【雑感】2022年J2リーグ 第23節 対ジェフ千葉~あの熱量はどこへやら~

東京ヴェルディ 1-3 ジェフ千葉

 期待感溢れて乗り込んだ敵地で待ち受けていたのは立て続けの失点。これまでと変わらないような試合運び。そう簡単にはチームが変わることは出来ないと痛感させられた試合を振り返りたい。

スタメン

 城福新監督を迎えた初陣・山口戦を3-0、天皇杯・川崎F戦を1-0と公式2連勝を飾ったヴェルディ。この日はU21日本代表帰りの馬場晴也を右SB起用。中盤の井出、ワイドの小池は古巣対戦となった。
 対する千葉は前節・大宮と1-1の引き分けもリーグ戦6戦負け無しと好調を維持。この日も前節と同じ11名で臨む。

前半

 新監督を迎えて公式戦2連勝中のヴェルディとリーグ戦6戦負け無し4完封と好調千葉という楽しみな一戦。唯一の心配材料は猛暑となったこの日のデイゲーム開催という気象条件だっただろう。

 水曜開催の天皇杯でJ1王者・川崎F撃破と勢いに乗るヴェルディはその試合には出場していなかった馬場、奈良輪、井出、小池とフレッシュなメンバーも組み合わせて期待がかかる立ち上がり。

 怪我人続出もあり4バック変更後も成績が安定している千葉は1442で構え、2トップの櫻川とブワニカがヴェルディ中盤底の加藤弘堅を消しながら2CBへプレッシャーをかける。弘堅へのパスコースを失ったヴェルディであったがSHDH間で上手く立つ梶川と井出への縦パスを入れたり、最終ラインでボールを繋ぎ相手を揺さぶると大外に構える杉本竜士、小池へロングボールを入れる場面が見られた。

 大外を使ったとしてもハーフスペースの梶川、井出や後方から攻め上がる馬場晴也、奈良輪の連携でサイド攻撃からチャンスを伺う姿勢を見せるヴェルディ。

 対する千葉は2DH田口と熊谷が攻撃を指揮し、長短のパスを織り交ぜながら仕掛けていく。前線の櫻川とブワニカはサイズ感も大きく対面するンドカや谷口栄斗との競り合いにも互角以上に渡り合い、ボールを収める。短いパスで繋いで行くときは前線から積極的にプレッシングに来るヴェルディを上手く剥がしながらサイドへ展開していく。ヴェルディのSH化した小池、杉本竜士とSB馬場晴也と奈良輪の守備の連携と連動性が上手く行かずサイドで数的優位を与えて抉られる機会が目立った。

 すると、開始5分すぎに千葉が右サイドからFKを獲得。これを田口が囮を上手く使ってタイミングをずらすようにアウトスイングのボールを蹴り入れるとマークを上手く外した新井一耀がヘディングで合わせて早々に千葉が先制に成功する。

 堅い守備で負け無しを続ける千葉にとっては試合後の監督コメントにもあったように暑さもあり大事にしようとしていたセットプレーで見事に先制し、守備を固めて追加点を狙うゲームプランが上手く嵌る。

 先制点を挙げたこともあり猛暑の中でも選手たちにはエネルギーが生まれ、4-4-2のブロックをコンパクトにかつ、リトリートして次第にヴェルディの攻撃を沈静化させていく。立ち上がりから加藤弘堅を封じていて外循環のパス回しを強いられたヴェルディは梶川、井出がボールを触るものの2CB(新井一耀、チャンミンギュ)と2DH(田口と熊谷)の4枚のブロック内に侵入出来ずに攻撃に迫力を出せず、最前線に入った佐藤凌我は孤立することが目立ち、サイド攻撃からのシュートもミドルシュートも無かった。山口戦で途中からシステムを2DH2トップと変化をつけ、天皇杯・川崎Fは走力を活かした攻守の戦い方をしたが、この日はこれまでと同じ配置、同じサッカーになり悪さばかりが浮き彫りになってしまった。

 暑さから運動量を抑える意味合いでもリトリートする千葉はボールを奪うと前線の2トップ目掛けてロングボールを当てて陣地回復する。見木がボールに触ることが増えて敵陣で時間を作ると左SB秋山が攻撃参加する。小池、梶川、馬場晴也が上手く捕まえ切れず、侵入を許すことが増えて行くと、見木のスルーパスに抜け出した秋山を馬場晴也が倒してPKを献上。

 マテウスがボールには触れたもののキッカー見木のシュートが上回り千葉が追加点を挙げる。後半にはイエローカードも貰った馬場晴也。SB起用はほろ苦いものになってしまった。前方へドリブルで持ち運ぶことに迫力はあるものの背後を取られた時のスプリントで負ける場面が目立ち、サイド起用は厳しいものがあった。

 流れの中からはシュートチャンスは少なかったが獲得したセットプレーを見事にモノにして千葉が2点リードで折り返す。ヴェルディは川崎F戦で見せたような強度の高いプレーはまったく見られず、期待をしたなかでは残念であった。

後半

 まったく良いところの無かった両ワイドの小池と杉本竜士はハーフタイムで後退を余儀なくされ、バスケスバイロンと新井が後半開始から投入される。
 さぁ反撃だと思った矢先、三度、セットプレーにやられる。右サイドから田口がアウトスイングのボールを入れるとファーで密集を作りそこを通り越して外から風間がフリーでヘディングシュート。マテウスが何とか弾くも新井一耀がプッシュしてゴール。これで3点リード。

 ヴェルディはこちらも良いところなしの井出に代えて河村を投入して1442へシステム変更。河村は気迫あふれる前線からのプレスで駆けまわしていくも中盤の4枚がついてこれず、最終ラインも天皇杯のように思い切ってラインを高く出来ずに間延びをしてチグハグする。その結果、ロングボールを入れられて櫻川とブワニカに深い位置まで攻め込まれ、ンドカらがフィジカル勝負で何とか食い止める場面が見られた。

 その後、存在感を消されてしまっていた加藤弘堅に代えてU21日本代表帰りの山本理仁、体力切れになってきた佐藤凌我に代えて森田晃樹を投入。左サイドで新井が仕掛ける個人技頼みの攻撃からクロスにバスケスバイロンが合わせ超決定機を作るも決めきれない。新井の仕掛けから相手GKとDFにクロスボールを落とすのは一つのパターンになっているのだろうか。押し込むものの押し込みすぎて敵味方が多くなりスペースを消してしまう相手の思う壺になる。

 後半ATに新井章太がバイロンを倒し、一発退場になり、チャンミンギュが緊急でGKを務める事態に。ヴェルディはCKからンドカのゴールで1点を返すのがやっとで前節の大勝から一転、あっさりと敗戦を喫してしまった。

まとめ

 堀サッカーとあまり変わらない内容だったという90分の感想だ。攻守において約束事がまだハッキリしていないため天皇杯の時のような熱量がないと戦術を上回ることは出来なかった。相手の戦い方が異なるとはいえ、天皇杯欠場して今節に臨んだ選手たちは軒並み強度の低い、覇気があまり感じられないプレーばかりで残念であった。
 前節の大勝と天皇杯の勝利であまりメンバーとシステムをイジルことが出来なくなってしまっただろうか。ただ、攻撃面では前半は早いタイミングでクロスを上げることが多かったが、後半は新井とバイロンが1対1を仕掛けてからのクロスと個人に頼るアドリブ性が高いと感じた。守備も暑さもあったからかプレス強度とマークの受け渡し、ラインコントロールがはっきりとしていなかったように見えて攻守で課題は山積みと受け止める。。この敗戦が次節からの城福カラーを出すきっかけになってもらいとポジティブに考えたいところだ。次節からの琉球、栃木、大宮の3連戦はシーズンを通して大きな意味を持つ連戦になる。