【雑感】2022年J2リーグ 第11節 対ジェフ千葉~もどかしさが残る90分~

東京ヴェルディ 1-1 ジェフ千葉

終わってみれば1-1の引き分けでヴェルディは連敗を2で止めることが出来た。ただ、試合内容はボール保持するものの中を固める相手に崩す形をこだわりすぎたのかシュートはたった4本で終わる消化不良の一戦であった。試合を振り返り、何が足りなかったのか考えてみたい。

スタメン

 前節・山口に1-3で敗れ2連敗中のヴェルディ。メンバーを3名入れ替えて臨む。左SBに深澤大輝、右IHに石浦大雅、右ワイドに古巣対戦になる小池が復帰。システムは1412で臨む。
 対する千葉は前節・大宮に1-2で敗戦を喫した。左WB末吉、最前線・櫻川の2枚を入れ替えて臨む。高木俊幸にとっては初めての古巣との試合になった。

前半

 GWに合わせてスタートした5連戦。ヴェルディは試合前日に堀監督がコロナ陽性判定を受け、この試合は急遽、長島コーチが指揮を執る事態になった。
 ホーム・ヴェルディはお馴染みの緑に対して、なぜか千葉が濃い青を着用していたためユニフォームの見分けがつきにくかった事象が発生した。スタンドで見ていても視認しにくいことがあり、ピッチで立っていた選手たちも同じだっただろう。高木和や馬場晴也が相手へ中長距離のパスを渡すような場面があり、千葉側でもそんな感じの場面があり、きっと見間違ってしまったのだろう。

 試合の方は、ボール非保持時にWBが下がり5バック化する千葉がリトリートするように守りヴェルディにボールを持たせることを容認し、最前線の櫻川ソロモンのフィジカル活かしたポストプレーやシャドーの高木と見木、WB福満と末吉のスピード溢れるカウンター攻撃をする。

 ヴェルディがボールを持つと櫻川が2CBを見ながら、シャドーの1枚がプレスをかけていく。中盤が2DHの千葉に対してヴェルディはアンカーの山本理仁とIH石浦大雅、梶川の3枚で数的優位を作り千葉ファーストディフェンダーを超えた時のボールの収めどころを作りたい狙いがあった。実際に2DH田口と熊谷の外に大雅と梶川が立ちボールを収めることが多く、これに対して千葉はCB新井や鈴木、最終ラインに下りたWB福満、末吉がスライドして対応。この時にヴェルディはワイドの小池、新井相手を引き付けスライドをさせまいとしたり、CBがスライドするようならばと内へ絞りWBを引き連れて大外のスペースを空けてSB山越、深澤大輝にレーンを空ける。攻撃参加したSBを使って、ハーフスペースから大外へ展開して中へクロスやドリブルで仕掛けという動きが何度も見られた。

 しかしながら崩しに手数をかけすぎた印象もあり、せっかく崩しかけても千葉守備陣形が整い、バックパスで下げさせられる場面も目立ち効果的な攻撃は佐藤凌我が左からカットインしてミドルシュートを放ったことぐらいだっただろう。凌我にはチャンミンギュがマンマークしていたこともありこの場面以外はほとんど前を向いてプレーさせて貰えなかった。

 また、自陣からのビルドアップ時やカウンター時に千葉最終ラインと駆け引きしながら右ワイドの小池は何度も斜めの動き出しをするも全くボールは来ず、千葉の選手たちの目線を変えることは出来ず結果的には単調な攻めになってしまった。終始、トランジションの遅さが気になってしまった。

 対する千葉はボールを握りヴェルディ守備陣にスペースがあるとみればロングボールを入れて一気に陣地挽回。先術の通りに櫻川ソロモンを活かしたプレー。スペースが無ければ一旦、落ち着かせ、田口と熊谷にボールを預ける。ヴェルディは佐藤凌我と石浦大雅の2トップ化で大雅がDHを消しながら凌我のプレスに連動するようにプレス実行。そうなると、最終ラインに下げてフリーになることの多かった鈴木からのロングフィードに櫻川が走ることが何度か見られた。

 馬場晴也からボール奪取した見木が独走ドリブル高木和との1対1の超決定機を外すなど決め手に欠き前半はスコアレスで折り返す。

後半

 キックオフと同時にギアを上げたのは千葉だった。前線3枚に加えて田口がプレスをかけて行く。ボールを握ると熊谷、田口、見木のパス交換が増えて高い位置へ押し込み、ミドルシュートを積極的に放ちリズムを作る。ヴェルディはパスの出し手と受け手の意思疎通が嚙み合わない場面が後半も散見し、シュートすら放てない状況が続く。

 主導権を握った千葉が先制する。自陣からのビルドアップにヴェルディが前線からプレスかけるも上手く剥がされ、最前線の櫻川へ当てた時に2CBが被り、スペースを与えてしまい、櫻川が上手く前線へ展開すると、高木が抜け出してそのまま持ち上がり豪快に決める。古巣相手に強烈な恩返し弾を決めた。

 1点ビハインドとなったヴェルディだが、ブロックを敷く千葉相手に外循環のパスばかりでなかなかシュートまで持って行けないヴェルディ。自陣からのゴールキックやビルドアップを高木和、馬場晴也、谷口栄斗の3名が近い距離から繋いで運ぼうとするもパスミスもあり結局相手へプレゼントする場面があった。フィニッシュまで持って行けない状況でこういうプレーが出るとスタンドのサポーターの士気は下がる一方で、単純にゴールキックをかっ飛ばすことも必要ではと感じてしまう。

 森田晃樹、加藤蓮、その後も阿野真拓にバスケスバイロンを投入するも効果は発揮されず、残り15分のタイミングで山越を下げて杉本竜士を投入。。3バック気味にして馬場晴也を右SBのように配置して攻撃参加させ、そのスペースを山本理仁が下りてカバーする。右ワイドにバスケスバイロン、左に新井、中央を佐藤凌我と杉本竜士の2トップにして前がかりの布陣へ変更。

 馬場がハーフスペースを駆け上がり追い越す動きをして、杉本竜士が斜めの動きでブロックで固めた千葉守備が乱れ始める。ここにライン間でボールを受けて狭いスペースでも前を向ける阿野真拓と森田晃樹が加わり、ヴェルディにリズムが出てくる。

 やっと攻め込みことが出来たヴェルディ。81分に馬場が持ち上がり、真拓、竜士が絡む。凌我に対してずっとチャンミンギュがマークしていてなかなか前を向けなかったが、竜士や真拓が近い距離でプレーしてくれたことで相手選手がついてこれず、前を向けたタイミングを見事にモノにして同点弾を挙げた。

 同点に追いついたヴェルディは山本理仁をCBへ下ろし、馬場晴也を完全に右SB化させてさらに前がかりに攻勢に出る。88分、左からの竜士のクロスに凌我がヘッドもポスト直撃。最後までゴールへ迫ったが勝ち越し点を奪うことは出来ず、このまま1-1でタイムアップ。連敗を2で止めることは出来たが3戦勝ち無しとなった。

まとめ

 小池が斜めに走り出す動きをするも使われることがほとんどなかったことがとても気になった。ボールホルダーが気づいていないのか、パスを通す自信が無く出さないのか判らないが背後を取る機会を活かさないと単調な攻撃ばかりで相手守備者にリズムを与えることになる。試合後の小池のコメントで、ボール関与する回数が減っている現状に苦しんでいるようだ。昨季のチーム得点王がここまで無得点。ボールに触れて、シュートを放ってリズムを作る選手であるだけにここから浮上するにはチームメイトがもっと活かしていくことが必要不可欠になるのでは?と思った。
 ここのところ勝てなくなっている原因としてシュート数の少なさが一つある。ボールを保持してもプレー判断の遅さ、ポジトラの鈍さや無さで攻撃の迫力を欠き、先述のような裏抜けを活かすこともあまりなく、ミドルシュートも減り、シュート自体が少なくチームに元気が無いように感じてしまうばかりだ。
 また、守備陣も失点に直結するミスが続いており、勿体無いばかりである。終盤に見せた馬場晴也のSB起用や3バックスタートなど相次ぐ失点に5連戦ではメンバー変更することも一つの手段になるだろう。監督不在の緊急事態のなか、どのように現状打破するか注目したい。