化学工学概論
【FC Books_03】最終更新日:2020/5/21
はじめに
前回に引き続き、今回も(初級ではありますが)化学工学の本です。いかついタイトルですが、「まえがき」に記載されているように「高等学校用教科書を底本として制作」されていますので、構えずに読めると思います。ご安心を!
1. 書誌情報(Amazon.co.jpより)
タイトル: 化学工学概論(First Stageシリーズ)
著者: 小菅 人慈(監修)
ページ数: 382ページ
出版社: 実教出版 出版社サイト(目次あり)
言語: 日本語
ISBN-10: 4407337419
ISBN-13: 978-4407337419
発売日: 2015/9/15
2. 内容紹介(個人的な感想)
最初に書きましたが、この本は「高等学校用教科書を底本として制作」されているので、内容はとても分かりやすいです。数式やグラフもありますが、(対象としている)読者の方々なら、難なく読みこなせるレベルです。
初級レベルの本だからかもしれませんが、なぜか「晶析」の話はありません。前回紹介した「晶析の強化書」とセットで読んで下さい。
さて、敢えてこの本を紹介する意図ですが、「初めてフロー化学に取り組む方々の多くが、生産現場(工場)を知らない」ので、まずはざっくりと知ってもらうことにあります。「工場(生産)スケールの合成を担当していないし、将来的にも担当することはないので、必要ない」と思われるかもしれませんが、「多くの先輩方がその必要性を訴えている」のも事実です。ここは騙されたと思って、何かの工場見学ツアーだと考えて本を開いて下さい。装置に関する写真や図が多く、楽しく読み進められるはずです。そして、いつも使っている実験器具と対比しながら見て下さい。
工場には、(スケールの差こそあれ)実験器具とよく似た形のものがある一方、全く違う形のものも少なくありません。一般に、実験室ではバッチ式の操作がほとんどですが、工場では連続式(フロー式)の操作が増えてきます。理由は、扱う薬品の量が大量である(人力ではどうにもならない)こと、作業者や環境への配慮(安心安全)、コスト意識(例:自動運転の導入)などです。
バッチ式装置と連続式(フロー式)装置とでは、同じ操作をするのにも様子が異なってきますが、その違いを見て下さい。そして、なぜこの形でなくてはいけないのか、その理由を考えてみて下さい。先人たちの汗と涙の結晶が、そこにあるのですから。
【連続式装置の掲載箇所】
乾燥(p.157)、蒸留(p.185、188)、抽出(p.212)、遠心分離(p.247)、濾過(p.250)、反応(p.260〜274)
3. 所蔵図書館検索
《検索日:2020/5/21》
3-1. 大学図書館(CiNii Books検索)
所蔵(70) 東北大学、東京工業大学、金沢大学、名古屋大学、神戸大学、広島大学、九州大学、など多数あり
3-2. 国会図書館(NDL ONLINE検索)
所蔵(2) 東京本館、関西館
3-3. 公立図書館(国立国会図書館サーチ検索)
所蔵(5)静岡県立中央図書館、大阪市立図書館、鳥取県立図書館、佐賀県立図書館、長崎県立長崎図書館
※「国立国会図書館サーチ」にリンクしていない公立図書館もあります。該当する図書館のサイトで検索して下さい。
4. 参考までに
4-1. はじめての化学工学 -プロセスから学ぶ基礎-
化学工学会高等教育委員会編の本で、序文には「大学や高専で応用化学などの化学を学ぶ学生にとって必要な化学工学のエッセンスを詰め込んだ入門書」と記されています。ただし、この本にも「晶析」はありません。
今日はこれまで。
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