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「小さなことにこだわらない」を捨てる

「ブランドになるためにゴミ箱に捨てる10のこと」の第3回目は「小さなことにこだわらない」。えっ、と思われるかもしれませんが、これもゴミ箱にポイしちゃいましょう。その理由を書きますね。

ブランディングでは「100-1」は「99」ではなく「0」

「小さなことにこだわらない」・・・大らかでいいじゃあないですか?僕もそう思いますよ。しかし、ブランディングにおいてはこの考えはゴミ箱行きです。ブランディングでは「100-1」は「99」ではなく「0」なのです。

「蟻の穴から堤も崩れる」という言葉があります。堅固に作った堤防も蟻が開けた小さな穴が原因で崩れ去ってしまいます。「ほんの僅かな油断や小さなことが元となって大惨事が起きる」という教えですね。

「このボールペンでサインしろっていうの」

こんな話を聞いたことがあります。宝石店で高額な商品をローンで購入されたお客さまがいました。選んだ品を目の前にしてうれしそうなお客さまに、社員がローンの用紙に記入するためにボールペンを差し出しました。

受け取ったお客さまは怒りを込めた声でこう告げました。「このペンでサインしろっていうの、買うのはやめるわ」・・・何が不満だったかというと、社員が渡したのは私物のミッキーマウスのボールペンだったのです。

ミッションは現場の一つひとつの行動に表れる

この話を別の宝石店の経営者に話したところ「ウチにでもありそうだ」とすぐに私物のボールペンをやめさせて、高級ブランドのペン(確か1本1万円ほどだったはず)に変更しました。小さな会社の社長は決断が早いですね。

ブランドのミッションは現場の一つひとつの行動に表れてこそ本物。ほんの小さなことでも積み上がることでブランドの価値を大きく左右します(誤解ないようにミッキーマウスに問題があるわけではありません)。

ミッションを共有し、任せるに足りる人に任せる

しかし、現場の小さなことまでいちいちチェックするわけにはいきません。マニュアルを作ってもうまく機能しません。ではどうしたらいいのか。答えはミッションを共有すること、そして現場に権限を移譲することです。

ブランドは現場の主体性から生まれます。トップの仕事は、社員が自分たちのブランドを誇りを持って磨き上げ、主体的に行動できる環境をつくることです。「神もブランドも細部に宿る」・・・自戒を込めてそう思います。

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