【雑感】2019年J2リーグ第40節 対ジェフ千葉~ゴールを奪え~

ジェフ千葉 0-0 東京ヴェルディ

終わってみればいまの順位を表すような試合内容だった。ゴールに迫るが得点を奪えない、だからと言ってよい守備が出来ていたわけでもない。消化試合となった一戦、質を高めていくことを目指していたが終わってみたら2試合続けて無得点。ゴールを奪うために試合中に見せた変化を切り取って振り返ってみたい。

スタメン

 J1昇格の可能性が途絶えたヴェルディは前節福岡に完封負けを喫して連敗。この日はクレビーニョが出場停止になり右サイドに奈良輪が回り、左に山本理仁が入った。最終ラインんには平が入り、古巣対戦の若狭とコンビを組む。中盤の底に梶川、左右に佐藤優平と森田晃樹、ワイドには右に古巣対戦の小池、左にパライバといつもと入れ替えてスタート。システムはいつもどおり中盤ダイヤモンドの1442。対する千葉は前線には17得点のクレーベ、12得点の船山の2トップでダブルボランチを敷く1442システム。佐藤優也、アランピニェイロも同様に古巣との一戦になる。

画像1

両チームの攻撃の組み立て方

 残留をほぼ決めている千葉と昇格の可能性が無くなったヴェルディの一戦は試合序盤から両ゴールへ迫るオープンな展開になる。ボールを繋いでいくスタイルを貫くヴェルディであったがビルドアップ時にパスがズレたり、受け手がボールロストするなど技術的なミスから被カウンターでクレーベのシュートチャンスなどピンチを招く。何とか凌いだもののあわや失点という場面だった。ヴェルディも小池の裏抜けからPA内へ進入して決定機を作る。
 試合が落ち着き始めヴェルディは平と若狭の2CBを中心としたビルドアップから攻撃を組み立てる。千葉はクレーベと船山のプレッシングで対抗。サイドの奈良輪と理仁には為田とアランピニェイロ、梶川には熊谷アンドリューがマークにつく場面が多かった。数的同数になるが、フリーマンのレアンドロが下りてくる数的優位を確保してパスコースの選択肢を増やす。平、若狭からは梶川もしくはレアンドロへ縦パスを通すが目立つ。ボールを受けると近い位置を取るフロントボランチ優平、晃樹を経由して幅を取る小池、パライバへ展開してサイド攻撃を仕掛ける。

画像2

 サイド攻撃が上手くいかない時は一旦、ボールを戻してもう一度組み立てし直す。ボールと反対サイドのサイドアタッカー奈良輪、理仁は中へ絞りリベロ梶川の横につく配置をすることで位置的優位を作り二次攻撃を有利に進めようとする狙いがある。レアンドロのカットインしてコントロールシュート、中央を崩して晃樹がPAへ進入、前半終了間際にはフリーキックのチャンスで平がバックヘッドで合わせるも、わずかに右へと逸れて得点には至らず。
 対する千葉はヴェルディのネガトラが遅いことでサイドの枚数が足りなこともありサイドを使うシンプルな攻撃が多い前半だった。 クレーベのポストプレー、梶川の両脇のスペースでボールを貰う船山から展開していく。守備力で奈良輪よりも劣る理仁がいるサイドからアランピニェイロと米倉の攻撃参加からチャンス作るが決めきれず。前半終了間際にクロスボールを上福元がはじいたこぼれ球をプッシュするが、カバーに入った若狭がヘディングでクリア。スコアレスで折り返す。

画像3

可変システムで打開を図る

 後半も両チームの攻撃スタイルは変わらない。但し、ポジトラ時にボールと人が右に左に大きく展開する千葉の方がフィニッシュで終わる事が多かった。ヴェルディの攻撃はゾーン2から選手同士の距離が近すぎて自らスペースを消しているように見えた。全体的にボール回す時に身体の向きで千葉はパスコース読んで、パススピードも速くないからスライドが追いつき狭い方へ押し込まれていく。ワンツーで崩してPA内へ入って行っても攻撃が遅く帰陣している千葉の選手が多くて中の人数で負けていた。
 状況を打開すべき、ヴェルディは長い距離をアップダウン出来る奈良輪を最終ラインに残してパス能力に優れる理仁を高い位置に置く4バックから3バックへの可変システムで攻撃を仕掛ける。理仁が基点になり左サイドで崩そうとするも米倉に左足を完全に切られてチャンスらしい場面が少なかった。

画像4

 ボールを奪い攻撃のターンとなった千葉は、堀米や為田を中心に縦へ仕掛けてカウンターで何度もチャンスを作るが上福元を中心としたヴェルディ守備を崩せない。試合終盤にはヴェルディは長身のリヨンジを最前線に起用して高さを使っていくも両チーム決め手に欠きスコアレスドローで終えた。

まとめ

 試合を現地観戦したあとにもう一度見返してみると、ゾーン2までのボールの回し方、選手の立ち位置・連動性はスムーズにいっていたと感じる。サイドの選手が中へ絞ったり、可変気味のシステムを採用するなど工夫も見られた。シュートチャンスでのトラップミスやシュート精度など、やはり個人能力の部分を上げていくことがゾーン3の攻略には必要になるだろう。
 試合中、フリーマンのレアンドロは高さが無く足元で貰う事が多いため、千葉の選手たちは前向きの守備だけをすることになり次第にアジャストしていった。試合最終盤になって、ようやく高さのあるヨンジを投入して前向きだけでなくて目線を上げた対応をさせることで変化をつけたが交代のタイミングはもう少し早くても良かったかもしれない。次節は久しぶりの味の素スタジアムでの試合。向かい討つのは策略家リカルド・ロドリゲス監督率いる徳島。試合中に流動的になるシステムがまた見られるか注目したい。