【雑感】2023年J2リーグ 第26節 対徳島ヴォルティス~聞き飽きた台詞~

東京ヴェルディ 0-0 徳島ヴォルティス

 暑さも影響したのかお互いに精彩を欠くプレーが多く見せ場も少ないままスコアレスドロー。ヴェルディはホーム勝ち無しを更新し、昇格争いにおいて停滞し始めた。


スタメン

 前節・町田と2-2引き分けたヴェルディ。水曜日の天皇杯・FC東京戦は10名を入れ替え。この日は町田戦から3名を入れ替えて、平、蓮、齋藤が復帰する。
 一方の徳島は前節・岡山と1-1の引き分け。天皇杯は11名すべてを入れ替える。この日は岡山戦からは杉本に代えて坪井の1名のみを入れ替えて臨む。

前半

 暑さ残るなかでの一戦。天皇杯を含めると中2日、中2日の連戦となる両者であるがともに天皇杯は大幅なメンバーを入れ替え、リーグ戦メンバーは休養たっぷりかと思われた。

 立ち上がりボールを握ったのはヴェルディだった。森海渡と柿谷が縦関係で14411で守る徳島は森海渡が千田と平へプレスして柿谷はアンカー森田晃樹をマーク。数的優位を作れる千田と平は楽にボールを持てて左右へ散らすことが出来た。4-4のブロックを敷くがヴェルディがピッチ中央まで押し込み始めると左SH西谷は最終ラインまで下がって5バックへ変化して守る。基本的に最終ラインを高くしてコンパクトに守る徳島であり、ヴェルディはその背後を取る動きが見られた。右SHに入った齋藤が鋭いロングパスで山田を走らせてという場面が立ち上がり5分で2回も見られた。徳島守備陣の背中を取ることが攻撃の狙いでありそれがいきなり何度も見られて試合へ良い入りが出来ていたものと感じた。

 そのあとも徳島が4バックから5バックへ変化することで西谷の前=児玉の横のスペースが生まれるため宮原と齋藤の右サイドの選手たちがフリーでボールを持てる場面が続き、ここからクロス供給する展開が目立った。前節の町田戦のように右からゴールが生まれると期待したもののその願いは叶わなかった。

 染野が下りてIHの立ち振る舞いをして14141となるヴェルディ。1トップの山田が最前線に居るもののSH加藤蓮と齋藤はサイドに張るもPA内へ入る斜めの動きが少なく、先述のようにフリーになる2CB千田と平がもう少しボールを持ち運び敵陣へ押し込む場面がほとんど見られず、全体的にゴールへ圧をかけるまでには至らなかった。

 一方で徳島はボール保持時は13142で白井がアンカーになる。これに対してヴェルディは1442で構えてこちらもアンカーをマークする役割を2トップの片割れの染野が担い、山田がCBへプレス。SH加藤蓮と齋藤もCBへ縦スライドでプレス、SB宮原と深澤大輝も連動して縦スライドする流れであった。徳島の最終ラインはかなり低い位置でビルドアップを行ない、それにヴェルディがプレッシングをかけることが何度か行なうで判り、相手を誘き寄せてスペースを空けることで1列2列飛ばして人とボールを動かす疑似カウンターで局面を一気にひっくり返して敵陣へ攻め込みフィニッシュへ持ち込む動きか何度か見られた。

 暑さから飲水タイムを設けられた一戦。疑似カウンターを喰らう場面が続いたヴェルディはプレスかける位置と頻度を見直したように若干リトリートし背後を警戒する。低い位置でビルドアップしていた徳島の最終ラインの位置が上がってきたことでこの日のハイライトシーンが一つ生まれた。立ち上がりに何度か鋭い縦パスを入れていた右SH齋藤が三度、スルーパスを入れる。抜け出した山田は右から中へ切り込みながらシュートを撃つかと思いきや後方から走り込んだ選手へマイナスのパス。これがズレてしまい結局シュートにはならなかった。試合を通して両者のシュート自体が少ない状況だけだったためにストライカーなら思い切って打って欲しかった。

 結局前半はお互いにシュート1本ずつのスコアレスと寂しいものになった。

後半

 ハーフタイム明けにヴェルディは加藤蓮に代えて甲田を投入。前半のヴェルディは齋藤×宮原の右サイドの組み立て、攻撃に比べて加藤蓮×深澤大輝の左サイドが見劣りするものでありテコ入れをしたのだろう。蓮も大輝も技術的なミスが散見され、上のステージを目指すとなればまだまだレベルアップする必要性を感じるばかりだ。

 ロッカールームで喝を入れられたとのヴェルディイレブン、後半の入りはよかった。後方から相手を見ながら丁寧にパスを繋ぎ押し込む時間帯を作り、左から平、甲田、大輝が絡み最後は高い位置まで攻撃参加した森田晃樹がシュート。獲得したCKからクロスに千田が合わせる。水曜日の東京ダービーで最後のPKキッカーになった千田に対してサポーターからは熱いチャントが試合前から鳴り響き、この日の守備では完封に貢献。このヘディングの場面ではタイミングが若干ズレて上へふかすことになってしまった。

 53分にも最終ラインが攻撃の起点になる。後方から大輝がロングフィード。染野が競り合い、ルーズボールは山田のもとへ。山田はダイレクトボレーを狙うもジャストミートできず。残念ながら、この日は彼の日ではなかった。

 山田に代えて北島が投入され左SHへ。甲田が右SHに回って、齋藤が中央に入る。膠着状態の中で得点を取りに行く際にFWではなくて中盤の選手を入れるあたりがFWの層の薄さを物語っている。

 徳島は右WBにエウシーニョを投入。身体の入れ方や手を上手く使ってボールキープしながら縦だけでなくて中へ切れ込み違いを作る巧い選手だ。66分、左サイドからの徳島の攻撃。二次攻撃からエウシーニョが絶妙なクロスボールを供給、坪井が叩きつけるヘディングシュート。難しいショートバウンドするシュートもマテウスが弾きだしゴールを割らさない。徳島にとっては最大のチャンスだった。

 ヴェルディは齋藤に代えて負傷から復帰した林が久しぶりに出場。中盤底に入って、晃樹が前へ出る。約2か月の離脱中に稲見が台頭し序列も変わり林にとっては猛アピールをする立場になってしまった。これがチームにも相乗効果をもたらせてくれると願いたい。

 押される徳島であるが、西谷が左の高い位置で張り、ボールを貰うことでカウンターを仕掛けるもここはマッチアップする宮原が個の高さを見せつけてしっかりと対応。ヴェルディは左の北島が果敢に仕掛けてチャンスメイクするも右の甲田は仕掛ける位置がゴールから遠いこともあり迫力を生み出せず徳島に守り易さを与える。終盤には大輝に代えて阪野を投入し、稲見を左SBへ下ろして配置換えをし、先制点を奪いにかかるも最後まで得点を奪えず0-0スコアレスドローで終わった。お互いに終始、プレー強度が低く、見せ場の少ない試合となった。

まとめ

 両指揮官が試合後のコメントで触れたように、ピッチ上はかなり暑かったという。体力消耗も激しかったのかプレーに精彩を欠くような内容で完全な塩試合であった。連戦とは言え、水曜日の試合を欠場した選手ばかりで、あれだけ熱量溢れる東京ダービーを繰り広げながらこの日はベンチ外になった選手たちの想いを感じ取れなかったのだろうかと残念の一言である。
 再び谷口栄斗の離脱が発表されるも、反対に負傷離脱していた平が水曜日は45分、この日は90分フルタイム出場、林も後半途中から復帰と戦力が戻ってきたことはポジティブ要素だ。
  攻撃の迫力の無さは相変わらずでホームでは4月以来3か月も勝っていない状態。とうとう、磐田にも抜かれてしまい3位転落。守備陣の安定+攻撃陣の奮起が浮上には必要不可欠である(補強もあるらしい)。監督、選手たちから同じ言葉を何度も聞きたくは無いよ。