補聴器の異変
(写真はイメージ)
少々汚い話題で失礼する。私の耳垢はカサカサで自然に外に出てくるタイプなので風呂タオルで耳を拭き、時々濡れた綿棒で耳掃除をする程度で困ったことはない。歳を取り、多少聞こえは悪くなったけれども特に困ることはないと思ったが、働きたくなって2年ほど前に補聴器を買った。
補聴器は仕事に行く時だけだったが、町内会の会合のような場面でも付けるようになり家で妻の言うことが聞き取りにくく
「なんて言った?」
私の質問に面倒臭そうな雰囲気が返ってくる。
「君も同じだ。」
腹の中では反論するけれども回数は断然私が多いので甘んじて聞き流している。最近、見たいドラマがあるったりすると、堪らず階下に降りて補聴器をもって上がってくるようになった。眼鏡同様に補聴器は必需品となった。
今朝、その電池で動く補聴器に異変が起きた。約1週間で電池が枯渇する。電圧が下がると耳の中で「電池が切れそう」だとブザーで知らせてくれる。2時間おきぐらいに音が鳴っても2、3日は持つが、耳元で度々警報が鳴るのは結構イライラするので、最近は一度鳴ると即座に電池交換をしている。そして、その電池を昨日交換したばかりだ。
左耳から装着すると軽快な音楽が異常なしだと教えてくれる。電池切れもこれぐらい綺麗な音ならいいと思うのだが、ブザー音はいただけない。
「早く交換して売り上げに貢献して下さい。」
こう頼まれているように感じる。左に続いて右の補聴器を装着する。しかし、音が聞こえない。一度外して電池を装着し直す。電源はスイッチを切るのではなく電池を外して補聴器本体を専用容器に収めて就寝するタイプである。
「あれっ。壊れたかな?」
次第に不安が膨らむ。
「32万円っ。片方だから、」
辛うじて気を取り戻す。電池を外し、遠近両用メガネの下側にピントを当てて注意深く覗くと、薄黄色の大きな破片が電極に覆い被さっていた。
もう、お分かりだろう。この破片、私の耳垢である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?