思われたが上手く使い切れず、こちらもセットプレーから岩武のシュートの1本程度の決定機で終わった。

 前半は両者守備ラインが低く、なかなか崩し切れずお互いにスコアレスで折り返す。

後半

 膠着状態で折り返すも後半も前半と変わらないような内容が続く。ヴェルディは外循環のパスが増えてきて中を崩せず、横浜FCは放り込むようにミネイロを使うもンドカに抑え込まれる。重心を後ろにしていたヴェルディでここぞという時に前線からの守備が嵌り、敵陣でボール奪取するとショートカウンターから竜士が抜け出しCKを獲得。左サイドからのCKを梶川がインスイングのボールを入れるとニアで平が打点の高いヘディングシュートを叩き込みヴェルディが先制する。

 しかし、あっという間の同点劇だった。リスタートのキックオフから右サイドへ展開した横浜FC。ミネイロと平の競り合いのこぼれ球を奈良輪がクリアしきれずボールをかっさらったイサカが豪快に右足を振りぬきすぐさま同点とした。

 直後にもイサカが右から仕掛けてクロスを入れ決定機を作るも決めきれない。お互いにメンバーを入れ替えながら勝ち越し点を目指す展開も最終ラインが低くなかなかスペースが生まれない状況にチャンスが作れないまま試合が進む。

 終盤に森田晃樹のスルーパスに抜け出した佐藤凌我がGKとの1対1を迎えるもブローダーセンの好守に防がれて得点を奪えず、そのあともCKからチャンスも決めきれず、互いに決め手に欠き1-1のドローで終えた。

まとめ

 両者、崩そうとすることが攻撃を仕掛けていこうとしたが、ロングボールやCKなどでカオス状況に持って行った方が得点の匂いがする試合であった。ヴェルディは前節同様のGKとCBコンビが堅実なプレーを選択することが多くだいぶ落ち着いた内容に見えた。一方でだいたんな仕掛けなどは減ってしまい、後ろからの組み立ての部分では少し迫力を欠けた。何かを良くしようとすると何かを犠牲にする必要があり、そこもまたサッカーの難しいところである。現状を考えれば重心を後ろにした現実的な戦い方が勝点を積み上げるには適切なのかもしれない。