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ヴェルディロスのあなたへ、ここまでの振り返りだよ。~2021年J2リーグ第23節まで全試合簡易レビュー~

 2月末に開幕したJ2リーグもあっという間に23節までを終えて中断期間へ突入。始まってしまうととても早く感じるのは毎年のことだろう。開幕直後は昨季終盤からの悪い雰囲気そのままに内容も乏しいマズイ成績であったが、『火事場の馬鹿力』なのか『逆境に強い』のか、言い方はどちらでも良いとして、見事に立て直し尻上がりに成績を上げていき23試合を終えて10勝5分8敗とまさかの白星先行。開幕前の戦力やシーズン序盤の停滞ぶりからかなり覚悟はしていたがこの成績にとても驚いた。(超失礼)

  ではでは、ヴェルディロスになっているそんなあなたへ、5節単位でここまでの戦いぶりの振り返りで、中断期間のお供にどうぞ。とっても長く、嫌なところを思い出したくない人は目次から飛んでサクッと読むことを推奨します。一応、全試合のスタメン図載せてます。

幸先よい船出をするも(第1節~第5節)

第1節 対愛媛 3-0 (小池×2、山本)
第2節 対山形 0-2
第3節 対町田 2-2 (小池×2)
第4節 対金沢 2-4 (小池、山下)
第5節 対新潟 0-7           ( )得点者
通算:1勝1分3敗 得点7 失点15 得失点差-8 順位:20位

 2月末の開幕戦、当時のスタメン誰だっけともう覚えていない人もいるだろうけどCBが馬場晴也と加藤弘堅、右ワイドに阿野真拓となかなかファイヤーな配置だった。いま思い返せばよくこれで3-0にて勝てたよなと言うのが本音。この試合、移籍後いきなりスタメン起用された加藤が北九州時代の本職DHではなくてCB起用に「??」って感じになった人も多かっただろうが、始まってみたらボール保持時に一列上がりDH化して俯瞰的な視野でゲームメイクしてて一瞬にしてサポーターたちの心を鷲摑みにした。

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 勝負の世界、そう甘くもなかった。怪我人続出でメンバー組めない事情もあっただろうが、第2節山形戦ではガラリとスタメンと配置を変えて、もう誰も記憶していないようなメンバーとシステムを組んできた。ここ数年上位につけ安定した力を発揮している山形に急造システムは適うはずもなくシュートを打たれに打たれまくること25本。0-2のスコア以上の完敗を感じさせた。

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 第3節町田戦では阿野真拓をトップ起用という大賭けに出た永井監督。試合のなかで決定機が何度かあり決めていれば楽に戦えたという結果論ではあるが、この日も2失点を喫してビハインドに。後半開始から投入された佐藤凌我がトップに入り、ようやく本職のCFらしい選手が入ったことで町田最終ラインとの駆け引きで深みを生み出すことで次第にリズムを作り、小池の2得点で追いつき引き分けへ持ち込んだ。

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 続く第4節金沢戦。平、井出が怪我から復帰して実力者がスタメンに名を連ね楽しみな布陣で臨むと試合開始直後に小池が幸先よく先制点を挙げ、これは行けると思った。しかし、そんな期待も打ち砕かれるように守備の綻びが目立ってしまった。前線からのプレスのかけ方が曖昧になると連動する縦横のプレスも緩く、金沢に左右に揺さぶられ次々と失点を重ねて4失点。3試合連続の複数失点に開幕早々ながら「降格」がちらつくような散々な内容であった。

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 第5節新潟戦。守備崩壊が続くと永井監督は最後の賭けを感じさせるようにスタメンに富澤と安在を起用。守備のみならず攻撃も得点力ある小池を大外に張らせてクロッサー役とか訳わかんない配置してみたりして全く怖さを与えられず、あれよあれよと失点を重ねてはヴェルディユース出身の高木善朗にハットトリック献上し0-7の大敗。自分は「クラブ史上最悪の試合」と名づけた。

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救世主・佐藤凌我登場(第6節~第10節)

第6節 対水戸 2-1 (佐藤凌×2)
第7節 対山口 3-1 (佐藤凌、山下、小池)
第8節 対琉球 0-2
第9節 対京都 0-2
第10節 対長崎 1-1 (小池)      ( )得点者
期間:2勝1分2敗 得点6 失点7 得失点差-1
通算:3勝2分5敗 得点13 失点22 得失点差-9 順位:14位

 チーム大崩壊で、ついに解任かという雰囲気がサポーター内では勝手に生まれ始め背水の陣となった第6節水戸戦。この日はスタメンを弄り、2DHでネガトラ時の守備を安定させ、佐藤優平をトップ下に置き中央でのボールを収めるように配置。そして1トップにルーキー佐藤凌我を起用。すると、いきなり結果が出る。佐藤凌我が開始早々に先制点を挙げる。その後に水戸に同点にされるもイレブンは死に物狂いで球際激しくプレーをしてまたしても佐藤凌我が決勝点を挙げて2-1勝利。気迫、執念を感じさせるいまのところのベストゲームと言ってもいいような試合だろう。

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 続く、第7節山口戦。澤井直人、高木大輔、一瞬だけ在籍した高井とゆかりのある面々が立ちはだかる。開始早々にいつものように失点を喫してビハインドの展開へ。ただ、前節の勢いそのものに佐藤凌我があっさりと同点弾を決めると、山下、小池の3トップそろい踏みの3得点でいつ以来か忘れてしまうくらいかなり久しぶりの逆転勝利で今季初の連勝を飾る。

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 意気揚々と上位につける琉球との一戦に沖縄へ乗り込んだヴェルディ。途中出場で中盤起用されていた馬場晴也を初めてボランチでスタメン抜擢。そんなこともあったなぁ(また見たい気もする)。一進一退の拮抗した展開の中で、佐藤優平がラフプレーで一発退場。完全に緊張が途切れてしまい、ここからは琉球にサンドバック状態になり終わってみたら0-2で敗戦。

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 第9節京都戦は唯一の平日開催。昨季は平日に一回も負けないで1年間を終えていたからちょっと期待したけれど、シュートを打たない→ボールを失う→カウンターを受けて失点というお決まりのパターンが炸裂。攻守、トランジションのあらゆる面で京都との練度の差は歴然としていた。またしても終わってみたら0-2で敗戦という結果に。

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 第10節。下位には勝って、上位に負けるという感じになり始めたなかで迎えたの同じくノラリクラリしていた長崎。なんでJ2でプレーしているのか意味不明な長崎助っ人軍団に圧倒されて先制を許す。おまけに主将の平が負傷と絶望的な展開。ここで投入されたンドカがチームを救った。攻守に武器であるヘディングを見せつけるとCKからのこぼれ球を小池が豪快なボレーシュート決めて1-1引き分けに持ち込んだ。

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帰ってきたパライバ(第11節~第15節)

第11節 対大宮  1-1 (小池)
第12節 対群馬  3-1 (佐藤凌×2、山下)
第13節 対甲府  0-2
第14節 対北九州 2-0 (山下、佐藤凌)
第15節 対磐田  0-2           ( )得点者
期間:2勝1分2敗 得点6 失点6 得失点差±0
通算:5勝3分7敗 得点19 失点28 得失点差-9 順位:15位

 第11節。いつもの緊急事態宣言と何が違うのか不思議でしょうがないが、GW味スタ連戦はまさかの無観客試合を強いられる。せっかくの楽しみが奪われてしまったサポーターたちに明るい話題を振舞ったのが19年に在籍していたジャイルトンパライバの復帰だった。いきなりスタメン起用されると当時と変わらないように力強いプレーを見せた。試合は先制を許すも小池が豪快なボレーシュート+SixTONESの弓矢パフォーマンスというこの上ない最高のゴールセレブレーションを見せて1-1の引き分け。

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 続く第12節群馬戦。琉球しかり、群馬とスピード溢れるサイド攻撃にめっぽう弱いヴェルディは予想通りに先制を許す苦しい展開。前半終了間際に相手GKのパスミスをかっさらった石浦大雅からのプレゼントパスを受けた佐藤凌我が冷静に決めて同点に。後半はパライバの兄貴ぶりを発揮するような爆走無双ドリブルを魅せるとオープンな展開で流れを掴み3-1で逆転勝利。スタメン起用されたGK柴崎が超久しぶりに「シバじらし」を披露して画面越しで涙するサポーターも多数居た。

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 今季初の3連勝をかけてアウェイに乗り込んだ第13節甲府戦。ハリキリ過ぎたパライバはコンディション不良でベンチ外へ。山口が左SBで移籍後初先発をすると、スピードに乗った単騎突破を魅せて存在感示すもののテンポを変えられるのはここのみで全体的に停滞してしまう。対する甲府は後半からメンバー変更してギアを上げ直すと一気に2得点を挙げる。だんだんと負けるときは0-2というのがお約束になってしまった。

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 緊急事態宣言が明けて、久しぶりに観客を入れて開催された味の素スタジアムでの第14節北九州戦。右SBにはルーキー深澤大輝が初出場初スタメンを果たす。よく声を出して粘り強いプレーで及第点と言った出来だろうか(今後の飛躍に期待したが、ちょっと怪我が多い)。試合の方は、前半はお互いの良さを消すように前線からの守備が集中していたが後半になりヴェルデイが主導権握ると今季初となるワイドーワイドの見事な崩しで山下が先制点を挙げると、終盤には佐藤凌我が追加点を挙げて2-0で勝利。

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 第15節、ホーム迎えたのは上位につける磐田。ビジター席なしのはずなのに磐田のゴールに歓声上がる味の素スタジアム(なぜ)。特にこれといった組織的な戦い方をしている訳でもないけれど個の力の高さで5-4ブロックを敷く磐田を崩せずに、延々とボール回しさせられてしまった悪い癖が出たヴェルディが0-2で敗戦。1点ビハインドの段階で主軸加藤と小池を下げて試合を捨てたかと思いきや、後の5連勝への壮大なフラグになる土下座案件であった。

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本領発揮する新戦力(第16節~第20節)

第16節 対秋田  3-1 (小池×2、井出)
第17節 対岡山  1-0 (井出)
第18節 対千葉  1-0 (小池)
第19節 対相模原 2-0 (端戸、井出)
第20節 対栃木  2-1 (山下、OG)   ( )得点者
期間:5勝0分0敗 得点9 失点2 得失点差+7
通算:10勝3分7敗 得点28 失点30 得失点差-2 順位:9位

 勝ち負けを繰り返し、とりあえず勝ち点上乗せしていくヴェルディ。サイド攻撃+ハイプレス+初物という苦手3つが重なった第16節秋田戦。まるで挨拶かのようにあっさりと先制を許すいつもの展開。プレスを掻い潜ろうとピッチを広く使うようになると、ようやく本職DH起用された加藤弘堅のゲームメイク力が発揮される。ボールを握り押し進めていくと、サイド攻撃から同点、逆転、追加点と鮮やかな逆転勝利を飾った。

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 第17節、アウェイ3連戦のはじまりは岡山との一戦。何かと相性が良い岡山の地で戦いであったが上門、川本らの攻撃陣に苦労するものの何とか耐え凌ぐ。途中出場したパライバ、井出が入った左サイドが活性化してリズムを生み出すと後半ATにドラマが待っていた。左サイド深い位置から端戸がクロスを入れるとファーサイドで小池が折り返してPA内に走りこんだ井出が豪快にゴールを決めて1-0勝利。

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 第18節千葉戦、怪我人続出の右SBにレフティ福村を起用する度肝を抜かれる采配を見せられた。可も不可もなくという出来だっただろう。試合の方は前線からの守備が機能して高い位置でボール奪取からのショートカウンターが上手く嵌る展開に。パライバがハーフスペースで絶妙な位置取りして攻撃の中心になると、アーリークロスに右サイド小池が裏を取りヘディングシュートを決めて1-0勝利で3連勝を飾る。

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 アウェイ3連戦最後を締めくくるのは第19節相模原。見応え十分のンドカ対ユーリのフィジカルモンスターのマッチアップは別次元のような戦いであった。初物の相模原の出方に初めは戸惑いながらも井出、パライバのスピード活かした攻撃からリズムを作るとCKから端戸が先制点を挙げる。後半にもカウンターから井出が追加点を挙げて2-0勝利で連戦連勝を飾った。

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 4試合ぶりに味スタへ帰還した第20節栃木戦。この辺から福村若狭ゾーンの怪しさが失点に直結し始めた。開始早々に狙われてボール奪われるとゴラッソ叩き込まれ、久しぶりのホームでまたしても挨拶代わりの失点を見せられる。そのあとも栃木の速いプレスに苦労して無得点で前半を終える。後半から福村の偽SBによって栃木の守備基準を曖昧することに成功すると、スペースを上手く使えるようになりサイド攻撃が実り2得点を挙げて逆転勝利で5連勝。

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意気揚々とアウェイ連戦へ旅立つも(第21節~第23節)

第21節 対松本 1-2 (端戸)
第22節 対群馬 2-2 (端戸、加藤)
第23節 対愛媛 2-2 (ンドカ、OG)   ( )得点者
期間:0勝2分1敗 得点5 失点6 得失点差-1
通算:10勝5分8敗 得点33 失点36 得失点差-3 順位:9位

 第21節。アウェイ8連戦初戦は公式戦未勝利の地・松本。ヴェルディは5連勝中と鬼門突破にはこの上ない最高の状態であったがそこに立ちはだかったのが監督就任したばかりの名波氏だった。おなじみのセットプレー重視のサッカーから先制点を許すも自分たちの時間を作り始めて、端戸が鮮やかなトラップ+ハーフボレーで同点へ追いつく。直後の攻撃で井出が切り返しまくりのキレすぎドリブルからシュート放つも決められず、その後、セットプレーから失点を喫してまたしてもアルウィンで勝てず連勝ストップ。

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 第22節は群馬。千葉戦でも見せたようにハーフスペースからクロスを入れる約束事が上手く出来て端戸がヘディングシュートを決めて先制。後半から加藤と佐藤優平の配置換えというファンキーな采配を見せるとこれが全く機能せずに中央をがら空きにしてしまい流れを受け渡し、2失点で逆転を喰らう。再び、加藤を中央に戻して攻守のバランス取りながらリズムを作り出すとその加藤がブレ球ミドルシュートを叩き込み何とか2-2の引き分けに持ち込んだ。

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 いよいよラスト!中断前最後の試合となった第23節愛媛戦。またもハイプレスで福村若狭が狙い撃ちにされると、ボール奪われて、ゴラッソ献上でいきなり失点。もう何回見た光景だろうか。ヴェルディの選手たちはプレス回避するために距離感を広げ、上手くボールを回していくと次第にリズムが出来る。獲得したCKからンドカが移籍後初ゴールを決める。その後、OGで逆転すると後半もイケイケな状態に。ただ、幾度とあったチャンスを決められないとネガトラからピンチの連続。後半ATにとうとう失点を許し2-2の引き分けに。5連勝のあと3戦勝ちなしで中断を迎えることになった。

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 いかがだっただろうか?序盤の黒歴史的な部分なんて遠い昔のような、触れたくもないような、どこか懐かしいようなそんな感じもしなくもない。怪我人も多くいろんなメンバーを使ってきたなと改めて実感する。詳しい内容が見たい方はぜひこちらへ。

 中断期間も気づけば折り返しに。次は再開前に、スカッドの整理と後半戦の展望でも。

 それでは!