【雑感】2024年J1リーグ第11節 対サガン鳥栖~執念のかたまり~

東京ヴェルディ 2-0 サガン鳥栖


スタメン

 前節・福岡と0-0引き分けに終わり2戦連続スコアレスドローのヴェルディ。この日は左SB袴田と左SHチアゴアウベスの2名を入れ替える。いずれも移籍後初スタメンとなる。
 一方の鳥栖は前節・柏と1-1の引き分け。上夷と堀米がスタメン復帰してこちらも2枚入れ替えで臨む。

前半

 勝点が近い福岡、鳥栖、磐田とのGW連戦の2戦目を迎えたヴェルディ。鳥栖とはJ1では初対戦になる。暑さもある昼間の試合、立ち上がり攻め込んだのはホームの鳥栖だった。鳥栖はボール非保持時1442になり2トップ+2SHで前線からハイプレスをかけるとヴェルディをかなり低い位置まで押し込む。ボール奪取すると前が空いてると見るや思い切りよく手塚がミドルシュート。鳥栖はボール保持すると左SB長沼が上がり左肩上がりの3バックへ可変し13151のようになる。最前線マルセロヒアンに当てて衛星的に動く堀米と菊地がセカンドボール拾う。
 9分、翁長のクリア気味のフィードをキムが跳ね返すとボールが渡ったマルセロヒアンが振り向き様にシュートもポストに。ヴェルディはバイタルエリアを空けたことで鳥栖の選手たちに前を向いてプレーさせてしまった。開幕当時の横浜FM戦や浦和戦から比べると試合を重ねる事にDF~FWの間延びしてきてコンパクトさが無くなりつつあることは気になる。

 対するヴェルディは木村と染野にロングボール当てて2トップのコンビネーションから攻める。陣地を稼ぐとチアゴの個人技を活かすように左サイドへボールを集める。敵陣侵入し厚みをかけた攻撃から右SB翁長が中へ絞っておりやや中央からのクロスにチアゴがヘディングシュート。挨拶代わりに鳥栖ゴールを脅かす。チアゴが時間を作ることで3列目森田晃樹が攻撃参加できてポケット取る動きも見られた。川崎F戦でもこの崩しは見られた継続性あるものだった。
 13分、カウンターからチアゴがカットインシュートを放つも惜しくも枠外。フィジカル活かした木村と染野の2トップでの攻撃にチアゴが加わり3名でフィニッシュまで持って行けるのは大きな武器になるだろう。得点こそ未だないがテクニックはJ1相手でも十分に通用しており攻撃を牽引する存在になってくれることは間違いない。

 16分、ボール保持するヴェルディはバックパスを受けた右SB翁長が自陣から左足での正確なフィード。木村が上手く抜け出して身体を入れてPA内へ入り上夷に倒されてPK獲得。これを木村がしっかりと決めてヴェルディが先制する。川崎F戦でも見せていたこの形。ついに得点に繋がった。

 ボール保持が長い鳥栖は3CBにヴェルディが2トップで対応することで数的優位になりキムや上夷が持ち運ぶ場面が見られた。中盤4枚のヴェルデイに対しても5枚6枚と横幅に並べることで守備基準を曖昧にしてライン間でも上手くボールを握ることは出来ていた。この状況にヴェルディは2トップ木村と染野+SHチアゴor見木を縦スライドして3枚での数的同数でプレスかける。22分には前線からの守備が嵌り、ボール奪取からチアゴがシュートする。

 しかしSHの縦スライドは長続きせず鳥栖3バックの1枚に時間とスペース、自由を与えてしまう。28分、上夷からのロングフィードに富樫が抜け出す。ゴールライン際まで並走する袴田が身体入れてゴールキックにしようとするもボールの勢いがなくなり富樫が袴田からボール奪取しようしたところで足がかかり倒されてVAR判定へ。判定の結果、ファウルの前の富樫の飛び出し時のオフサイドを取りヴェルディは命拾いした。
 ルヴァン杯鹿児島戦で移籍後初出場を果たして、リーグ戦では前節・福岡戦で初出場、今節で初スタメンと着実に評価を上げてる左SB袴田。この場面ではポカやらかし未遂であったが90分フル出場で悪く目立ったのはこれくらいだった印象。レフティだから最終ラインで角度のない横パスもダイレクトに繋げてボール回しもスムーズであり、守備でもスピード面で少々難はあり背後を狙われる機会があったがうまく対処して今後も起用はあるだろう。

 一方でCB林と千田はマルセロヒアンに手を焼く。40分、倒してFK献上し、ゴール前でピンチを迎える。前半ATには左サイドからの浮き球をPA内で千田を背負いながらマルセロヒアンがボールを収めると反転シュート。試合前の監督会見でも言及していたように献身性もありボールが収まりシュートも打てて良い選手である。前半はヴェルディが1点リードで折り返す。

後半

 お互いにメンバー交代無しで後半を迎える。立ち上がり、前半から一転ヴェルディは右サイドからの攻撃を何回か仕掛ける。立ち上がりの攻勢を凌ぐと最終ラインとGKパクでボール握りテンポ落としてマイボールの時間帯を長くする鳥栖。

 51分、鳥栖が低い位置でパスを繋いで行くがパクからの上夷へのパスをボール奪取したチアゴが中へパスすると木村に渡る。フリーであったがシュートも外す。追加点のチャンスをモノにできない。結果として勝利できたからよかったものの試合の流れが傾くターニングポイントになっておかしくなかった。

 鳥栖は富樫、上夷の右サイドにボール集める。CB上夷が攻撃参加して前線まで上がりクロスをあげる場面もあった。 
 ヴェルディは65分、チアゴと見木に代えて松橋優安と齋藤を投入して両SH入れ替える。サイドを押し込まれていたことでフレッシュな選手を入れたいこともあるが中2日で迎える次節のことも少し考えての交代だっただろう。

 65分、右サイドからヴェルディDF背後を狙うボールが入ると、マルセロヒアンが林と入れ替わりマテウスも交わしてシュート。千田と翁長がカバーリング。ポストに身体ぶつけながら翁長の魂のシュートブロックで決定機を阻止する。毎試合1回ある林のポカミスはどうにかならないものかと。翁長のビッグプレーに救われた。

 68分、鳥栖は堀米に代えて横山。横山は左SHで菊地が右SHへ回り富樫がトップ下のようになる。鳥栖は左サイドの横山にボールを集める。途中出場となった齋藤は攻撃面ではあまり目立たなかったけど守備ではプレスバックをしっかりとしてドリブラー横山に対して翁長と2対1を作るなど献身的なプレーを見せる。

 80分、最終的にオフサイドになったが木村が右サイドから仕掛けて持ち上がるとクロスにファーからランニングした松橋優安がボックス内に飛び込む。ルヴァン杯鹿児島戦でも見られた優安の飛び込みは巧くなっている。。82分にもう1回同じように優安が魅せた。

 85分、ヴェルディは身体を痛めた翁長と前線でこの日も存在感を示した染野に代えて深澤大輝と綱島悠斗を投入。大輝は右SBでプレーするのは今季はじめて。悠斗は染野がいた最前線にそのまま入る。

 次の1点を巡る攻防は両者メンバー交代しながら拮抗する。鳥栖はCBキムを上げてパワープレーに出る。これに対してヴェルディは大卒ルーキーCB山田裕翔をピッチに送り込み5バックで守備固め。裕翔はJリーグデビューとなった。時間を使いながら耐えるヴェルディに歓喜が訪れる。自陣からのFKリスタートをマテウスが蹴ると綱島悠斗が競ると混戦からのこぼれ球を拾った松橋優安がPA内へ侵入し、シュート。パクに当たりながらもそのままゴールラインを割りヴェルディに追加点。優安は嬉しい嬉しいJ1初ゴールでありヴェルディでの初ゴール。アカデミー時代は10番を着けるもプロ入り後は壁に苦しみ今季も開幕前は序列が決して高く無かった優安のゴールには多くのヴェルディサポーターが涙した。

 1点差の展開もこの追加点で勝負あり。2-0でヴェルディが鳥栖を下しリーグ戦では1か月ぶりの2勝目を挙げた。

まとめ

 鳥栖にボール握られる時間が長かったが効率的な得点の積み重ねで2-0完勝でリーグ戦2勝目を飾った。ゴールライン際での千田、翁長が身体投げ出してのシュートブロックや2点目の優安の姿勢などガムシャラさがチームに戻ってきているようにも見ていて感じる。
 攻撃では晃樹のポケット取る3列目からの飛び出し、右SB翁長の左足でのフィード、優安のPA内での飛び込みとこれまでも見られた光景がこの試合でも表現され再現性が増してきているのはポジティブ要素だ。数字がついてくるのは何よりも自信に繋がるだろう。
 守備陣は決定機を作られるも凌いで3試合連続クリーンシート達成。チームに良いリズムが生まれつつある。次はGW連戦最後の中2日での磐田戦だ。昨季J2では2戦2分だった相手に勝ち切りたい。