【雑感】2021年J2リーグ 第35節 対ジェフ千葉~ヤバさが凝縮した90分~

東京ヴェルディ 1-5 ジェフ千葉

 ホーム試合でここまでの大敗を喫したのはいつ以来だろうか。あまりの出来の悪さに見ているこっちが恥ずかしくなるくらいだった。監督も選手も庇い切れないの酷さを示すためにも今回は動画多めで振り返りたい。

スタメン

 自滅するように前節北九州に2-2の引き分けで終わったヴェルディ。GKにマテウスが復帰。CBにはこの日が誕生日の馬場晴也が入る。その他メンバーは同じで14123システムで臨む。
 対する千葉は前節・大宮に2-1で勝利して上り調子である。GK新井にとってはプロ入団クラブとの対戦になる。システムは固定されつつある13421で臨む。

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前半

 試合立ち上がり、千葉は前線の長身CF櫻川をめがけてロングボールを入れてくる。これには馬場晴也とンドカが競り合い封じていき、初コンビの出来に少しホッとしたところであった。攻撃ではと前節の北九州戦でさっぱりだった3トップをそのまま起用して不安しかなかったがこの日は両ワイドが大外で張って、真ん中の小池が孤立ということはあまり多くなく、千葉最終ラインの背後を取るような動きかつ斜めにカットインしていきゴールを向いたスピード溢れる攻撃を狙った。

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 しかし、そんな淡い期待もすぐに砕け散った。ボール非保持時のプレーはこの日も変わっていなかった。ボールを持たれるとフィニッシュまで持って行かれる展開が続く。
 1442で構えてはいるもののボールホルダーへのプレス、後に続くプレスや空いたスペースを埋めるカバーリングと言った相手のボールホルダーに対しての動きに規則性が無く、やられたい放題であった。MFとして起用される佐藤優平、森田晃樹、石浦大雅はいずれも”得点力の低い”攻撃的な選手であり180㌢以上の選手が当たり前となってきている現代サッカーではとても小柄な部類でありただでさえフィジカル面でのハンデがあり、そこに守備意識の低さも加わると中盤の守備放棄を示すような選手起用である。もちろん、意識改革や鍛錬など選手側にも責任もある。

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 5分、自陣に押し込まれると、プレッシャーをあまり受けていなくてフリー気味の田口が左SB山本理仁の裏へ蹴りこむと攻撃参加した福満が叩きつけながら折り返すと、船山が晴也に身体を当てながら競り勝つと難なくヘディングシュートを決めて千葉が先制。ヴェルディは前節北九州戦同様に、SBの裏である大外を使われて、目線を変えられるように折り返しを喰らい失点を許す。U22日本代表に選出された晴也もこの程度の当たりで負けるとはちょっと残念であった。 

 開始早々に想定されていたようにフィニッシュまで持って行かれて、あっさりと先制点を献上したヴェルディ。早くも劣勢になり、千葉は嵌っている5バックのリトリートした守備でブロックを敷き、守りを固めて追加点を狙いに行き、ヴェルディの攻撃が徐々に勢いを失くしていく。 

 そんななか、試合は突然動く。23分だった。優平からのロングボールは背後を取る竜士へ。竜士の折り返して爆走してきた山下が点で合わせてゴールネットを揺らす。劣勢ムード漂う中でヴェルディが同点に追いつく。

 これで勢いを取り戻したかのようなヴェルディ。全体的に敵陣に侵入する状況が増えていく。ただ、ボールロスト時=ネガトラのリスク管理をしていないように「そんなにみんなして攻撃に参加するの?」と言わんばかりに攻め上がり、その結果として広大なスペースを3人4人で守りサイドに人を集められて反対サイドに大きく展開するとドフリーを作られる悪い状況になっていた。  

 2失点目。田口の豪快なボレーシュートに注目が行く得点場面であるが、千葉が自陣深い位置からボールを繋ぎ、それに対してのヴェルディのプレスのかけ方の下手さ、ボールウォッチャーと悪いところ全開のヤバさが深刻すぎた感想だ。

 ヴェルディが同点に追いついて会場の雰囲気も傾きかけたところでの千葉の勝ち越し点。これで試合の流れが大きく千葉寄りになる。

 前半終了間際にはセットプレーからのこぼれ球をフリーの田口がシュート、福満がワンタッチでコースを変えてそのままゴールイン。これで1-3として折り返す。

後半

 2点ビハインドのヴェルディは後半開始から大雅に変えて佐藤凌我を投入。小池と2トップ気味にして1442のような形にする。

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 ただ、個人的にはボール非保持時の最大の欠点である2DHが変わっていないため何も変化がついていないと思っていたら案の定、速攻で失点を喫した。自陣でポストプレーをした小池のパスが乱れてボールを渡すと、福満が持ち運ぶ。外を走る船山に理仁が引っ張られてコースを空けてしまうとボールホルダーには誰も寄せて行かない信じられない守備を見せ、ノープレッシャーの福満がPA外から豪快にミドルシュートを叩き込み4点目を挙げる。この守備にはかなり呆れてしまい言葉を失った。。。

 これで終わらない、54分、セットプレー残りの二次攻撃でサイド深い位置からのクロスを許すとまたも4枚のブロック大外のファーで折り返されて最後は新井一耀に豪快なジャンピングボレーシュートを決められて1-5とさらにリードを広げられる。

 ただですら、アスリートとしての運動能力が優れた選手が少ない11名なのに守備の約束事も無いチームでは個人で頑張りでスプリントしてもジャンプしてもボディコンタクトしても敵うことも少なくガバガバな守備は見るに堪えず何点取られるものかと思ってしまうくらい恥ずかしいものだった。

 その後、千葉が余裕を持ったボール回しでトーンダウンしたことやヴェルディが少しだけ反撃したことで千葉陣地へ入ることも増え、失点することは無かったが以前から再三コメントしていた守備のマズさが全開の大量失点で1-5の敗戦となった。何も積み上げてきたものはないからこれは”崩壊”ではなく、”想定内”と個人的には捉えている。

まとめ

 試合後の堀監督のコメントなどをいつも読む限りでは、相手の分析などをして試合に臨んでいるようであるが、約束事のような再現性ある守備を見たことは無く、監督就任して8試合経ったが戦術を落とし込むことが出来ない、指導者であることが良く分かった。また、選手起用にも疑問ばかりを感じてしまい、堀監督の限界を早くも分かってしまった悲しい状況である。
 この日スタメン起用されたGKマテウスはほとんどノーチャンスだったと思う。一方でCB馬場晴也に対しては「こんなもんなのか」と期待しただけにちょっとガッカリした感想だ。
 即興性頼みのサッカーは見ていても楽しくもなく、おまけに結果も全然ついてこないことに恥ずかしさを覚え始めている。たぶん、残留は出来ると思っているが、このままでは残り試合で1勝も出来ないのではと予想してしまうくらいの酷さに危機感を抱いている。