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冠状疾疫渦中記(卯月拾日~参拾日)

4月10日
 昨日までの記録をNoteに「冠状疾疫渦中記」と題して投稿、予想以上の反響を得る。特に同期から褒められたのは嬉しかった。
 11時過ぎに最寄りのスーパーに買い出しに行く。やはり野菜とパスタの棚はスカスカであった。肉、千切りキャベツ、パン、インスタント味噌汁などを買う。そういえばインスタント味噌汁もいつも買っているものは無かった。

 鳥取県でも感染者が確認され、遂に国内で感染者が確認されていない都道府県は岩手県のみとなる。なお、このニュースが報じられた際の記事にはなぜか島根県庁の写真が使用されていた。
 都内でも185人の新たな感染者を確認。先日の民間企業の協力によって多少は余裕はできただろうが、それでも脅威を感じる感染者の増加具合である。
 12時時点での国内感染者の状況は、累計5347人。うち退院者は714人、死者は88人なので、現在の感染者は4545人。このうち過半数にあたる2498人は軽中度もしくは無症状で、更に1438人は症状有無を確認中である。人工呼吸やICUを使っている重傷者は117人となっている。
 このような正確かつ詳細な情報は、河野太郎防衛大臣のTwitterより流行初期から継続的に発信され、多くの人たちに評価されている。昨年の大型台風直撃の際にも、このように詳細な情報を毎日発信し続けていた。同時に平時と同じような広報やユーザーとの交流も続けており、つくづくこの人物は人心掌握に長けていると思う。
 大物Youtuberであるヒカキン氏が小池知事との対談動画をアップし、大きな話題となる。著名人のネームバリューとインターネットの拡散力を利用した、優秀な作戦であると思う。

 欧米諸国では変わらず猛威が止まらないという情報ばかりが入る。イタリアでは100人もの医師が犠牲になっているという。あまりの人員不足に、退職した高齢の医師が復帰し、前線に投入されるも、自身も感染し死亡する、というニュースを先月目にしたのを思い出した。
 米国の死者数は1万6000人を超え、イタリアに次ぐ世界2番目の人数となった。現地の調査によると、アフリカ系アメリカ人の感染者や死者が特に多いのが目立つという。これはやはり経済的格差に起因するものではないかとの見解が示されている。
 病気は貧富を選ばないが、生き残れるかどうかには貧富の差が存在するのは恐らく確かであろうと思う。それは国家内のものだけでなく、地球規模の地域でも言えることだとも思う。
 以前記述したように、発展途上地域でのコロナ禍は深刻かつ長く尾を引くものになるのではないだろうか。

4月11日
 今日は終日家に籠っていた。毎日同じような生活リズムで過ごしていたからか、今日が土曜日であることを知って少し驚いた。
 帝国海軍では曜日感覚を失わないために金曜日にカレーを出していた理由が何となく分かった気がする。

 死者数はイタリア1万9000人、アメリカ1万8000人、スペイン1万6000人となり、全世界での合計は10万人を超えた。感染者数は168万人で、そのうち3割にあたる49万人をアメリカがしめる。現状の推移ではアメリカの死者数がイタリアを抜いて世界で最多になるのも時間の問題だろう。
 全世界での死者数は、この1ヶ月で22倍に達したという。この1ヶ月で欧米諸国での感染が一挙に広まった結果である。本記録をもとに3月初頭の頃を思い出しても、国内外の空気感は1ヶ月で大きく変わったと感じる。
 国内では、今日までに新たに658人の感染者と6人の死者が確認され、累計感染者数は6005人、死亡者は94人となった。政府や各自治体の本腰を入れた対策が有効だったとしても、その効果が表れるのはまだ先であろう。
 17時30分より20時30分まで友人MとLINE通話。
・日記を付ける意義
・歪曲した情報(発信者の感情のノイズ、バイアス)に対する疲弊
・衆愚の本質を今さら知る「知識人」に対する失望
・今後の中東を中心とした世界情勢の展望
・日本人にとっての「自由主義」とは
などの議論を交わす。

4月13日
 今日も終日家に籠っていた。
 午前中には在宅での集団面接があった。集団と言っても私を含めて3人の就活生が参加者で、思っていたよりも少人数であった。面接官も自宅より面接を行っているとのことであった。
 午後からは就職し、大阪にて研修中の大学の先輩と通話をする。外を出歩いて観光することができず、相当参っているようであった。

 北海道では第2波とみられる感染の波が発生し、札幌市などが「緊急共同宣言」を出し、近隣の学校を臨時休校にした。
 テレビ朝日では報道番組のキャスターが感染し、テレビ東京と共に全収録中止に乗り切った。今までの人生で経験したことの無い事態である。
 政府は出勤者を最低「7割減」することを要請。専門家によれば実際には「8割減」が理想とのこと。「8割減」というワードが各所で見られるようになった。

 都内では165人の感染を新たに確認。うち約90人は中野区の病院関係者であったが、この事実は数日前に内部関係者からのリークがネット上に流出していた。リークによると、病院側は4月1日時点で職員に感染者を確認していたにもかかわらず、「経営判断」で公表しなかったらしい。
 結果、職員・患者らの間で感染が拡大。勤務医が保健所に連絡したことで露呈し、各方面より怒りの声が飛び交うようになり、職員は続々と退職…という内部事情とのことだ。
 そういえば数日前に某家電量販店職員の感染が確認された時にも、公式発表に先んじて内部からのリーク情報がTwitter上に流れていた。
 組織への批判という面では、WHOへの批判も大きくなっている。これは少し前からTwitter上でWHOの無能ぶりに対する批判が見られたが、ここに来て台湾が去年12月に送った新型コロナウイルスに関する警告を握りつぶしていたことが判明。
 米トランプ大統領が大々的に批判したことを契機に、一気に今までの火種と合わさって大炎上といったところか。中国政府に「忖度」しての行動と推測されているため、今後国際的なバッシングの嵐に発展することが予想される。
 Twitter上では、遂に厚生労働省の公式アカウントがネットニュースサイトでの悪意のある報道内容に怒りの声をあげた。これに関しては「政府の説明がわかりづらい」、「マスコミの報道能力が低い」など、様々な点に批判が寄せられているが、個人的にはこれらの諸々の組織と国民の意識の歪みの結果、このような事態になったのではと思っている。

 アメリカでは死者が2万人を超え、やはりイタリアを抜いて世界最多の感染死者数を記録した。特にニューヨークは非常に困難な状況にあるようだ。

4月13日
 今日は買い出しに行く予定であったが、激しい雨が降っており、食料にも余裕があったため、延期する。
 午後21時30分頃より友人MとLINE通話をする。午前2時20分頃までの4時間弱雑多な事を話す。今回は世情に関することは話さず、久々に軽い内容の話ができたと思う。

 国内では260人の新規感染者を確認。都内では91人にとどまったが、月曜日は少なめの数字が出ることが通例となっている為、まったく油断はできない。明日以降の数字も引き続き注視したい。
 依然国内では感染が拡大しており、地方自治体が次々と対策を発表した。石垣島などの島嶼地域でも感染者が確認され、話題に。島嶼地域は医療キャパシティが限られているので、早期鎮圧を願うばかりである。
 中国では新規感染者が再び100人を突破。公式見解によれば、ロシアなどの海外からの「逆流」であるという。やはり先日危惧していた事態が発生してしまった。水際対策の困難さを改めて実感する。
 現在の日本の感染の波も同じく「逆流」によるものとされている為、まったく他人事ではない。果たして我々は水際の防衛陣地を維持できるのだろうか。
 イギリスではジョンソン首相が無事退院し、動画を公開した。

4月14日
 今日は13時より在宅説明会があった。私を含めてわずか3人での説明会であったため、人事の方と色々と話をする。先方様も全社員リモートワークに切り替えて業務を行っているそうだが、リモートワーク開始を宣言する際に「業務やコミュニケーションの質は下がるだろう。」と上司より説明をうけたとのこと。
 ITに造詣の深い企業であるため、既存のノウハウを活用して柔軟に対応しているようで、既に定員の半分ほどの人員は確保しているとのことだ。
 内定取り消しや、説明会や選考の中止、延期などに対する困惑の声がTwitter上などで散見されるが、私の場合、業界が業界だけにほとんどの企業がweb対応に切り替えを行っているため、想定よりは混乱は少ないように感じる。
 説明会の後には買い出しに行く。牛肉、ベーコン、トマト、千切りキャベツや飲料を買う。やはり肉や一部野菜などの生鮮食品は不足気味に感じた。
 一方でカップラーメンや缶詰めなどの保存食品はそれほど不足していなかった。カップラーメンは新しいものが陳列されていたため、次の買い出しの時には買ってみたいと思った。

 国内では19人が死亡し、1日辺り過去最多の死亡者を確認した。都内新規感染者は161人を記録。
 IMFは世界経済の見通しをマイナス3%と、大幅に落ち込むだろうと発表。やはり世界経済に与える影響は極めて大きなものになりそうだ。

4月15日
 今日も終日家に籠っていた。在宅で一次選考を突破した企業の入社試験を行う。結果や如何に。
 専門家チームによると、何の対策も行わなかった場合、国内では最悪40万人が死亡する、との推計を発表する。
 また、アメリカの専門機関によると、このような新型コロナウイルスに対する臨戦態勢は2022年まで保つ必要があるのでは、という見解を示した。長期戦になるとは思っていたが、予想以上の数字にも感じる。
 とはいえ、100年前のスペイン風邪も流行終息までその程度の期間を要したらしいので、そういう視点で見れば突飛な数値とも言えないだろう。
 アメリカはWHOへの資金出資を停止するとのこと。WHOは、今回の騒擾では役に立たないどころか、結果から見ればまったく的外れな見解を発表して混乱の拡大を招いたと見られても仕方がない始末だったので、妥当とも言えよう。

 大学より連絡があり、遂に私の大学も授業は当面の間は「オンライン授業」になるようだ。他の大学の情報は入っていたので、「いよいよやはりか。」といった心境だ。
 私個人的には、就活との両立を図る上では色々と融通が利きそうなので構わないのだが、教員や一部学生たちには大きな負担になり、多かれ少なかれ混乱も起きることが予想される。
 しかし、大学としては英断ともいうべき判断であると思う。これを機に授業のオンライン化が一気に進むことになるのだろうか。就活と付せて、思わぬ形で時代の転換点に巻き込まれてしまった。

4月16日
 今日は定期の更新や散髪の為に久しぶりにここ最近の行動圏外に出た。と言っても隣の駅まで歩いた程度のものであったが。
 散髪をしようとして驚くべき事態に遭遇した。なんと近隣の1000円カットは、緊急事態宣言を受けて軒並み営業を停止していたのだ。これには全く参った。
 調べる限りではチェーンの1000円カットはどこも全滅と見てよいだろう。再び店が開く日は不明である。さて、髪をどう処理しよう。このままでは伸び放題のロングヘアになってしまう。

 帰りがけにいつものスーパーに寄り、買い物をする。久しぶりにカット野菜を見つけることができた。素直に嬉しい。まさか100円のカット野菜でこんな心持ちになるとは。
 店内の棚は、やはりパスタの棚が空っぽであるのが目立った。そういえば先日会った君塚もパスタを買ったと言っていた。イタリアでのパンデミックの初期に「どこにもパスタが無い!」と言っていたイタリア人を見た時には、まさか同じ光景が目の前に現れることになるとは思わなかった。
 ベーコンやパン、キノコなどに加え、この前目を付けた新作のカップラーメンと梅酒を買う。新作カップラーメンは美味しかった。散髪が出来なかった腹いせに昼から梅酒を飲んだ。なんだか格別に美味く感じた。(もっとも、私の実家ではお昼時に酒を飲むなど日常茶飯事であったが。)

 Noteに投稿された医療現場の怒りと題した投稿が話題になっていたが、個人的には内容に疑問点が多く、また私と同じような違和感を抱いている人も多いようだったので、冷静にスルーした。
 様々な勢力がこの状況を利用して水面下で様々な喧伝活動を行っているのは、何となく感じている。先日の髙橋との議論で出たように、ノイズやバイアスを故意に混ぜ込んで情報を発信する輩が非常に多い。
 基本的に信用に値する情報は、客観的なデータに裏付けされた論理的な内容のものであり、かつ発信者の素性が分かるものであると思う。どんなに大衆に感情的に訴える内容の情報であっても、客観的なデータやエビデンスに基づくもので無ければ無意味なものである。混乱の基にしかならない。
 それは、まさにここに書かれている情報に対しても言える。ネットの海の片隅で適当に拾った知識や情報なぞ当てにするだけ馬鹿を見るだけだ。
 よって、現状で信頼性の高い情報の発信が可能なのは、膨大な量のデータを蓄積し、かつ多数の専門家を抱えている、政府や自治体に限られると思う。

 声優の藤原啓治氏の突然の訃報が流れ、Twitterは再び悲しみに包まれた。先日の志村けんに続き、国民的な知名度の芸能人がこの世を去ってしまった。氏は数年前から体調不良の報が流れていたが、最近は現場に復帰して活躍していただけに、尚更残念である。21世紀初頭を子供として過ごした日本人なら、一度は彼の声や演技を聞いたことがあるだろう。
 今日購入した梅酒を献杯し、氏に捧げる。図らずも、昨年祖父の訃報を知った日に献杯したのと全く同じ梅酒であった。
 
4月17日
 都内では201人の感染者を確認。過去最多を更新し、初めて1日で200人を超える感染者が確認された。全国では551人もの感染者が確認され、国内の累計感染者数は1万人に迫っている。
 18時より安倍首相が記者会見を行い、現状は大変厳しい状況であると説明。国民1人1人に一律で10万円の現金を給付することを発表した。そして緊急事態宣言を実施すべき区域はこれまでの7都道府県から全都道府県へと拡大した。国内の累計感染者数は1万人に迫る勢いである。

 中国では武漢市当局が、市内の累計死者数が公表より1290人多かったことを発表。また、中国の成長率も初のマイナスを記録した。
 アメリカでは死者が3万5000人、感染者は68万4000人に達した。イタリアでも、北部ベルガモ県では、死者数が公式発表よりもはるかに多いのではないかとの見方が強まり、市長までもが公式発表は「氷山の一角」に過ぎないと警告した。日本などとは別次元の混乱である。

 日本を含めた世界各国では、このコロナウイルスに対するワクチンの開発がかなり積極的に進められている。一番最初に開発に成功した国がどこになるかによって、今後の世界情勢が大きく変わる可能性がある。Twitter上では、「中露などが開発に成功すれば、それは第二のスプートニク・ショックになるだろう」との見解が見られたが、なかなか言い得て妙な表現であると思う。

4月18日
 予報の通り雨が割と激しく降っていたため、終日家に籠ってPCのデータ整理などをしていた。

 都内新規感染者は181人、全国では566人を記録し、国内の累計感染者数は1万人を超えた。世界では、死者数は15万人に達し、そのうちの3分の2の10万人は欧州に集中している。
 首相が積極的な感染対策を行わない方針のブラジルでは、サンパウロ州が州権限によってレストランや学校の閉鎖措置を延長したが、これによってドリア知事とボルソナ大統領との間で対立が生じているとのこと。

4月19日
 Web面接や講義に対応するための機材を発注したが、今日は届かなかった。いつ届くか分からなかったから外に買い出しになかなか出れず、結局21時過ぎ頃に買い出しに行く。
 レジで会計をしている時に、お釣りをこれまでの手渡しではなく、トレーに入れて間接的に渡すようなシステムに変わっていることに気付く。そういえば、ちょっと前からレジには飛沫防止のためのビニールシートが店員と客の間に貼られている。
 こんな状況下で毎日粛々と業務をこなしているスーパーやコンビニの店員たちには本当に感謝しかない。

 そしてこの時勢の中で、江ノ島には観光客が押し寄せ、道路という道路が車で大渋滞というニュースが話題になった。
 当然ながらTwitter上ではこの観光客らに対する怒りの声が多数見られたが、恐らくそのような軽率な行動をとるような者たちは、自分から能動的に情報収集をして、情報を検討するというようなことをする発想も知能も持ち合わせていないのだろう。
 ネット上では米中の政府発表による「ネガキャン合戦」とも言えるようなプロパガンダの応酬が繰り広げられている。恐らく、双方の息がかかったネット上の“有志”たちも盛んに世論の誘導を意図して歪んだ情報を発信し続けていることだろう。
 全世界に大きな影響を及ぼしているこのウイルスであるが、政治的に見るならば、このウイルスを味方に付けた方が爾後の世界情勢の中で有利な立場におさまることができると見ているのだろう。これは国内の政治派閥抗争にも言えることだ。
 情報を精査する上では、その情報の政治的意図まで考慮しなければならないだろう。

4月20日
 全世界での感染者は237万人を超え、死者は16万人を超えたが、イタリア、スペイン、フランス、イギリスの4カ国では1日の死者数は減少したという。とは言っても各国ともに24時間で400人~500人以上の死者が確認されており、本邦とは別次元の戦いが展開されていると感じられる。

 15時より大学の同期や後輩、先輩などの有志が集まっての研究会をSkypeで行う。初の試みで、ちょっと通信が乱れ気味な人もいたが、かさねうまくいく。当分大学には行けそうにないので、研究報告や文書購読などの活動はこのような形になりそうだ。
 やはり人と交流しながら議論をしないと脳は錆びついてしまう。利用できるリソースは有限な状況だが、工夫をかさねて活用していくしかない。

 雨が止んでいたので、17時30分から買い出しに行く。パンやバター、牛乳や卵などを買う。ここ最近で1番食材がたくさん棚に置いてあったと思う。やはり米や納豆などは特に少なかったが、他はだいたい平常時と同じような品揃えだったと思う。
 政府からの現金給付は思っていたよりも迅速に行われそうだ。貯蓄に回したいという気持ちもあるが、買いたいものもあるので積極的に使って経済を回していきたいと思う。

 オーストラリアのネット記事がTwitter上で話題に。これだけ成果を出しているにも関わらず懐疑的、ないし批判的な現状の欧米諸国の日本の評価に対する考察だ。
 「日本はジャンクフードを食べエクササイズもしてないのにスリムなままの少女。半分は彼女を無視したがり、残りの半分は彼女を憎んでいる」という表現はなかなか興味深いものであった。記事内容も現状をよく考察していて、現在の情勢を記録したものとしてはなかなかのものではないだろうかと思う。
https://asiatimes.com/2020/04/why-japan-gets-no-covid-19-respect/

 現状、日本も危ない橋を渡っていることに変わりは無いが、欧米諸国よりは遥かにマシな状況だ。現状ではウイルスの抑制に成功している国は独裁国家や戦時体制国家がほとんどであるため、ここは非戦時民主主義国家としての最善の状況に持っていきたいところ。
 「強制的なロックダウンを伴わない日本の自粛モデルを成功させることは、個人の自律の勝利であり、自由を基調とする日本社会の成熟性、強靭性を世界に示すだけではなく、コロナウイルス禍を機に評価されつつある全体主義国家に勝鬨を上げさせないためにも重要なことだと思います」
というtweetが見られたが、まさにその通りであると思う。
https://twitter.com/otakulawyer/status/1252212760038916103

 後世に現在の状況がどのように振り返られるか分からないが、少なくとも2020年4月後半の段階では、日本は主要先進国中では屈指の感染死者の少なさを保っている。そしてそのデータに対する根拠の乏しい批判(データの改竄や隠蔽)が国内外から向けられている。
 Twitter上では葬儀関係者がこのような批判に対して真っ向から反論している。実際問題、日本のような国で大規模な死者数の意図的な隠蔽などできるのだろうか。

 今現在1番の問題は、未だに意識変容のできていない国民の扱いである。恐らく現状のまま5月6日に非常事態宣言を解除すれば、街中には人がどっと溢れることが予想される。
 数年単位の長期戦になるという見解もあるが、恐らく大部分の民衆は、このような自分にとって不都合な情報は耳に入れないか、入れても黙殺して忘却してしまうのだろう。
 これを繰り返していては、ズルズルと余計に事態の長期化を招くのではと思う。
 とにかく、5月6日とその後の2日間ほどは外出しないで家に籠っていた方が身のためであると私は思った。

4月21日
 今日は終日家に籠っていた。昨夜は酒を飲みながら麻雀配信を見ていたが、そのままコタツで寝てしまっていたようで、今朝はコタツで目が覚めた。幸いというか、体調に特に変化はない。

 原油価格が0円を下回りマイナスに突入というニュースが話題に。コロナ禍の影響で原油消費が滞り、なお生産が続いた結果、廃棄できない余剰生産分が溢れた結果らしい。
 原油価格の下落はここ最近随分と続いていたが、まさかここまでになるとは思わなかった。今後の国際情勢に少なからず影響するのでは。

 今日の都内新規感染者は123人となった。北東北などの地域では感染の抑制がかなり進んでいるようなので、やはり大都市での感染抑制が大きな課題になる。
 相変わらず東京では3桁ペースで新規感染者は増えているが、指数関数的な急増はまだ見られていない。どうかこのまま抑え込みに成功して欲しいものだ。

 19時30分より、ようやく届いた音響機器のテストも兼ねて友人Mと30分ほど通話をする。近況などについて雑談をし、部屋の備蓄食料の話題になったが、どうやら彼にとって私は未だに碌に自炊をしないから、冷蔵庫の中には生鮮食品は無い人間であるというように認識されていたようだ。まったく心外である。

4月22日
 10時頃より買い出しに行く。郵便局によってお金を降ろしたが、郵便局の営業時間が短縮されていることを知る。牛肉や野菜などの生鮮食品を入手することができた。

 14時よりweb企業説明会を受ける。先方の社長が色々と説明をしてくれたが、やはり今般の状況に関する話題が多かった。社長さんは色々と自論を述べていたが、さすが複数の企業を束ねる経営者とだけあって、冷静かつ客観的な現状の把握と今後の推測が述べられていた。
 現状に対する意識はかさね私や私の周りの友人たちと一致していた。もう60歳を超えていた方であったが、さすがの情報収集・検証能力であると思った(妙に上から目線な文体で申し訳ございません)。

4月23日
 10万円の給付金が現実的になったことで、これを職員から徴収しようとした広島県知事が話題になる。職員や県民から抗議によってこの発言は撤回されたが、この動きが民間企業にまで広がるのではとの危惧の声も見かける。
 今回の災害の対策の主役は何と言っても民衆一人一人の個人であるのだから、その個人の行動変容の元手や、何より地域経済の停滞を食い止めるための資金になるであろうこの給付金を、個人から自治体や企業が取り上げるなど言語道断である。
 今日は企業選考書類の準備の為に昼と夜の2回外に出た。昼間は良い天気だったからか、想像以上に多くの人が出歩いていた。また、久しぶりに店頭にトイレットペーパーが置かれているのも確認した。
 夜には久しぶりに駅の近くの本屋の前を通りかかったが、営業時間を短縮していたことに今日気付いた。コンビニの中もやはりレジには飛沫防止用のビニールシートが設置されていた。

4月24日
 昨日今日と、地方自治体の感染拡大対策がTwitter上を賑やかにさせた。特に中国四国、東北地方の自治体の取り組みが目立っていると感じる。東北6県と新潟県の外出自粛共同宣言は令和の「奥羽越列藩同盟」と揶揄される。
 「岡山にきたことを後悔するようになればいい」との岡山県知事の発言が話題になる。県としては、外部からの来県への検温を大々的に行うとのこと。
 1月のニュースでは他人事であった、中国の村々が村の入り口に関所を設けて外部からの人の流入を規制する、という図式が日本でも見られるようになってしまった。
 むろん、これは有効な施策であると思うが、都市部と地域社会との意識的分断が可視化され、なかなかに世間ではショッキングなようである。

 都内新規感染者は161人を確認。今までのピークである200人前後を超えることはなくほぼほぼ横ばい状態が続いている。減ってはいないが、指数関数的急増も起きていないという状況だ。

4月25日
 今日は23時より友人Mなどとオンライン飲み会を開催した。急きょ開催することになったので、20時過ぎに行きつけのスーパーに割り水やツマミを調達しに行った。
 レジの前の「ソーシャルディスタンス」を守るために床に付けられたビニールテープが緑色から黄色と黒の非常警報線の色になっていた。よほど気づかない人が多かったのだろうか。

 全世界での感染者は300万人に届く勢いだ。死者も20万人を超えた。大学の先輩と今後の世界情勢などについてLINEで長時間議論を交わした。

4月26日
 昨日、というか今日は久しぶりにがっつりお酒を飲んだ。オンライン飲み会でも興が乗ればオフとそう変わらないぐらい酒が進む。

 今日の都内新規感染者は72人となった。久しぶり2桁代になったが、まだまだ油断はできない。北海道では第2波の感染の波が来ているようだし、例えこのピークを乗り切っても、国内外からの感染の波が訪れる可能性は高い。
 ましてやGW明けに非常事態宣言が解除されることになれば、多くの人が移動するのは想像に易い。

 23時より友人Mと友人OでLINEグループを作って3人で話をする。私は2人と面識があったが、2人は間接的にしか面識が無かった。相性が良さそうなので合わせてみたところ、予想以上に話が弾んだ。
 やはり今後の世界情勢などについて議論を交わす。私の周りにはこの手の話題に関心の深い人間がとても多いようだ。

4月27日
 今日は15時より在宅研究会がある。19時よりのオンライン同窓会に備えて買い出しに行こうとしたが、雨が激しく降っており、食料品も余裕があったため行かないことにした。
 LINEで何人かの幼馴染たちと近況を報告しあった。先日会ってラーメンを食べた友人Kは、結局地元大多喜に帰って、実家で過ごしているとのこと。戻る時は実家からの迎えの車に乗って戻ったらしい。賢明な判断である。
 インスタグラムなどを見ていると、地元の友人たちはそれなりの割合が地元で今は過ごしているようだ。時たまインスタグラムに投稿される懐かしい田園の風景に、思わぬところで望郷の念がわいた。夏には実家に戻れるような状況になっているだろうか。(冒頭の写真は今や懐かしい地元の風景である。)
 それにしても、もう20年近くの付き合いになる友人たちとの絡みは愉快なものであった。随分と久しぶりに部屋の中で大笑いしたと思う。皆それぞれの立場でこの時勢に苦労しながらも、逞しく生きていた。この混乱を乗り切ったら、また直に顔を見たいものだと思った。

 国外では台湾に続きベトナムの感染対策も大きな注目を集めている。情報によると、ベトナムは1月中から武漢市など中国の各種機関へのサイバー攻撃によってウイルスに関する情報を収集し、対策に役立てたという。
 そのおかげかベトナムでの死者はいまだおらず、国民の政府対応への満足度も非常に高い。個人的には実績に対する日本の国民の満足度の低さに驚いたが、中国に対する不信感の強い台湾・ベトナムのウイルス対策が、非常に手際が良いという現状は、様々な示唆に富んでいるものであると思う。

4月28日
 今日は15時より在宅説明会を受ける。19時近くまでに及ぶ長丁場になり、夕飯を食べて一休みした後の23時過ぎに買い物に行く。変な時間帯であったが、食料品は一時期よりはだいぶ揃えてあった。米や納豆なども十分に置いてあった。

 ウイルスのゲノム解析により、やはり現在国内で流行しているものは欧州由来であることが分かったようだ。つまり、4月初頭に押谷教授が考察したように、日本は武漢よりの第1波の感染の波を抑えたが、欧州よりの第2波の水際阻止に失敗し、今日の状況に至ったということだ。
 今日確認された都内新規感染者は112人、国内の新規感染者は275人。劇的に減ってはいないが、4月初頭の水準にまで戻った。しかしやはり日本医師会などは緊急事態宣言の延長など、更なる長期戦を見込んでいるようだ。

 国内の地方自治体では再び岡山県が注目を集めている。高速道路のPAでドライバーへの検温を実施していたが、職員に対する脅迫が相次いで寄せられたことから、中止することになったという。
 しかし、その代わりにPA自体を封鎖する対応に移行するようだ。営業中の店に対する嫌がらせ行為など、醜悪な人間の行動が批判されている。その内容自体は昔からよく聞くような事ばかりで、人間の本質的な部分の進歩の無さを改めて実感する。
 残念なことではあるが、同時に「まぁ、そんなものだろう」とも思う。
 ここ数日、政府や専門家チーム、医療従事者、そして国民の努力の結果が目に見える形になりつつある。しかし、まったく油断はできない。いつか記したように、地球上のどこかにクラスターが存在する限り、この「禍」が終わることはない。
 ここ数日WHOが言っているように、もう去年までのような日常が訪れることは無いのだ。

4月29日
 今日は終日家に籠っていた。
 全世界での累計感染者は305万3000人を超え、死者は21万3000人を超えた。人口10万人あたりの感染者は欧米諸国で非常に高いものになっており、スペインで470人、イタリアで323人、アメリカで292人となっている。日本は10人となり、中国を上回る数字になるようだ。
 都内新規感染者は47人にとどまった。感染のペースは全国的に下がりつつあるが、未だに予断を許さない状況であり、政府も5月6日の緊急事態宣言の全面解除は厳しいとの見解を示した。

 現在、東アジアと欧米諸国との間の感染の広がりに大きなギャップが生まれている。例え日本での感染抑制に成功しても、今後の国際交流などの上で大きな課題になるだろう。

4月30日
 都内新規感染者は46人とだいぶ落ち着いてきたが、その代わりに北海道に再び大きな感染の波が訪れているようだ。北海道当局はかなり厳しめの渡航制限を訴えており、事態の深刻さが伺える。やはり一時の油断さえままならない状況下であることは変わりない。
 アメリカなどの複数の国や自治体、民間企業が中国に対して多額の賠償請求を画策しているとの情報が話題になる。損害賠償の総額は1京1000兆円になるとの情報が入るが、俄かには信じがたい額である。
 金額の実態なども含めて慎重に検討したい情報だが、これが事実ならば、やはり国際的な中国に対する警戒感や不信感の高まりを感じる。

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