【雑感】2020年J2リーグ 第38節 対ジェフ千葉~勿体無いの積み重ね~

東京ヴェルディ 1-1 ジェフ千葉

 試合内容、試合運びを見ると今季を象徴するかのように”勿体無い”ものになってしまった。低調な前半から一気にギアが上がり押し込んだ後半の内容だっただけに確りと勝ち点3が欲しかった。前後半の戦いぶりを振り返りながらこの試合を考えてみたい。

スタメン

 ヴェルディは前節琉球戦に0-4と大敗。この日は5名入れ替えて臨む。若狭、井出、小池にベンチ入りの近藤は古巣との対戦。 
  対する千葉は前節磐田戦から7名入れ替えて臨む。新井、アランピニェイロとベンチ入りした鈴木がかつてヴェルディに所属していたと両クラブともに縁がある選手が多い。

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エンジンのかからない立ち上がり

 守備崩壊から4失点を喫したヴェルディはどう立て直したかがポイントだった。ボール非保持時に優平が潮音と2トップで1442になり前線からプレッシングをかけていく。対する千葉は2CB+熊谷もしくは田口の3枚でビルドアップしてSB+SHのコンビネーションからサイド攻撃を仕掛ける。または、前線のクレーベに当てるシンプルな攻撃をしていく。ただ、ヴェルディもクレーベに対して確りと周囲を囲み対応するなど攻撃の芽を摘む守り方を見せる。

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 それでも20分すぎから千葉に何度かチャンスを作られる。船山が左サイドから進入してPA内へ入っていくと、平が身体を張ってクリア。その直後のCKから立て続けにシュートを放たれるも優平のクリアなどで何とか凌ぐ。

 一方で攻撃について。最終ラインから奈良輪が高い位置を取る片側SB上げをして、反対サイドの小池も琉球戦の配置に比べると高い位置を取る。
 千葉は1442で守り2トップ+ボールサイドSHがプレスをかけるもそこまで強度が高くなくどちらかと言えばリトリート気味であった。縦スライドするSHの裏を井出と優平が狙い外へ開く形でボールを貰う。潮音と山下はCBと2列目の間でボールを貰おうとするも、パスやトラップミスからのボールロストや最終ラインのブロックが堅くなかなか崩すことが出来なかった。
 31分ごろに優平のふわりと浮かした縦パスに最終ライン背後を取った小池が左足でダイレクトボレーシュートを放ったくらいの決定機で前半はスコアレスで折り返す。

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評価が分かれる監督采配

 低調に終わった前半。ヴェルディは後半頭から藤田譲瑠チマを投入して中盤底に入れる。理仁が左SBへ回る。千葉はメンバー変更なくそのままの布陣。 
 後半から、千葉はギアを上げたかのように高い位置から前線の2トップを中心にプレッシングをかけていきヴェルディ最終ライン+GKマテウスに襲いかかかる。一方のヴェルディも投入されたジョエルが速いテンポでパスを左右サイドへ散らしリズムを生み出していく。

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 千葉が前がかり気味になったこともあり中盤にスペースが生まれ始めると、ヴェルディは46分に右ハーフスペースでボールを持った小池がミドルシュート。ドリブルでボールを運べる森田晃樹を井出に替えて投入すると、一気に進入する場面も出て来て主導権を握ると、62分には中央から優平がブレ球気味にシュートを放つなどPA外からも積極果敢に攻撃を仕掛けていく。

 対する千葉は為田が投入され、アランピニェイロが本来の右サイドへ回りサイド攻撃を活性化する。為田は持ち前のドリブルからチャンスメイクしてゴールへ迫る。

 ただ、先制したのはヴェルディだった。敵陣へ押し込み、一度はボールロストするもジョエルがパスカットして素早いプレスをかけて再び押し込んで行くとこぼれ球が優平に渡る。直前に強烈なミドルシュートを放っていることもあったのか、千葉守備の寄せが甘く、一旦はシュートを打つと見せかけて、前線の潮音へ鋭い縦パスを入れる。PA内でパスを受けた潮音はすかさずジョエルへ落とすと、少し足元深くへ入ったが上手くボールコントロールしたジョエルはGK新井との1対1を上手く決めて今季3得点目を挙げる。ボールを失っても高い位置から人数をかけて再びボール奪取して得点まで持ち込むという日頃の取り組みが形になった場面だった。

 1点ビハインドの千葉はサイド攻撃に加えて再びロングボールを使い攻勢に出る。これに対抗するように近藤をCBへ投入して、祥平が左SBに回りヴェルディの最終ラインは並びが変わる。

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 結果としてこれが裏目に出た。直後の千葉の攻撃、ロングカウンターから左サイド為田が若狭、近藤を振り切ってサイド攻略してクロスを入れると背走する形で帰陣した平が懸命に足を伸ばしてクリアを試みるもそのままゴールイン。試合は振出しに戻る。

 平を左SBに回して最終ラインの並びを修正する。平は勢い良いオーバーラップからPA内へ進入して攻撃を図る。何としてでも勝ち越し点を奪いたいヴェルディはAT、CKからファーサイドで祥平がヘディングシュートをするもポスト直撃。その直後の攻撃では中央から晃樹がグラウンダーのミドルシュートを放つも惜しくも枠外へ逸れてゴールを奪えずに1-1でタイムアップ。

まとめ

 連戦の疲れなのか、消化試合だからだろうか両者強度の低いプレーが目立つ試合運びとなった。ヴェルディはそんななかでも先制点を挙げただけに勝ち切りたかったのが本音だろう。
 途中出場したジョエルが得点を挙げるなど素晴らしい活躍ぶりを魅せたが、近藤は投入されたタイミングも悪く失点の遠因ともなってしまい永井監督の采配面での評価は五分五分と言った出来だったと考える。前節の琉球戦に比べると、優平を中心に縦パスやミドルシュートの意識が高くなっており、守備時ももう一度基本へ戻ったかのように高い位置から人数をかけた守備、球際の激しさが出ていただけに悔やまれる失点であった。
 1つ気がかりなのが山本理仁の使い方だ。前節につづき中盤で出場したが際立った存在感を発揮出来ず、この日は後半から左SBへ回り福村のような役回りに徹した。最大の武器は何かといえば、左足から放たれる精度の高いパスだろう。このままでは器用貧乏になってしまう結末を迎えそうで早めに適正ポジションを掴めるように残り4試合を力を注いでほしい。