ワーケーションが日本に定着するための条件

こんばんは。今日もお疲れ様です。

自分のパソコンに、今日初めて「ワーケーション」と入力してみたら、やはり一発では正しく変換されませんでしたw

ことほど左様に日本人にとっても耳慣れない言葉ではありますが、ワーケーションがどうしたら日本にも導入可能か、条件を考えてみました。

ちなみに、英語ではworkationとなります。
下記の様なサイトもあります。


NEWSポストセブンの記事

ちょうど、NEWSポストセブンのサイトに、この点を論じる記事がアップされておりました。

もっとも、記事の見出しに「テレワーク同様、日本企業に定着するのは絶望的」等の表現が並んでますので、否定的な論調ではありますが。
この記事を書かれた評論家の山田稔さんという方(以下、山田さん)は存じ上げませんが、論点を整理してみました。

この記事で同意できる点

山田さんは「第2の壁」として、企業業績悪化、雇用環境の悪化 賃金低下を挙げてます。
コロナ禍真っ最中の現在においては、残念ですが当然そうなるでしょう。

飛びますが、第5の壁として、観光地ではWi-Fiの整備が進んでないとの指摘があり、これはまさにその通りだと思います。
観光庁は、ちゃんと総務省と調整してから政策発表してもらいたいものです。

国内のWi-Fi普及率は大都市圏や都市部は高くなってきているが、地方の山間部などはほぼ未整備に近い。筆者は山歩きなどの取材で全国各地を巡ったが、Wi-Fiどころか携帯の電波さえ届かない状況が当たり前だった。
 少々古いが2015年の総務省のデータでは、全国約400の自然公園(国立公園など)におけるWi-Fiの普及率はビジターセンターを中心に26%にとどまっていた。最近は高原リゾートの近くなどにWi-Fi環境が整備されたサテライトオフィスや、コワーキングスペースが登場しているが、いつでもどこでもつながる環境が全国まんべんなく整備されるのはいつの日になるだろうか。

ネットワークインフラの整備は、再び大量のインバウンド観光客を呼び戻したいニーズとも合致します。

そして、最後の部分の「少なくとも、新たな利権構造を生み出す結果となるようなことだけは避けなければならない」は、激しく同意ですw

この記事で、同意できかねる点

第1の壁として、山田さんはテレワーク実施率の低さを挙げてますが、これは解釈次第でしょう。

東京商工リサーチの調査(7月14日=対象1万4356社)によると、在宅勤務・リモートワークを「現在も実施中」は31.0%。「実施したが、現在は取りやめた」が26.7%、「一度も実施していない」が42.2%だった。

これは、逆に言えばテレワークを一度は実施した会社が合計57.7%あり、一度も実施してない会社を上回ります。
また、調査対象の3割以上が、現在もテレワーク実施中です。
テレワーク元年の数値としては、まずまずなのではないでしょうか。 

有給休暇の取得率の低さもネックだ。「就労条件総合調査」(厚労省=平成31年)によると、サラリーマンの年次有給休暇日数の平均は18.0日。取得日数は9.4日で、取得率は52.4%にとどまる。また、夏季休暇の制度がある企業は42.9%しかないのが実態だ。

え、現状取得率が52.4%であろうと、それはテレワーク実施率向上のために解決すべき問題があるためでしょうし、逆に解決していったら、ワーケーションも含めたテレワークの取得率は、年次有給化日数に近づいていくのではないでしょうか。

また第3の壁として、ワーケーションの費用負担が会社ができるのかと、働く人の意識を挙げてます。

そもそも個人負担でワーケーションを利用したいという人がどれだけいるのか。JTB総合研究所の「働き方の変化とテレワークに関する意識調査」(2020年3月)によると、「テレワークをしたい」は全体の約7割だった。一方、ワーケーション制度を導入している企業はほんのごく一部で、制度の利用状況も「ふだんは一部の人だけが利用している」が40%で最多となっている。
 知人の30代会社員にワーケーションを利用するかどうか聞いてみたら、「プライベートな旅行に仕事を持ち込むのは嫌。リゾート地で画面越しに上司の顔を見るなんてサイテー」と言われてしまった。

いえいえ、既に一部の企業はワーケーション制度を導入してるのですし、「一部の人だけが利用している」と言うものの、7割の人が現時点で取得したいと言っているのです。
ですので、それをどうしたら拡充できるかを考えましょう。

その昔、私の息子たちがまだ幼かった頃、つまり携帯もインターネットも普及してなかった頃、土日に一泊二日で家族で温泉旅行に行きましたところ、上司から旅館に電話がかかってきまして、あいにく私でなければ解決できない問題が発生してしまった、と告げられたことがあります。
ちなみに、何故休日にトラブルが発生するかというと、現場が時差のある海外だったからです。
仕方がないので、持って帰れる荷物だけ持って先に私が土曜のうちに帰宅して日曜日に出勤し、家族は電車で翌日帰宅することにしました。
自家用車で来たので、子供のおもちゃとか着替えとか大量に持ってきてまして、全部を戻す訳に行かなかったので、持ちきれない荷物やお土産類は宅配便で送りました。
正確に覚えてませんが、そのための余分な出費が2~3万円かかったと思います。
今だったら、念のためPCとかも一緒に持って行って、トラブル対応はそれで済ませた方が、余分な費用もかからず、家族に負担がかかることもありません。
ワーケーション制度が導入されていれば、旅館で仕事した時間分、平日に振替休暇を2時間もらうとか、その様な対応ができた筈です。

第4の壁として、エッセンシャルワーカーは現場を離れられないとの指摘があります。
これも、医師は代替要員を確保できる場合にはそうすればいいし、そうしている病院もあります。
出来ない理由を挙げるのではなく、どうしたら出来るのかを考えましょう。

工夫すべき制度上の問題点

山田さんは指摘していませんが、ワーケーション制度を一般事業法人の勤務制度にしっかりと取り入れていくためには、厚生労働省が標準プランを策定して提示しないと、話が前に進みません。

具体的には、例えば私が経験した上記の例の場合、問題の把握と対応策の組織決定のために、オンライン会議を開催する訳ですが、準備も含めてその作業に2時間かかったとすると、休日にテレワークを2時間実施した、ということを上司が承認すればそれでよいのか、に対する回答が提示されている必要があります。

で、その分は平日に時短ワークで2時間少なく働けばいいのか、業務上時短ワークが無理な場合に、休日就業代として賃金がもらえるのか、といった取り決めが必要になり、その取り決めを策定するための厚労省ガイドラインも必要になります。

実は企業の多くは、出張に関する規程を、社員規程の中に含めており、また出張規程を社員規程とは別に設けている会社もあります。
その標準的な出張規程では、出張先での残業時間の計測が、上司が同行していなかったりして困難な部分があるので、出張手当を支給することで、実際の就業時間から大きく逸脱してない限り、通常勤務で出社した/退社したのと同じ扱いになり、細かい残業時間の計算から社員も雇用者も免れることになっています。
個人旅行中にテレワークした場合の扱いも、出張と同様に、または出張に準じて決めることができれば、既に存在する手続きのフレームワークを利用することが可能になる訳ですから、一般事業法人の人事制度を、大きく変えないといけない訳でもありません。

標準プランとガイドラインの策定は、今、すぐに実施してもらいたです。
今です。

介護とテレワークの両立

さて、この様にワーケーションが進むと、実は介護とテレワークの両立、といったことも可能になってきます。

私の勤務先で、親の介護を行うためにいったん退職した人が居ますが、介護が一段落付いてからは、嘱託社員として復帰し、たまに出社して仕事をしています。
実家でのテレワークが広く認められるようになると、介護とテレワークの両立が、これまでも一部は対応可能でしたが、対応可能になるケースが益々増えていくこととなります。
「広く」と云う表現を使いましたが、これは、少なくとも私の周囲では、実家でのテレワークは既に実施されているからです。

結論

これらはすべて、新しい働き方改革に含めて議論すべきものです。

ワーケーションは、少なくともGoToトラベルよりは筋のいい政策になると思われます。

厚生労働省さん、よろしくお願い致します。

では、また明日。


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