商品開発になぜ素材・加工に対する理解が必要なのか!・・・未来のデザイナー
はじめに
素材とデザイン： 素材の選択と加工方法が製品デザインにどのように影響を与えるかについての深い洞察を共有します。これは、素材が製品の見た目だけでなく、機能性と耐久性にも大きな影響を与えるという事実に焦点を当てます。
さまざまなものを作る際の基本的な素材についての話ですが、例えば、竹やひまわりの種を素材にした製品やトウモロコシで作ったウォークマン、 紙のインジェクションフィルム、 テレビなどの外観に見られるアルミやプラスチックなどの表面処理、加工方法などデザインにおいて素材はかなり重要な要素だと思います。
素材活用の展開と価値
デザインの世界では素材が非常に重要だということを、パナソニックで「テクニクス」ブランドのオーディオ製品を開発していた時に深く実感しました。オーディオ製品の開発には、地球上に存在するほとんど全ての素材が使われていると言っても過言ではないほど、様々な素材が用いられています。これは、オーディオ製品が多様な素材と深く関わっているという事実を示しています。
1976年に開発されたスピーカー（SB-F1）は、従来の布製ネットを超精密加工のパンチング部品に置き換えた例です。業界で初めてダイキャスト加工を採用し、その技術の価値を高めるためにスピーカーの全体形状から背面の細部に至るまでデザインを施しました。また、このモデルは世界で初めて一本のネジで結合、組み立てが可能な商品でした。
この製品は、デザインから素材に至るまでのあらゆる側面で革新的な提案を取り入れて生産され、約100万台が売れました。特にヨーロッパでは非常に人気を博しました。
オーディオは人間の生存には不可欠ではありませんが、心を潤し感性を育む重要な役割を持っています。音楽はそうした瞬間に求められるものです。消費者がオーディオ製品を購入するためには、高品質な素材と作り手の真摯な思いが必要です。美しさには心が宿り、作り手の誠意が感じられないと、それはただの安価なスピーカーにすぎません。製品には、ユーザーの心を打つ価値と感動が必要です。
素材は真実を伝える。
素材の研究と理解は非常に重要です。偽造品は素材を無視し、デザインや形状のみを模倣します。素材は本質を反映し、それには本物のデザインが伴います。これが素材に関する私の基本的な考え方です。
デザイナーにとって、素材や加工法を理解することは、おそらく最も避けたい作業の一つかもしれません。記憶や数学的計算などは、デザイナーが最も嫌う作業でしょう。デザイナーは絵を描いて収入を得ますが、デザイナーでない人でも絵を描く人は多くいます。職業としてのデザイナーは、素材や加工法、プロセス、コンピューターの使用など、全ての情報を備えた者だけが、インダストリアルデザイナーとしての地位を持つのではないでしょうか。
デザインとは、多様な要素を学習し、習熟することで、オリジナルの創造的なアイデアを持って製品を作り出す行為です。素材と型を理解することで、デザインのプロセス全体を掌握することが可能になります。
デザイナー、設計者、金型製造者はそれぞれ異なる視点を持っており、そのために工程が滞ることがあります。グラフィックデザイナーは平面の文字やパターンに焦点を当て、スタイリングデザイナーは形状の創出に力を入れます。プロダクトデザイナーやインダストリアルデザイナーには、デザインプロセスだけでなく、選ばれる素材や加工技術に関する深い理解が必要です。
素材に関する研究は、製品デザイナーとして、また創造的なデザインを行う上で欠かせません。これが不足していると、デザイナーとしての能力は認められないでしょう。
素材や加工に関する知識を習得は、キャリアアップに役立つ。
社員はインダストリアルデザイナーになるために、大学や専門学校で特化した教育を受けています。日本ではAIや3DCADを含むDX技術が急速に発展しており、コンピューターに精通した人々はこの変化を理解していますが、多くの人々はそれに気づいていません。例えば、3Dプリンターは作業時間を大きく短縮します。デザイナーは設計者や製造者と協力して作業を進める新しい時代に入っており、プロジェクト全体を管理するマネージャー的な役割が求められています。
パソコンの操作、素材と金型への理解、消費者の意見の把握に加え、ユニバーサルデザインや環境問題に精通した総合的なデザインマネージャーを目指しています。デザイナーがマネジメントを率いるべき理由は、設計者がデザインプロセスを管理するという考え方もあるが、消費者分析や世界的なトレンドを理解するための専門教育を受けているのはデザイナーのみです。
デザインとは、大きな流れの中で物を創り出し、何よりも消費者に感動を与えることを最終目標とする行為です。デザイナーの役割は、世界に感動をもたらす新しいイノベーションを生み出すことにあります。
これらの人々は、コンピュータの利用、素材の理解、プロセスとマネジメントに関する知識を備えた総合プロデューサーとして位置付けられています。この意味で、現在は非常に重要な時期です。素材に関する研究や将来の展望を含めた学習を身につけることが求められています。素材と加工技術に関する幅広い知識は、未来のデザイナーにとって重要な武器になります。
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