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学習計画表

 嫌なことでもやりました。不合理でも、たとえ効果がないと感じても、仕事だと割り切りました。意に沿わない仕事でも学年主任として担任や生徒にやらせました。その中に「学習計画表」があります。テスト週間の始まる前に学習計画表を印刷して生徒に配布して家庭での学習予定を1時間ごとに記入させます。テスト日も加えて約10日間の予定を授業1時間を費やして書かせます。
 担任は計画表を回収点検して検印を押し、真面目な教員はコメントまで書いて返却します。テスト週間が始まると生徒は毎日計画表に実施した時間数を記入して提出し、担任は毎日40枚ほどの計画表を点検し、検印を押します。任意で生徒のために毎日コメントを書いたりします。
 計画を立てることは目標を持つことですから大切な指導だと言えます。しかし、忙しい毎日を送るヤクザな教員には、面倒でやる気が出ない仕事でした。今振り返ると、あの手間ひまを惜しまない営みに頭が下がります。
 面倒な作業から解放されて10年以上経ち、ICT支援員として勤務する職員室で献身的に働く若い担任の机上に印刷した学習計画表が目に留まりました。
「これタブレットに入ったら生徒も先生も楽しくなるかもしれませんね。」
他人事なので軽口を叩きました。
「確かに、そうですね。」
売り言葉に買い言葉ではなく、私が売り込みをして相手が乗り気になりました。もう後には引けません。
「面白そうだからNumbersで作ってみましょうか?」
「是非、お願いします。」
タブレットの画面をタップするだけで時間数が入力でき、自動で合計が出る表計算(スプレッドシート)は勤務時間内に出来上がった。
「如何ですか?」
見せると担任は、
「いいですね。すごく」
担任として生徒に学習計画表を書かせ点検するのは嫌でも、若い先生に喜んでもらえる創造的な仕事は楽しいものです。いい気分の時に担任から新しい課題が与えられました。
「出来れば、教科別の集計がほしいですね。」
「えっ。」
声は出さなかったけれども頭の中で「えっ。」と叫ぶ声が聞こえます。紙媒体の学習計画表には教科を記入する欄はありません。また、毎時間ごとに教科別の時間数を計画と実施で計算するのはとても厄介です。そう思っていところに更なる追い打ちがかかります。
「日にち毎と教科別のグラフもあるといいですね?」
グラフ化は難しくないが、問題は教科別の計算だと思った。
 依頼されたの金曜日午後から頭の中は「学習計画表」で満たされた。結局、丸二日かかって完成しました。説明用の動画も作り終え、三連休の最終日の朝、この作文を書いてます。担任の喜ぶ顔が目に浮かびます。生徒も楽しく効果的な計画表が作れることでしょう。このような仕事は勤務時間でなくても喜んでやってしまいます。
 実に愉快です。
説明用動画へのリンク

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