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課題を聞く、情報集積する、考える、全てコミュニケーションからインダストリアルデザインは始まる。そして資産となる。

リニアフェイズスピーカのSB-6000の開発秘話

はじめに


小生は、この時期ステレオ事業部で4点モジュラステレオ開発に従事していたころであった。1973から1975年まで産業能率大学、亀崎恭尚研究員、創造性開発(NO1~3受講)テクニクスの未来商品を考えるためのものであった。

SB-7000の開発、テクニクスのシステムオーディオの担当で『コンポが立った。コンポが立った。』V3,V5,V7の開発でCMとともに爆発的な人気と売り上げに貢献した。そのスピーカとしてSB-5000を登場させた。さらにリニアフェイズスピーカテクニクスの本質のためにSB-6000の開発を求められた。
SB-6000は2Wayで最高指向特性を目指しての開発であった。

SB-6000は2Wayで最高指向特性を目指しての開発

1975年に開発TechnicsSB-6000位相特性にメスを入れたリニアフェイズスピーカテクニクス7(SB-7000)を発売し,一挙にテクニクススピーカのデザインに注目を集めた。その直系の弟機として開発されたのがSB-6000の企画であった。

最大の特徴は,「リニアフェイズ=平坦な位相」の名の通り,音圧周波数特性の平坦化だけでなく,従来きわめて困難とされていた位相周波数特性の平坦化を目的とした。

しかし問題の解決は容易ではなかった。主幹技師と中央研究所から転属してきた担当の『T技師と企画のF課長』そこに小生も加わり、少しでも協力できればと思い同席していた。

夢での問題の解決は自己探求や情報収集と問題解決の手掛かりから。

それは私の夢の中で解決をした。睡眠中であったが7~8くらいのアルミ板端面はシルバー、サイズはW150mmx170mmくらいの上に鎮座するSB-7000のドームTwitter、音の滑らかな広がりと高音の伸びをイメージさせるディテール。その傾斜面の裏側に中央25mm程度の凹凸を設置すると澄んだ爽やかな自然観のあるテクニクスらしい音が聞こえてきた。翌朝、主幹技師と担当技師T技師と数名の技術者、企画のF課長に話した。

開発者の皆さんは小生を奇人・変人のように見ていたが、取りあえず問題解決のために何でもかんでも挑戦ということで、実験機のモデルにまず粘土を造型し音を試聴した。 

私の思うイメージとは少し違うが遥かに良くなったと皆に同意を得た。それは、データが明らかにした。フラットな特性データが後押しをしてくれた。

その後も実験を繰り返し、試行錯誤したが、『なぜ』の解明ができなかった。 夢で見たアルミ素材での形状デイテールを数点製作した。

測定した結果は安定して良好な結果をえることができた。SB‐6000の最大の特徴は,「リニアフェイズ=平坦な位相」の名の通り,音圧周波数特性の平坦化だけでなく,従来きわめて困難とされていた位相周波数特性の平坦化を図ったことである。

ユニークな階段状のスピーカ配置により平坦な位相特性を実現した。

SB‐6000では,クロスオーバーが1箇所だけという2ウェイ構成で,音のつながり,バランスなどシンプルさを生かした構成のデザインとなり、癖の少ない音で透き通った音色で,暖かめの音を持つ名器となった。

小生は、『2001年宇宙の旅』で使われ有名になった『ツァラトゥストラはかく語りき』をリスニングすると幸せだった。また、アバの『ダンシング・クイーン』『 I have a dream』なども最高だ。

夢でみたユニークな階段状のスピーカ配置により平坦な位相特性を実現した。音波の反射回析作用は、ディフラクションイコライザーはデザインの個性となりリニアフェイズの特徴を最大限表現した。

特に、ツィターとウーファーを音響的に繋ぐアルミダイキャスト製のディフラクションイ反射板の台の存在はシャープで美しいディテールとなった。デザインには、形と特性、特性と素材、ブランド価値の向上、精微性、審美性などの解決のために多くの時間と苦労を重ねた。最終的には台の先端の内部の突起が最高の特性を導き出した。

以上のようにSB‐6000は,名器「テクニクス7」直系のリニアフェイズスピーカとして,また2ウェイのシンプルな良さを生かした設計で,別の魅力を持った名器スピーカーシステムとなった。

評論家、カタログにもこの点は謳っていない。測定しながらカット&トライで試行錯誤しながら製作したためである。

その秘訣は

その秘訣は
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アルミダイキャスト製のディフラクションイ反射板の台の
下部にあるU型の臍が

音質を左右する事実と現象であることは、
少数人の開発のみ知る現実と証明であった。

なぜ、それを公表しなかったのか?

知る人のみのマニアック思想的にということに落ち着いた。

飯田吉秋


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