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敗戦の8月

 8月になると全国で戦没者慰霊祭が行われる。東京だけの催し物だと長い間思っていたけれども、65歳になって町内会長を引き受けた時に町内会にも参加動員があり、高浜市でも戦後70年以上毎年行われていることを知りました。戦死者を遺族と共に追悼することに反対はしない。しかし、忘れてならないことは他にも沢山ある。
 戦地で住民を動員して秘密基地を作り、完成後に秘密が漏れることを恐れて動員した住民全てを殺害した。占領地がアメリカ軍に奪い返されると住民が仕返しを始める。ジャングルの中を逃げ回っていたのが横井庄一さんだと知ったのはテレビの報道番組であった。
 今朝の朝刊にBC級戦犯で懲役刑を受けた人の記事が載っていました。戦時中、ボルネオ島で信号を送ったとしてスパイ容疑で捕まった住人を殺害した罪によって、終戦から7年も留置場で過ごしたそうです。上官の「殺せ」命令は絶対であり、断末魔で苦しんでいる人間の苦しみを短くするためにやむなく殺したと述懐していたそうです。
 戦没者の慰霊祭は盛大に執り行われるけれども日本軍の犯した過ちが報じられる機会は非常に少ないし、そんな報道番組に見向きもしない人が多い。
 NHKの連続ドラマ「虎に翼」で関東大震災での朝鮮人虐殺を正面から取り扱っているとの記事を読みました。snsでは「なぜわざわざ扱うのか」「NHKは左翼だ」などと批判があったそうです。こんな記事を読むと日本人の自分たちはいつも正しいと考える浅はかさに悲しくなります。
 そういえば小池都知事は関東大震災で殺された朝鮮人の慰霊に追悼文を送るのを今年もやめるらしい。
 関東大震災と太平洋戦争を同一に扱うことはできないけれども、日本全国で町内会まで動員して戦没者を慰霊していることを考えるとやり切れない。戦没者慰霊祭は朝鮮や中国やアメリカや東南アジアの人々を慰霊してはおらず、日本人だけを慰霊している。同様に関東大震災で死んだ人々と虐殺事件で死んだ人々の慰霊は別物である。小池知事が言う個別での慰霊は控えるのは明らかに間違っている。
 佐渡の金山が世界遺産に登録される。これは中日春秋で知った。韓国が反対していたのを戦時中に半島出身者だけに危険な作業を押し付けた事実を認め、その事実を展示で明らかするから韓国が同意したとあった。

 読者の正しい見識がなくては報道機関も正しくは報道できないのではないかと考えさせられた。

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