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4-デザインしたものが商品化できない理由とは、(その改善プロセスを提示)

■ デザインしたものが商品化できない理由とは、

最近、商品化のお客様から問い合わせ相談があり,

相談者は中小のメーカさんですが、多くの課題を抱えておられました。
デザイナーに商品開発を頼んだが、商品にならなかったそうです。

聴けば、原因は、種々の問題の理解不足や契約に難があるようです。たとえば、スケッチ画像までは上手く進んだが設計・金型・素材の知識・商品化の詰めになると問題が山積になりどうにもならない。・・・・・などで商品になる前にとん挫したそうだ。
(泣き)
(このようなことは、聞きたくないがしかたがないね。)

そこで下記に 私が開発した商品の生の声を事例として共有いたしますね。
大まかに書きますので参考になさってください。

他社様やクライアントの事例では機密の契約などありますので自社製品でお話いたします。

少々、弊社PRになりますがご容赦くださいね。ご確認ください。


■ デザイナーが工業デザインしたものが商品化できない理由とは


 工業デザイナーの多くには、「自分の発想したデザインが、思うのままの姿で世の中に商品としてデビューすることは難しい」というフラストレーションを抱えている人も少なくはないようです

何故でしょうか。

企画段階で、商品コンセプトや企業のありたい姿について議論を重ね、最終経営者に経過報告し、再び議論を重ね、ようやく商品化決定したデザインは時間をかけて十分検討したにもかかわらず、設計や金型の段階で「作りにくい」「工数があがる」などの理由から、いとも簡単にデザイン形状が変更されてしまう事は日常茶飯事に起きている事実を私も体験し、知識不足に悔しさを感じた時代がありました。また、多くのデザイナーからも聴いていました。

・・・・・・・

・・・・・・・

何故でしょうか?

・・・・・・・

・・・・・・・

それは、

  ①デザイナーは○○や△△など知識やものづくりを知らない。

  ②技術者はデザイン引継ぎされた物を設計基準に合わせて設計する。

  ➂品質・製造担当者は、『商品コンセプトや企業における商品とは』を   
   理解していないで○○優先で遂行している。

いわゆる商品の意味性(クライアントの企業資源)を積極的に理解しないことやデザイナーが持続可能な企業の価値づくりの根幹を充分に把握・実行から生まれることの乖離こそが、『ものづくりの空洞化』の課題となっていことが挙げられます。

企業の存在する意義と意味の把握、モノづくりで大切にしなければならない自社の強みの商品化、製品化するための品質・生産関連の課題・主となる販売していただく会社様との調整などの問題把握に精通している企業はこれにあらずです。  

2022年、忘れられた20年間技術流失に起きたものづくりのどうしようもない異変である。

そこで取り組むべきなのが、「複合的知的情報集積の結合から生成する統合デザイン、つまり複数の物事をまとめる専門の知賢によるプロセスにおけるマネージメントデザイン」である。

■ ものづくりのための複合的知的情報集積の結合から生成する統合的デザイン

統合的デザインの具体的な手順について説明します。
ICIdesign研究所のオリジナルブランド製品である飲料補助具「Kiss」シリーズの開発を事例といたします。

ちなみにですが、私たちが大切にしている裏打ちされた開発のために、受賞歴やデザイン選定及び知的財産権の取得などを紹介いたします。

・2009年度グッドデザイン 中小企業庁長官賞を受賞

・2010 キッズデザイン賞 ユニバーサルセーフティ部門・経済大臣賞

・内閣府よりバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 優秀賞 受賞

・iF PRODUCT DESIGN AWARD 2012(ドイツ)

・日本APEC「JAPAN EXPERIENCE “日本の知恵と技術の体験空間”召集展示

・ドイツよりMADE 4 YOU に招待召集受賞関西・デザイン選 選定・その他多数

知財ミックス戦略を提唱、特許取得済・ 商標登録・意匠登録同時に取得。

この商品はデザインメソッドを語る商品であり、実現した商品でもある。


■ 開発の背景


脳梗塞で飲むことが難しくなった私の父の介護経験から、デザイナーとしてできることはないか。という問題意識から着想。
特に、新陳代謝のためには水分補給が必要不可欠で、体の水分が減ると”老化”をひきおす。だが、高齢者になると手が震えたり握力が弱くなったりするとコップで飲むことは難しくなる。
そこで、いつまでも元気に過ごせるように高齢者がひとりで飲める飲み口の開発に着手した。

ふたをしたまま飲め、逆さにしても、たおしてもこぼれない特許取得の独自ノンドリップ構造で、飲み口は普段はピタリと閉じ、軽く噛むようにくわえると飲み口が開き、すこしずつ中身が出る。誤嚥予防のために、内容物が口に一気に流れ込まないように考案した。

この構造は、私の開発40年間の「知識と知恵と経験と時(タイミング)」から創出された構造体である。

問題解決のために、試行錯誤する中「声帯」のしくみを知る。連鎖発想で、樹脂にはない柔らかさと復元性をもつシリコン素材を選択した。シリコンゴムを採用すれば、声帯のように開いたり閉じたりする構造ができるのではないか? そうだ、「これだ!」とひらめいた。

素材の厚みや構造を3DCADの解析で検証し、素材硬度や製造時の素材収縮量の変化など試作で検討した。シンプルな一部品に集積されている。

哺乳瓶の吸い口にも使われる安全性の高いシリコンゴムで、安心の日本製。食品衛生法適合商品。


■ 統合的デザイン生成の手法

目的:持続可能商品開発メソッドと事例商品の実行。

「Kiss」シリーズは、ペットボトル、コップなどに装着するシリコン製のキャップだ。倒しても、手が震えても、中の液体がこぼれないが、人間が口をつけると少量ずつの液体を確実に飲むことができる。

開発の気づきは、脳梗塞でリハビリに励む私の父に、自力で気持ちよく飲みものを飲んで欲しいという思いからの発想。

そこで私は、

1.ものづくりの事例としても活用したい(ICI DESIGNの解かりやすい事例として)
2.使用者である父に安全かつ快適に使用してもらいたい。

この2点を実現可能とし、「実現のためのデザイン戦略」に沿って、コンセプトを明確にしていった。

 ■実現のための5つのデザイン戦略

1.「情報集積から仕組む」 

2.「誰でもが安全・安心・快適とはなにかの感動を計画」 

3.「専門家との情報交流『足るを知る』を、組み合わせる、共有する」 

4.ICIの商品開発チェクリストで検証し最終段階で完璧を追求する。

5.「情報の整理と知財を形式化して次代につなぐ
 以上5項目の戦略で推進することです。


最初の
仕組む」とは、社会潮流の変化を長期的な視点で分析・予測して、市場に合った商品を企画することである。人口構造変化・伝統的な家族構成崩壊といった社会潮流を踏まえて、幼児・障害者・高齢など行動分析から「こぼれないカップ」というコンセプトを定めた。

2 「感動を計画」では実現のための技術・素材背景を具体的に検証していく。「Keyword」「Analogy」「Background」「Conception」「Image」などの項目が記されたマトリクス表を埋めながら、発想を体系的に広げていくのである。

3 「組み合わせる、共有する」では、専門家との情報交流から「圧着」「張力」「弾性」「変形」というキーワードを導き出したことで、後の形状への気付きがあり、形而がイメージできた。

 最終段階で完璧を追求するでは、統合的確認をするために 三角形の「デザインの価値評価のチェックリスト」である。『使い手、もの自身、作り手』という3つの視点から価値をチェックしていくことで、ユニバーサルなデザインが自然に作り上げられた。製品の要望、安全・安心・快適のユニバーサルの視点、素材・金型・コスト・利益・販売・宣伝などから商品のデザインを決定した。

使い手、もの自身、作り手』という3つの視点から価値をチェック

 ビジネス情報の次代集積として、つなぐために知識集約の整理と知的財産権の権利化を実行し、社員のデザイナーは、こうしたチェックを確実に行い、その記録を残して再利用することで、暗黙知の継承にも成果をあげている。

まとめ

 「目標に対して十分に情報を集めて検討し、綿密に計画を練り、シミュレーションを重ね、商品化するまで考えることが、発想を実現するための「統合的デザイン生成の手法」であり、デザイナーが考えたとおりのデザインを世の中へ送り出すための手法とデータの一元化プロセスであると考えている。

さらっと記載したが、興味があれば
http://www.ici-design.co.jp/inquiry/inquiry.html
で検索し質問してください。

■ 現実と評価

ちなみに、数年の歳月の苦労の結集である「Kiss」シリーズは、13年の間予想以上の反響でメディア掲載やTV報道もされ、多くの弱者(高齢者・幼児・病み上がり・病人・全盲者の料理補助具・口蓋裂で生まれた乳幼児など)の方にいまだに喜んでいただいている。

■ ICI-DESIGN商品開発メソッドを進化させた#ミルメソッド

現在、弊社(ICI-DESIGN)開発メソッドを進化させ#ミルメソッドでご提案しています。(理由は社内で知的集約型ビジネス構築ができたためである)

■ 企業人格の明確な会社は一流企業

最後に
『ものづくりの空洞化』は企業の何たるやを設定しないで、次代につなぐための知識集約もできていない。また、言葉は悪いが『どうにかなるさ』の無責任な責任者が横行しているのではないでしょうか。

そのような責任者では商品の決定とは何かがわからないで業務を推進しているのではないでしょうか。 

コンサルやプロデューサーの意見を鵜呑みにするなども背景にあるのではないでしょうか。また商品を出せば『どうにかなるさ』で終わる。

または○○の先生がこのように言ったから、こんな問題が起きたと責任逃れしている経営責任者はいないと思いますが、いかがでしょうか。

また、個人の尊重、人格・尊厳があるように、企業にもそれぞれには企業人格があり、綱領・信条があると信じますが そうでない企業も多くあると聞きます。

そのような環境では社員教育など出来ないのではないでしょうか。社員はやめていく負の連鎖が起きているでしょうね。これが『ものづくりの空洞化』である。

若者よ、考えて働くことが今や必須だ。考えろ。

大なる三流企業と小なる一流企業、どちらを選択しますか。

よく考えて、決断しようね。


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