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[エッセイお仕事小説]銀座東洋物語。

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ホテルは幸せな仕事。二十代半ばで転職し続けたどり着いたホテルは働く人も泊まる人も幸せなホテルだった。著者が経験した仕事をエッセンスに、小説風にまとめました。昭和の仕事の仕方はこん…
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銀座東洋物語。10(ドッペルゲンガー)の②

銀座東洋物語。10(ドッペルゲンガー)の②

(まだの方は①に戻ってお読みください)
 話が外れた。
 銀座東洋のブランドルームには決まりがあった。思い出話はさておき、そのため清雅様というゲストのリクエストに応えることはできず、代わりに一つ下の階層にある全く同じ間取りの部屋を用意し納得してもらうしかなかった。
 部屋を替わったその日、大量の荷物が運ばれてきた。銀座通りから入ってきた車はホテル一階の切り込んだような入り口に入ると対角線上の奥で、

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