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冠状疾疫渦中記

 これは、2020年の新型コロナウイルスの世界的パンデミックという混乱の渦中で就職活動を行っていた、私の主観に基づく記録である。

 文中に現れている各種数値やデータは可能な限り信頼のおける出典元からあたったが、リアルタイムで記録しているという性質上、過去のデータに多少の齟齬があるかもしれないので、あしからず。

3月23日
 ふと思い立ち本記録の作成を開始。以降、3月23日に至るまでの特記することを適宜Twitterなどを引用し、思い出しながら記録する。
 この日は都内へアルバイトに午後から向かう。アルバイト先での雑談のタネは専らコロナ関連。福井市内で感染者が出たことを知る。
以下、昨年末よりの状況を覚えている限り振り返る。

・2019年12月より中国武漢市で感染が拡大していたが、私のもとには全く情報は入っていなかった。年が明けてもなお、暫しの間は全く感知せず。1月の半ばになり、日本国内で感染者が確認された辺りから一気にTwitterなどを通して情報が入るようになる。なお、私はTVなどのマスメディアは一切視聴していない。従って、情報の入手元は全てネット(ほとんどがTwitter)経由であった。
・1月後半には中国での混乱に関する情報が次々と流れてくる。想像を超える混乱ぶりに、日本での流行も時間の問題だと思う。

2月8日
 友人S宅に友人N、友人Mと集まり食事会。友人Nはコロナとは全く関係なく風邪気味だったため途中で離脱する。この段階では自粛ムードはそれ程ではなかったと記憶しているが、やはり遠出にあたってはコロナに関することを多少意識していたと記憶している。

・2月初頭段階では、ダイヤモンドプリンセス号の対応に関する情報が主だったと記憶。政府の対応に関しての論争が連日Twitter上で交わされる。この時点では、欧米諸国はまったく対岸の火事を見るような風潮であったと記憶している。
・2月に入る前後でマスクの買い占めが問題化し始める。筆者は調査などで使用するマスクの備蓄があったため、特に気にしなかった。13日、日本国内で感染による初めての死者が出る。

2月11、12日
 都内へバイトに行く。移動中の電車の中では多くの人がマスクを着用していたと記憶。

2月中盤
 欧米でのアジア人差別激化のニュース流れる。国内では連日感染拡大のニュースが流れる。

2月19日
 「しかし損な時期に就活をする立場になってしまったものだ 文字通り命懸けの就活になりそうな予感」とtweet。

2月21~24日
 大多喜に帰省。既に都内では多くの感染者が確認されている状況だった。大多喜でもマスクが不足している状況であると知る。実家に備蓄してあった花粉症対策用マスクを大量にもらう。

2月24日
 「現状ではやはりコロナウイルスそのものよりもそれに伴う経済の滞りの方が深刻だなぁ」とtweet。

2月26、27日
 都内へバイトに行く。先日行った時とほとんど変わらない街の様子だったと記憶している。

2月28日
 北海道では感染者が急増し、緊急事態宣言が行われる。「これウイルスそのものよりもやっぱり経済的ダメージの方がでかくなるぞ」とtweet。

・帰省後頃よりトイレットペーパー不足が深刻化する。近所のスーパーや薬局でもトイレットペーパーが確認できなくなる。また、2月後半から韓国で感染者が一気に増え、局所的に医療崩壊か、という情報が入る。

3月7日
 「他の国と同じような対策やってたら他の国と同じようなことになってたでしょうなぁ」「マスクやトイレットペーパーの不足騒動を鑑みるに、やはりまかり間違えば民衆が病院に殺到して医療崩壊という事態もやはりあり得た訳で」とtweet。

3月1日
 神保町に友人S、友人Mらと集合し、皇居などに行く。休日にもかかわらず皇居は閑散としており、アジア系の観光客の姿はほとんど見られなかった。しかし欧米系の観光客は多く見られた。この段階でも、まだ欧米ではコロナに対するリアクションは薄かったと記憶。
 道中などではコロナについて論を交わす。

・長い自粛ムードの中、Twitter上では休校に伴う牛乳の消費を民間で促す流れから「蘇」を作ることが流行る。また、江戸時代の民間伝承から「アマビエ」のイラストを描くことも同時期に流行る。
・インフルエンザなど他の感染症患者は例年よりも大きく減っているとの情報が、現場医師など複数のtweetから入る。国民1人1人の防疫意識の高さが評価されると共に、逆に去年までの手洗いうがいなどの基本的な衛生管理の杜撰さを指摘する声も。ちなみに私は未就学児時代以来インフルエンザに感染した経験は無い。

3月9日
 コロナ流行による世界的な株価暴落(2020年の株価大暴落)の情報を入手。「こりゃコロナウイルスなんかより世界規模の経済打撃の方がこたえそうやな」とtweet。世界規模の大恐慌の襲来を予感する。

3月10日
 たまたま企業説明会の近場のバイト先に来ていた友人Mと昼食を共にする(タコス)。

・3月に入り、欧米諸国でも感染が一挙に拡大し、状況は日本よりも遥かに深刻化する。特にイタリアに関する悲観的な情報が3月10日前後から入るようになる。

3月16日
 薬局でバイトをしている同期より薬局の現状を聞く。かさねTwitter上で入手した情報通りのようで、マスクやトイレットペーパーの買い占めは中高年層が朝方に行っているようであった。
 友人Mより「今夜お邪魔するかも」との連絡が来る。果たして、午後23時過ぎに終電を逃した友人Mが来襲し、私の部屋で一泊する。

3月17日
 友人Mは午前中一杯は寝ていた。午後より2人で近所の古墳や神社に行くことになり、歩いてまわる。風が強く、寒かったと記憶している。
 15時過ぎに遅めの昼食をとった後に、16時から初めての在宅説明会に参加する。チャットを駆使して質問をするなど、いわゆるネット配信者と同じスタイルでの説明会になった。説明をする方も当然のことながら手探りの様子であったが、全体的に和気あいあいとした雰囲気で楽しかった。最後の方はもはや説明担当者2人の雑談コーナーと化していた。

3月18日
「コロナ世代就活生メモ
・休校期間が延びたので就活にリソースを大きく割ける
・家でくつろぎながら説明会を受けれる
・カンペ見ながら面接ができる
・通信環境弱者は詰む」とtweet。

・3月後半、日本の政府対応に関する欧米諸国の評価がにわかに肯定的なものに変わる?(Twitter上では比較的初期段階から正確な感染抑制の情報が入っていた。TVなどの民間メディアはそれに完全に遅れる形で正しい情報を流したと記憶。もっとも、そもそも私はTVを見ていないため、正確な評価はできないが。)
・3月後半にはコロナの流行の主戦場はアジアから欧米諸国へと移ったと体感。23日には大規模イベントであるK-1が開催。稚拙なイベント主催者の対応と、中止した時の補填を行う目処の無い政府対応などに批判の声。国内ではコロナ対策に対する「飽き」ないし「限界」が来ているのではとの意見が出る。筆者はこの頃には長期持久戦になるだろうとの見通しを立てる。
・また3月20日を過ぎた辺りからコミックマーケットを自主的に欠席する旨のtweetが目に付くようになる。

3月23日
「今、かつてない歴史的な出来事の渦中にいると思ってるので、可能な限り自分が見聞きした事や感じたことを記録してまとめる作業を開始した」とtweet。本記録の作成を開始する。

 イタリアの死者が5000人を超え(日本は33人)、生活必需分野を除く全ての企業を4月3日まで停止させる。アメリカではニューヨークで1万6000人近くの感染者が確認され、「大規模災害」に認定。
 「2週間のラグ」の情報が広がる。現時点での感染確認状況は、実際には2週間前に感染したことが分かるということ。つまり、自覚症状が現れるまでにはおおよそ2週間ほどの潜伏期間があるため、政府・自治体の対応の良し悪しは2週間経過しなければ分からない、ということらしい。
 先日のK-1などの人が集まるイベントで感染者が発生したかどうかは2週間ほど経たなければ分からない。

3月24日
 ハワイ州が閉鎖状態になる情報をTwitter経由で入手。同地の経済に甚大な損害が発生するだろうとのtweetを見て、飲食業界の前途を憂う。
 東京オリンピックは安倍首相とバッハ会長の協議の結果、延期の路線が本決まりか。都心部で生活する身であるから、これも今後の生活環境に大きな影響を与えるだろうと思う。
 初めて消毒液を自宅で使用。2017年に購入したものが未使用品だったのでやっと使用する。消毒液に関してもストックは十分なようだ。

3月25日
 東京での1日の感染者確認数が過去最多人数の40人を記録。ここ数日で東京での感染者の確認のペースは確実にあがっていると体感。今後も感染確認人数の増加は加速するのではと思う。
 都知事が記者会見を行い、週末の外出を控えるように自粛要請。会見の場ではここ数日Twitter上でよく見た「オーバーシュート」などの単語が登場。東京での都市封鎖も絵空事では無いのではとTwitter上の諸氏は懸念と大喜利を始める。既に食料品などの買い占めも発生しているようで、特定の商品が品薄状態との情報も。

 英国ではチャールズ皇太子、日本では志村けんなど著名人や要人の感染確認のニュースが話題に。民衆の不安はますます増大するだろう。
 ダイヤモンドプリンセス号がようやく横浜港を離れる。
 政府の救済措置が批判の対象に。米国などでは現金の給付などが行われるようだが、日本では10万円の現金給付か、あるいは「和牛の商品券」になるか、議論になっている模様。Twitter上では憤りの声や皮肉が多く見られる。誠にくだらなく、残念な話であると思う。

3月26日
 東京都のみならず、千葉県や神奈川県など周辺の県も続々と今週末の外出自粛を要請。スーパーでは食料品の買い占めが広く行われる。

 15時30分頃に最寄りの行きつけのスーパーに言ったが、既に米や水、納豆、カップラーメン、パスタなどの陳列棚はスペースが目立つようになっていた。野菜などの生鮮食品もこの時間帯にしては異常なほど無くなっていた。去年10月の大型台風直撃の際の光景を思い出す。まさかこんなに早く同じ様な状況になるとは。しかも今度は長期戦が予想されそうだ。
 買物は普段の物に加えてパイナップルと桃の缶詰、レトルトカレーを追加で購入。日頃の備蓄や正月の餅など、2、3日程度なら余裕を持って籠城できる程度に食糧はある。
 先日の「和牛の商品券」は、やはりあくまでも案の1つに過ぎないようだが、どの道現金が支給されるにしても当分先になりそうだ。
 東京都ではやはり45人以上の感染者を確認、1日辺りの確認最多人数を更新する。

3月27日
 母より状況を尋ねる連絡が来る。大多喜の方はさほど混乱などは無いようだ。こちらはスーパーの棚がガラガラになっているが、食糧の備蓄は十分であることを知らせる。また、もし必要ならば実家から物資の支援を行うとのこと。
 コミケの中止が正式に決定する。しかしカタログは発売され、「幻のコミケ」として後年プレミアがつくことはほぼ確実な為、注文が相次ぐ。
 海外ではイギリスのジョンソン首相が感染する。イタリアの感染者数は中国の人数(公式発表)を上回り、死者数も1日で969人にのぼった。日本でも1日の確認感染者数が100人を超えた。
 イタリアの市長の市民への注意喚起の動画が話題に。「家でプレイステーションをしていろ」「火炎放射器を持った国家治安隊を送る」などが汎用画像素材になる。
 明日からの週末は(もともと用が無い限りまったく外に出ない性格だが)家に籠って様子を伺う予定。明後日29日にはまとまった雪が降るかもしれないとのことで、Twitter上の一部の者たちは「首都封鎖」などの用語とあわせて安定の大喜利を展開させた。

3月28日
 今日は久しぶりに部屋から一歩も出ずに生活した。明日もゴミ出し以外は部屋から出ずに過ごそうと思う。
 31日に予定していた、友人Mとのさきたま古墳群への遠征も無期限延期となった。この時勢では致し方無しと双方速やかに結論を出した。

 感染者数の増加のペースはやはりアップし、今日だけで少なくとも50人以上の感染者が確認された。他の国と比べるとまだ絶対数は少ないが、他の国の傾向に照らし合わせると、都市部で今後急激に感染者数が増える危険がある。来週、再来週の情勢で、今後の日本が歩む道はおおよそ見通せるだろう。現状でも危うい橋を渡っている為、感染の爆発が起きれば瞬く間に局所的医療崩壊が起きるだろう。
 Twitter上ではこれまでの他国の経過などから得られた教訓をもとに種々の警告が発せられている。安倍首相の会見も開かれ、国民一人一人の良識ある行動が求められている。
 スペインでは死者が5000人を超え、危惧されていた途上地域であるアフリカでの流行も本格化の兆しが見えているようだ。医療インフラの脆弱な途上地域では先進国とは比較にならない凄まじい猛威を振るうことは想像に容易い。しかし、もはやそれを防ぐ、ないし抑制することは困難であると考える。
 夜半から外では雨が激しく降り始めた。果たしてこれが雪になるのだろうか。

3月29日
 午前中いっぱいは雪が降っていた。Twitter上では雪化粧をする桜の写真が見られた。家の外も積雪が確認できた。久しぶりに冷え込んだ。
 1日の感染者の確認数は60人を超えた。潜在的な感染者数はかなりの数であると思われる為、各地への拡散を防ぐために首都ロックダウン前の土壇場での帰省を自粛するように呼びかけるtweetが見られる。
 世界の感染者数は68万人、死者は3万人を超えた。米国が最多の12万人、次いでイタリアの9万人、中国の8万人となり、死者はイタリアで1万人を超え、スペインも6500人を超えた。

3月30日
 志村けんの訃報が日本中を駆け巡る。Twitter上でも各所よりその死を悼む声が見られた。自分としても長年にわたり親子で親しんできた方がこの世を去るのは非常に残念である。これを機に国民の危機意識が少しでも高まればと思う。
 夜には東京都知事が緊急記者会見を行い、カラオケやバーなどに行かないように自粛を促した。全国では富山県で初の感染者が確認され、感染者が確認されていない県は岩手、山形、島根、鳥取になった。東京での感染確認人数は13人にとどまった。
 一時東京を上回る感染者が確認されていた愛知県では感染者は減少に転じたが、未だ油断は禁物だ。

3月31日
 令和元年度(平成31年度)最後の日。東京都では過去最多の78人の感染者を確認し、国内の累計感染者数は2000人を超える。LINEに厚労省からのアンケートが届き、回答する。ごくごく簡単な質問であった。
 大学に履修要項などを取りに行く。久々の都内であったが、人混みの具合も含めて表立って変わった様子はなかった。帰りがけにスーパーによったが、平日の16時頃にしては異常なほど棚が空であった。いつも買っているカット野菜、米、納豆、レトルトカレーなどはほぼ全滅状態であった。
行きつけのスーパーでは明日からレジ袋が有料になるため、エコバッグを携帯することを習慣にしなければ。

4月1日
 全国の感染者確認数は過去最多の237人、東京都では新たに66人の感染を確認した。累計感染者数は2419人(退院者456人)。政府専門家会議では、着実に感染者が増えている現状では、オーバーシュートが起こる前に医療崩壊が起こることが懸念されるとした。
 また、政府は1住所につき布マスク2枚を配布すると発表。議論の的になる。
 イタリア当局は感染者増加のピークに達したと発表。1日で4000人以上が増え、累計感染者数は10万5792人(1万5729人は既に回復)死者は1万2428人となっている。
 今日は終日家に籠っていた。17時頃より午前2時30分頃までの約9時間半に渡って友人Mと延々とLINE通話をする。湘南台の方はこちらよりも人口密度が希薄なこともあって、スーパーの物資はこちらより余裕があるようだ。

 友人Mとは世情などにについて議論を交わす。かなり深い議論ができた。現状はこれまでの日本という国の歩んできた歴史を鑑みれば良い面も悪い面も当然と言える状況であると見解の一致を見る。また、各国の状況を見ると、日本は現在の、制約が多く、前例のない状況の中で官民共に比較的よく対応していると思う。根拠はこれまでに提示された数字上のデータの通りだ。1ヶ月前の私の展望よりはかさね良い状況ではある。
 この今回の新型コロナを経て、国際関係や各国の国内情勢・体制、市民意識は大きく変わることだろう。事態が終息した後には「ポストコロナ」とも言うべき時代、ないし世代が到来するだろう、という議論を友人Mと交わした。

 東北大学大学院の押谷教授による暫定的な評価によると、今日における国内の流行は第2波のもので、第1波はなんとか乗り切ったものとしている。2月中旬から後半をピークに最初の感染の波が襲ったが、これは保健所、各自治体、研究者らの努力によってなんとか乗り切った。しかし、これが完全に終息する前に現状の第2波が襲ってきたと考察している。原因は第1波の残り(台東区の病院)とヨーロッパ・エジプト・アジアなどの海外からの感染者の流入とみられる。
 現在の状況は、感染者数は増えているが、施設内感染の例が多く、爆発的に地域内感染が広がっている状況ではない。しかし、着実に感染者は増えており、ぎりぎりの状況にある。
 ここまで日本がうまくやってこれたのは、医療水準の高さによって初期段階で流行とクラスターを検知できたこと、各研究者の努力によってクラスターが可視化できていること、地方自治体の積極的協力、短期的に様々なことを学べていること、が要因であると評価されている。
 第2波を乗り切るためには、保健所・検疫所・研究施設・クラスター対策班の人員拡充、そして日本に住む全ての人がこの問題を真摯に捉え、考え、行動を見直す「行動変容」ができるかに掛かっている。

4月2日
 1日の都内の感染確認は過去最多の97人になる。このペースではやはりそう遠くないうちに“破断界”に達するのではと思う。米国の失業保険申請件数は過去最多の664万8000件に達する。やはり経済の打撃も大きなものになりそうだ。また、アマゾンの先住民にまで感染が確認されたというニュースも流れた。

 早朝に起きて残り4ロールとなったトイレットペーパーの補充をしようと試みるが、夜ふかしが祟って10時半に起床する。トイレットペーパーは無かったが、テッシュはあったので購入する。今日はさすがに生鮮食品もまだあったので牛肉と緑黄色野菜を購入する。昨日の議論の中でも出たが、ビタミンを摂取する事を普段にも増して心掛ける(普段から緑黄色野菜を意識的に食べるようにはしているが)。
 やはり時間帯の割には棚に空の空間が目立った。エコバッグは忘れずに持って行った。
 帰宅後、母よりLINEで連絡が来る。何か足りないものはないか、とのことだったので米の定期輸送に加えてトイレットペーパーも送るように頼んだところ、快諾してくれた。1、2ロールで良いと伝えたが、4ロールを送ってくれるとのこと。友人が言っていたように、やはり地元はマスク以外の物資には余裕があるようだ。
 やはりTwitter上では前線に勤める医師や看護師らの生々しい叫びが散見される。(“本物”かどうかはまた別の話であるが)「このままでは医療崩壊も目前だ」というものから、「保菌者にならないように神経をとがらして疲弊してしまったのでいいねで励ましてください」という旨のちょっと変わり種のtweetまでも流れてきた。
 イギリスのチャールズ皇太子は症状が落ち着いたようで、感染しての所感を動画にしてアップしていた。
 先日、平沢進の4月のライブが中止になってしまったが、youtubeでは有志のファンが30年近く前のライブの音源を流す配信を行った。400人近くのファンらと共に30年近く前のライブを楽しむというのは初めての体験であった。

4月3日
 今日は終日家に籠っていた。
 国内の1日の感染確認数が初の300人を超える。国内では最初の感染が確認されてから1000人に達するまで2ヶ月以上かかったが、3月31日に2000人を突破してからは3日で3000人を超えた。
 これを受けてか、民間の医療協力のニュースが続いた。アパホテルは軽症や無症状の患者を受け入れることを発表した。官民一体となった有機的な対応が行われることを願う。
 また、政府は所得が減った世帯に向けて最大30万円の現金を給付するなど、これまで以上に具体的な数字を出した支援策を発表した。
 アメリカのニューヨークでは感染者が10万人を突破し、全米での感染者数は24万を超えた。世界全体での感染者数は100万人を突破した。一方で、中国の政府発表の感染者数は8万人と発表されているが、アメリカは数字の隠蔽や改竄が行われると指摘している。Twitter上でもこれに同調する声が多く見られている。
 夕方、実家より支援物資が届く。米や菓子、缶詰めなどの通常時の仕送りに加え、トイレットペーパー4つ、マスク数十枚、インスタント麵などがあった。マスクは向こうも品薄状態であろうに、ここまで支援してくれるのは誠にありがたい。

4月4日
 午前0時より友人MとLINEでやり取りを開始し、午前3時過ぎより5時40分頃まで通話をする。先日に引き続き「Hoi4」の実況を聞き、その後はまた雑多な議論を交わした。

 既存のリベラルはこのコロナ禍によって駆逐され、ネオリベラルが台頭するのではとの考察を聞く。彼も先日の通話を機に日記を付けているようだが、本記録と違って、心情の記録を重視して記録しているようだ。「人類は愚か」という旨のことを書いたらしいが、これにはまったく同感である。

 10時過ぎ頃買い出しに行く。やはりカット野菜の袋詰めは全くなかった。そこで千切りキャベツとトマトを野菜枠で購入。明日の籠城に備える。良い天気だった為、ランニングをしている市民とすれ違った。人混みを避けてこのような運動をして体力をつけるのも肝要かもしれない。
 ここ最近、このコロナウイルスに関する騒擾を「コロナ禍」と呼ぶ風潮が見られる。
 都内の感染確認数は118人と最多を記録。都内の感染確認人数が初めて3桁に達した。要入院患者数が病床数を上回ったという情報も見られる。まだまだ厳しい戦いが続きそうだ。
 先日の布マスクの配布について、冷静に評価するtweetが散見されるようになった。私自身はマスクに関しては当分困ることは無いが、感染の拡大防止にはバンダナなどでも有効であるという情報はかなり前から見られているので、飛沫の拡散防止に積極的に使っていきたいと思う。

4月5日
 都内の感染確認人数は143人と過去最多を更新、累計感染者数は1000人を超える。小池知事は国による緊急事態宣言について早期に結論を出すように要望、これを受けてか国も緊急事態宣言の準備に入った。宣言後は確実にスーパーは人で溢れることが予想される。海外では緊急事態宣言後のスーパーでの感染が多いとの情報もあり、明日はなるべく早めに買い出しに出たいと思う。
 千葉県は県立学校は4月いっぱいは休校にするようだ。地元の子供達も大きな影響を受けているだろう。

 アメリカでは感染者が30万人を超え、死者は8000人を超えた。来週にかけて感染のピークに達し、厳しい状況に突入すると政府は予想しているようだ。経済の維持を優先し、自粛要請などの対応を全く行わない方針のブラジルでは、案の定というか感染は急速に拡大。感染者は1万人を超え、死者も432人に達した。4日間で倍増したという。ブラジル政府の対応が現状のままならば、ブラジルの国土自体が巨大なクラスターになると予想できるが、今後の政府対応なども含めて情報を収集したいと思う。対策を行っている国や地域との今後の経過の比較はどうなるのだろうか。
 今日は世情を鑑みて無観客でにじさんじのライブが開催され、ネット上で配信された。無観客ライブは既にいくつかのグループが行っていたが、実際に生で見るのは初めてであった。

4月6日
 午前4時頃より友人Mと通話開始。またしてもHoi実況だ。買い物を挟んで午前8時過ぎまで通話をする。世情などに関しても論を交わす。
・EUなどの既存の秩序の崩壊が起こるのでは
・web媒体を活用しての学校や企業の取り組みが活発になるだろう。IT業界には追い風か。
・政府配布マスクは歴史の証人として保存する。後年教科書などに取り上げられるだろう。
・vtuber界では「コロナ」というワードが使えず、隠語を使っている状況を考察。「言霊」の文化が生きていることを提唱する。我々は急性呼吸器疾患の「covid 19」から「19号」の隠語を提唱。

 午前7時過ぎのスーパー開店直後に店に入ったが、生鮮食品は不足気味であった。なんとか確保したが、これから在庫が搬入されるのだろうか。明日には緊急事態宣言が発せられ、土壇場での買い占めが発生すると思われる為、明日明後日は家に籠る予定だ。この状況をうけてか、9日の面接もweb形式になった。
 Twitter上では普段政治に関する話題をしない者も、政府対応に関するtweetをしていた。世論の潮流の変わり目を感じている。
 明日には東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府と兵庫県、そして福岡県に緊急事態宣言が出されるようだが、他国のような強制力は無く、我々のできること、やるべきことはこれまでと変わらないだろう。政府も冷静な対応を求めている。しかし、広く一般の民衆達の意識は少なからず変容することが予想される。今後の政府の対応への関心は高まるだろう。
 また、先日専門家チームがTwitterアカウントを開設した。早い段階から非常に注目を集めている。

4月7日
 10時30分よりweb面談・企業説明を受ける。
 14時頃スーパーに行くが、食料品はいつもよりは豊富にあった。今まで少なかったのは入店時間の問題だったのだろうか?しかし米や納豆は相変わらず枯渇した状態であった。飲み物とパンを買う。
 母よりLINE来る。必要なものがあれば連絡するように、近隣で感染者が出ているから注意するように、という旨の内容だった。私はインドア派なので特に不便は感じていないと返す。今まで長期休暇は基本的に家に籠って生活してきたので、何ということは無い。
 思えば実家にいた頃は親の車が無ければどこにも移動できない為、1週間家から1歩も出ないということが長期休暇中にはザラにあった。しかし、普通の人間は恐らく休みの間にはどこかに出かけたり、友人に会って話をしたりするのが普通なのだろう。Twitter上では、私と同じ質の人が逆に毎日どこかに出かけてフェスなどに参加するようになったら…という旨のtweetを見た。確かに、逆の立場に立ってみれば、家に籠ることが想像以上の苦痛であるのだろうと考えた。私もインターネットが無ければ相当精神的に参っていただろう。

 本日緊急事態宣言が正式に発効される。8日午前0時から5月6日までが期間となる。これを受けて大学も緊急閉鎖となり、就活先も対応に追われているようだ。政府も緊急経済対策として39兆円を支出し、国債の追加発行も行うようだ。
 この宣言による強制力は無いが、国民の意識は大きく変わることだろう。今日に至るまで「不要不急」の外出を行う国民を非難する声が各所に見られていたが、今日以降、この自粛圧というものは、有り体に言えば政府の後ろ盾を得てより大きなものになるだろう。

 先日集中治療室に運ばれた英国のジョンソン首相は、容体は安定しているようだ。フランスは死者1万人を超えた。これで4カ国がコロナ禍による死者が1万人を超えたことになる。ニューヨークでは州内の死者が前日より731人増加し、過去最多の死者増加を記録。
 中国では公式発表によれば感染者や死者の拡大は食い止められているようだが、一方で祝日と重なった週末に観光客が観光地に詰めかけたことが問題となった。中国当局は「パンデミックはまだ到底終わっていない」と警告。中国でもまた自粛疲れが国民に蔓延しているようだ。
 恐らく中国国内にも未確認のコロナウイルスの残余が相応に存在すると推測できる為、当局の言うようにまだまだ油断は禁物だろう。また、日本や韓国と同じように、欧州などの外部からの感染者の流入をいかに防ぐかが今後の課題となるだろう。
 地球上のどこかにクラスターが存在する限り、第3、第4の波が東アジアを襲う可能性は存在し続けると思う。

 本日に至り緊急事態宣言が発表された訳だが、思えばここまで驚異的な遅滞戦を成功させ続けたと思う。武漢市閉鎖の折には、日本ではこのような強硬策を行うことは困難だから、日本にコロナ上陸の際には瞬く間に医療崩壊に陥ると考えていたが、実際には欧州が恐慌状態に陥る中で今日まで最小限の犠牲と混乱で凌いできている。
 関係機関には今日までの間に多くのデータやノウハウが蓄積されていると思われる。今日まで稼いできた貴重な時間を無駄にするか、有効に使えるかは、ひとえに国民の意識と行動の変容ができるかどうかにかかっていると思う。

4月8日
 非常事態宣言初日。都内では144人の新たな感染者を確認。
 22時、バイトで近くに来ていた友人Kに誘われ会食。最寄り駅前の日高屋でラーメンを食べる。店内にはほとんど人はいなかった。
 3ヶ月ぶりに会い、近況や世情について話し合う。政府対応などに関してはおおよその意見の一致を得た。彼もまた、民衆の動きに憤りを感じている一方で、政府の対応はある程度は評価に値するものであると論を展開した。
 彼は4月に入ってすぐに地元にタケノコ掘りに帰省しようとしたが、実家から来ないようにと言われ、断念したようだ。彼も私と同じ就活生だが、休校で暇を持て余しているようだ。そして彼もやはりインドア派の人間であるため、最低限の外出でも特にストレスを感じていないようだ。家では主にゲームをして時間を潰しているそうだ。

 米国では感染者が40万人を超え、遂に米海軍では複数の空母のクルーで感染者が確認された。フランス海軍でも空母のクルーに感染者が確認されたという。無敵を誇った空母機動部隊も、あえなく撃沈と言ったところか。米海軍内での感染拡大は世界のパワーバランスの変容を起こしかねない安全保障上での重大事だと思う。一刻も早い対処を望むばかりである。
 国内では依然ハイペースで感染者は増え続け、感染経路不明の感染者もかなり多いようだ。今住んでいる地区内でも既に感染者が確認されたし、友人Kも自分の行動圏内で感染者が出たと言っていた。コロナの脅威は着実に身近に迫っている。

4月9日
 初めての在宅面接。特にトラブルも無く進めることができたと思う。
 島根で初の感染者を確認。感染未確認は岩手、鳥取県のみとなる。都内の感染確認は最多の180人以上となった。国内感染者の累計は5432人に達し、死者は109人となった。
 全世界での感染者数は147万人を超え、死者は8万8000人を上回っている。
 そしてとうとう厚労省の公式ページの感染注意喚起のところにアマビエが出現し、遂にアマビエは国家公認のコロナ禍を象徴するキャラクターとなったようだ。
 今日も終日家に籠っていた。恐らくここ最近でもっとも多くの時間を麻雀に費やした。にじさんじ麻雀大会が近いとだけあって、配信も麻雀が中心となっており、その影響をもろに受けている。役満が出たのでこれでゲン担ぎができたと思いたい。


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